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69 無敵の存在
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「あのね、俺、暗殺者を三人差し向けられたの。全員死んじゃったんだけど、大臣さんと侯爵さんと側妃さんからだったよ」
「な、なんですと……まさかナナ様を害そうとする不埒な輩がこのグレイアッシュに存在するとは!」
さて、呪縛が解けたとしても俺はやっぱり死にたくないし、張り切っちゃってる亡霊の皆さんも色々と教えてくれるし……。次の日、お城の大広間にたくさんの人が集まる中呼び出されたので、さくっと言ってみた。
「でも、あなた。俺の暗殺計画をレンベルト伯爵?と密談するのは良くないと思うよ」
ハゲてるおじさんを指差す。ギクリと音がするくらい驚いたようで、声が大きくなっている。人は誤魔化そうとするときに声が大きくなるんだってね?
「わ、私はそのような事をするはずがございません!!」
「昨日の晩、北門の上で密会してたでしょ?」
「何故それを!?」
だいぶ昔罪をかぶせられて、北門から突き落とされた兵士の魂が教えてくれたんだもん。それにしてもこのおじさん、嘘が下手だなあ……。周りにいる人達が遠巻きに離れるし、兵士たちは槍を構えて囲み始めている。
「あと側妃アリドネさん。料理長を脅して毒を入れさせるのやめてください。今日のお昼ご飯は全部食べられないじゃないですか」
「ひっわ、わたくしはそのような事をしておりません!」
「侍女のマリーさんに命令してさっきやらせたでしょ?」
こちらも殺された昔の料理長が教えてくれた。ざわざわと人がうわさする。アリドネさんと言う人を始めて見たけれど、まあこの人も牢屋に入ってもらうしかない。
「そ、そんな……そんなこと……!」
俺は次々の悪事を言い当てて行く。
「金融大臣のガバナーさん。昨日持ち去った金貨505枚、休憩室の床下に隠すのはやめて。5枚はポケットに入れて行ったよね、使っちゃったの?お城のお金だよ、返してね」
「ひ、ひいいいい!」
すぐに床下から金貨が発見される。だって見てる亡霊さんがいるし、こういうのを目ざとく教えてくれるんだ。
「皆、悪い事はしない方が良いよ。こわーい見張りがこのお城にはいっぱいいるからね」
本当にいっぱいいるんだもん。死霊、亡霊の皆さんが。そして悪事を俺に指摘されて青ざめる人達の顔をみてゲラゲラ笑ってる。きっとこれからもいっぱい報告してくれると思うよ、凄く楽しそうだもん。
「捕らえて尋問致します」
騎士団長と言う人が進み出て、俺が指摘した人達が連れていかれる。話し合いは一旦保留という事で、俺はフォーリと並んで天使の間に帰る途中だ。
「ねえねえ、ナナちゃんってばこのお城で無敵なの?」
俺にくっ付いてガタガタ震えているフォーリ。尻尾をお姉様方に撫でまわされてるから、ずーっと寒気がするんだって。そりゃそうだよね!死者の手でサワサワフワフワされ続けてるもんね。
「そんなことないよ、生きてる人間は俺を殺せるからね……流石に襲われたら俺、死んじゃうよ」
狐ちゃん!右よ!
「!?」
フォーリは俺を抱っこして左に飛んだ。
「ひゃっ」
「なんか、声した!」
俺が立っていた場所に短剣が2本突き刺さる。その後上から呻き声が聞こえてきて、少しだけずれていた天井の板を壊して死体が落ちてくる。こんな昼間から暗殺者を向けられてた!こ、怖い!
「その短剣に触らない方が良い気がする。毒とか塗ってそうだ」
「うううっでもこの死体は持ってこう、誰が送ったのか知りたいし」
「ま、また魂引っこ抜く奴……?」
「うん。死んじゃうと、色々しがらみが抜けてこの世の事はどうでも良くなるんだって。だから、生きてるうちは秘密にしておこうと思った事もスラスラっと答えちゃうんだ」
暗殺者の足を持ってズルズル引っ張り出すと、フォーリは少し真面目な顔で考えている。
「……古い城には間違いなくたくさんの亡霊がいる。それを全部味方に出来る……そして死んだら全ての情報を引き出すことが出来る……ナナちゃん、それってものすごい事じゃない?」
「そうかなぁ?でも、生きてる人間には勝てないよ。もう誰かのオモチャになりたくないなあ……」
ぶるっと背中に寒い物が走る……お姉様方の悪戯じゃないよ?引き倒され、押さえつけられてねじ込まれる。そうしたらもう抵抗なんて出来ないから、あとは嬲られるだけ。今はフォーリがいて……フォーリはお姉様方に監視されている中では「無理!」って絶叫してるから大丈夫だけど……。
そのフォーリは細い狐の目をさらに細くして何かを考えこんでいる。
「……グレイアッシュの王が生きていた頃、城の亡霊達は人を呪い殺す力はあったの?」
「さあ?聞いたことないけど」
「……もし、あったとしたら、お姉様方はナナちゃんを助けるために王を殺したんじゃない?王を殺さないまでも衛兵を殺してナナちゃんが逃げるのを手伝ってくれることもできたはず……なのに、していない……していないじゃなくて、出来なかっただとしたら?」
考え込んでないでこの暗殺者の死体を引っ張るの手伝って欲しいんだけど??この人鍛えてるのか見た目より重たいんだけど!
「できなかった事が出来るようになった。何故?ナナちゃんが王になったから……?城が正当な後継者を……?可能性はある。城……いや、血と魂が大量に吸い込んだ大地自体がナナちゃんの味方なら?とんでもないぞ」
顎に手を当てて考えてないで!手伝って~~~フォーリ!
