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7 成りたての死体

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「死体を売りたい」

「旦那、まだ生きてますよ。生きてたら奴隷商に売ってくださいな」

「少し待ってろ」

「……」

 ものすごくピッチピチの死体を買い取った。

「どうして助けてくれなかったの!?」

「どうして助けなきゃならなかったの?」

 まだ少年とも呼べる男の死体。どこかの良い所の坊ちゃんだろうな、きっと身代金目的の誘拐で、トラブルの末、殺されちゃった。俺の店の裏で。
 俺は何にも思わない、多分こういう所が壊れているんだろうな。

「だって僕は死んじゃったんだよ!」

「人間は死ぬんだよ」

「うるさいうるさい!」

 なんてうるさい魂だ。これは暫く放っておくしかないな。俺は部屋の中に死体を入れて、次の獲物を拾いに行く。予想通りあの坊ちゃんを捜しに来た騎士っぽいやつらとこの辺のゴロツキが斬り合いをしたようだ。

「死んでる死んでる~……」

 道端にゴロリと打ち捨てられたゴロツキ共の死体をボロい荷車に投げ入れる。ぐはーっ重いッ!

「ケッ!地獄街の死体漁りかよ!」

「へへ、死んだら店に来てくれよぉ?」

「誰が行くか!クソ底辺が!」

 ゴロツキにもそんな風に言われる俺だが、本当の事だから仕方がない。

「縁起が悪い汚い死体漁り!早くどこかへ行け!」

「へいへい」

 別にそんな扱いも嫌じゃない。むしろ一人で居たいから誰も寄ってこないのはありがたい。実益も兼ねて服は真っ黒、顔も良く見えないように黒いヴェールのついた帽子を愛用している。葬式屋っぽくてみんな避けて通ってくれる。


「次も面白可笑しく生きてぇなあ!」

「そのまんま?」

「ああ!」

 そんな奴もいる。黒い風船に掴まって上へ行ったけれど、スキルのレベルは上がっているから、次の悪党レベルはもっと高くなるんだよねえ。今より悪い事しちゃうかも!?でもそういう振り分けは神様に任せている。この世は善人だけで出来てはいない。悪人も必要なんだから。

「俺ァ、ドラゴンになりてぇ!」

「うーーーん、トカゲから、かなあ?」

「よし、乗った!」

 人間のスキルを全部剥がして、爬虫類へ。10回くらい死んで生まれ直したらドラゴンへの道が開けるかもしれないぞっ!

 俺が交渉し、スキルを剥がし、死体を切り刻むのを坊ちゃんは隅に座ってじっと見ていた。

「言っとくけどー現世に留まってると善行ポイントがどんどん減るからなー。次には不利になるぞ」

「うるさい!」

 まだ駄目だな。まあこの部屋の中なら時間は進まないから死体は劣化しないし、善行ポイントもさほど減らない。出たら減るけどね。

「ここで相談して上に上がった方が良いと思うんだけどなー?」

「うるさいうるさい!」

 あ、そうですか。
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