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20 命は助かっている。

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「う……」

 あ、俺、ベッドで寝てる。でもここはどこ?

「よう、目が覚めたか、ナナ」

「あ……だんちょ、さん……」

「ま、どこもかしこも痛えだろうから寝てて構わない。飯も水もある、ゆっくり寝てろ」

「あ……はい」

 わしわしと頭を撫でられた。そして

「良かったぜ、治ったらまた抱かせろ」

「……はい……」

 逆らう事なんて出来ない。俺は死にたくない。飯を食べ水を飲み、うつらうつらと眠る。足にはまだ鎖がついたままだから、遠くへ逃げることは出来ない。

「慣れれば毎日抱けるかな?」

「さあ、どうでしょう。ナナは体力がなさそうですからね。少し酷ではないですか?」

「そうか、残念だな。ナナ、体を鍛えろ」

「……分かりました……」

 嫌だけど嫌だなんて言えない。だって怖い……。俺は毛布を引き上げてなるべく隠れる。

「ぶはっ!警戒されてるぞ!」

「そりゃそうでしょう。初回からヤりすぎですから」

 俺は今、団長さんの部屋の団長さんのベッドで寝ているけれど、副団長さんも来て近くの机で仕事をしている。

「それはお前も同罪だ」

「申し開きのしようもないですけどね」

 俺はどうしたら良いのか分からなくて、布団の中に潜り込んだ。


 その日から俺は団長の部屋で寝泊まりしている。

「これが作業部屋ね……どうなってんだ?」

「分かりません。でも使えます……」

 壁があればそこに扉を出せて、開ければあの部屋に繋がっている。仕組みはわからないけれど、そうなっているからそうなんだ。

「まあ良い。だが、毎日体をきれいにする習慣をつけろよ。特に尻な」

「ひっ!」

 尻を撫で上げられ、俺は飛び上がる。ううっやっぱりあの日だけで終わる訳ないもんね……。
 大人しく、大人しく過ごしている俺だけど、騎士には不釣り合いなほど、可愛い顔をした人にめちゃくちゃ睨まれたりしていた。

「ああ、あれはユーリですね。私の専属はあっさりしたものでしたが、団長の専属だったユーリはかなり不満だったみたいですよ?」

「せん、ぞく」 

 俺がロベル副団長が持って来てくれた飯をありがたくいただいている時に教えて貰った。

「そりゃ、団長や私には専属がいましたよ、軍務中の夜の相手のね。2人をやめさせてあなたを召し上げた、まあそんな感じです」

「ど、どして……2人いたのに。お、俺、1人……?」

 そうしたらロベル副団長はにやりと笑った。こ、この笑顔なんだかとても怖い!

「そりゃあ……」

 空になった食器のトレイを取り上げられ、俺の横にすとんと座った。そしてスルリと腰に腕を回される。

「団長に渡すのが惜しくなったからですよ」

「あ、あの……」

 ち、近い!あまり人と接近せずに生きて来たから、近過ぎるのは得意じゃない……というか誰でもそうだろう。

 そしてこの場合は、また、なのか?
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