「な、なんですと……まさかナナ様を害そうとする不埒な輩がこのグレイアッシュに存在するとは!」
さて、呪縛が解けたとしても俺はやっぱり死にたくないし、張り切っちゃってる亡霊の皆さんも色々と教えてくれるし……。次の日、お城の大広間にたくさんの人が集まる中呼び出されたので、さくっと言ってみた。
「でも、あなた。俺の暗殺計画をレンベルト伯爵?と密談するのは良くないと思うよ」
ハゲてるおじさんを指差す。ギクリと音がするくらい驚いたようで、声が大きくなっている。人は誤魔化そうとするときに声が大きくなるんだってね?
「わ、私はそのような事をするはずがございません!!」
「昨日の晩、北門の上で密会してたでしょ?」
「何故それを!?」
だいぶ昔罪をかぶせられて、北門から突き落とされた兵士の魂が教えてくれたんだもん。それにしてもこのおじさん、嘘が下手だなあ……。周りにいる人達が遠巻きに離れるし、兵士たちは槍を構えて囲み始めている。
「あと側妃アリドネさん。料理長を脅して毒を入れさせるのやめてください。今日のお昼ご飯は全部食べられないじゃないですか」
「ひっわ、わたくしはそのような事をしておりません!」
「侍女のマリーさんに命令してさっきやらせたでしょ?」
こちらも殺された昔の料理長が教えてくれた。ざわざわと人がうわさする。アリドネさんと言う人を始めて見たけれど、まあこの人も牢屋に入ってもらうしかない。
「そ、そんな……そんなこと……!」
俺は次々の悪事を言い当てて行く。
「金融大臣のガバナーさん。昨日持ち去った金貨505枚、休憩室の床下に隠すのはやめて。5枚はポケットに入れて行ったよね、使っちゃったの?お城のお金だよ、返してね」
「ひ、ひいいいい!」
すぐに床下から金貨が発見される。だって見てる亡霊さんがいるし、こういうのを目ざとく教えてくれるんだ。
「皆、悪い事はしない方が良いよ。こわーい見張りがこのお城にはいっぱいいるからね」
本当にいっぱいいるんだもん。死霊、亡霊の皆さんが。そして悪事を俺に指摘されて青ざめる人達の顔をみてゲラゲラ笑ってる。きっとこれからもいっぱい報告してくれると思うよ、凄く楽しそうだもん。
「捕らえて尋問致します」
騎士団長と言う人が進み出て、俺が指摘した人達が連れていかれる。話し合いは一旦保留という事で、俺はフォーリと並んで天使の間に帰る途中だ。
「ねえねえ、ナナちゃんってばこのお城で無敵なの?」
俺にくっ付いてガタガタ震えているフォーリ。尻尾をお姉様方に撫でまわされてるから、ずーっと寒気がするんだって。そりゃそうだよね!死者の手でサワサワフワフワされ続けてるもんね。
「そんなことないよ、生きてる人間は俺を殺せるからね……流石に襲われたら俺、死んじゃうよ」
狐ちゃん!右よ!
「!?」
フォーリは俺を抱っこして左に飛んだ。
「ひゃっ」
「なんか、声した!」
俺が立っていた場所に短剣が2本突き刺さる。その後上から呻き声が聞こえてきて、少しだけずれていた天井の板を壊して死体が落ちてくる。こんな昼間から暗殺者を向けられてた!こ、怖い!
「その短剣に触らない方が良い気がする。毒とか塗ってそうだ」
「うううっでもこの死体は持ってこう、誰が送ったのか知りたいし」
「ま、また魂引っこ抜く奴……?」
「うん。死んじゃうと、色々しがらみが抜けてこの世の事はどうでも良くなるんだって。だから、生きてるうちは秘密にしておこうと思った事もスラスラっと答えちゃうんだ」
暗殺者の足を持ってズルズル引っ張り出すと、フォーリは少し真面目な顔で考えている。
「……古い城には間違いなくたくさんの亡霊がいる。それを全部味方に出来る……そして死んだら全ての情報を引き出すことが出来る……ナナちゃん、それってものすごい事じゃない?」
「そうかなぁ?でも、生きてる人間には勝てないよ。もう誰かのオモチャになりたくないなあ……」
ぶるっと背中に寒い物が走る……お姉様方の悪戯じゃないよ?引き倒され、押さえつけられてねじ込まれる。そうしたらもう抵抗なんて出来ないから、あとは嬲られるだけ。今はフォーリがいて……フォーリはお姉様方に監視されている中では「無理!」って絶叫してるから大丈夫だけど……。
そのフォーリは細い狐の目をさらに細くして何かを考えこんでいる。
「……グレイアッシュの王が生きていた頃、城の亡霊達は人を呪い殺す力はあったの?」
「さあ?聞いたことないけど」
「……もし、あったとしたら、お姉様方はナナちゃんを助けるために王を殺したんじゃない?王を殺さないまでも衛兵を殺してナナちゃんが逃げるのを手伝ってくれることもできたはず……なのに、していない……していないじゃなくて、出来なかっただとしたら?」
考え込んでないでこの暗殺者の死体を引っ張るの手伝って欲しいんだけど??この人鍛えてるのか見た目より重たいんだけど!
「できなかった事が出来るようになった。何故?ナナちゃんが王になったから……?城が正当な後継者を……?可能性はある。城……いや、血と魂が大量に吸い込んだ大地自体がナナちゃんの味方なら?とんでもないぞ」
顎に手を当てて考えてないで!手伝って~~~フォーリ!
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