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57 上弦に私は脳天気に城を攻めます

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「はいはーい、ごめんよ~善良な一般市民の皆さんは~城からなるべく離れて、家に隠れてくださーい」

「はーい、これからあの城を落としまーす。兵士があぶれて出てくる可能性がありまーす。戸締りをしっかりしてくださいね~」

「火事場泥棒が発生する可能性がありまーす。店は今日は閉店にしてくださ~い」

「城門はあ、壊しちまったが~後で直しとくのでそのままで頼む~」

「クラン「白夜の翼」と「ソリッドストライク」による国潰し、はっじまるよ~ん」


 ある意味恐ろしい集団が能天気にマクファーランの城下町に到着した。

 ドラゴンを見た事がある市民はいなかった。何せドラゴンは霊峰に住み、人には絶対に懐かない、神に等しいほぼ伝説上の生物だ。

「竜騎士~もうちょっと宣伝しといて~」

「了解だよ~」「おっけー」

 クラン「白夜の翼」には最上職の竜騎士が3人いた。勿論一人はファイであり、そのファイに憧れて入った二人だ。バサリ、二人の愛竜が翼をはためかせて、街の上を飛ぶ。

「善良な~市民の皆さんは~家から出ちゃだめだよ~」「これから王城を潰しま~す。危ないから見にきちゃだめだからね~」

「ど、ドラゴン!ドラゴンがあああ!」「ひ、人が乗っている!?嘘だろ!ドラゴンを操っているのか!?」

「うーんこの程度で大騒ぎか~仕方がないねえ」

 ポリポリと時透は頬を掻くしかない。竜騎士がドラゴンに騎乗して飛び回っただけで大騒ぎになるなんてどうしたらいいんだ?

「だからーマクファーランなんて落としてもつまんないよって言ったけど……エッチなファイ様をみれて、フォートレイ、さ、い、こ、う、でした!キャッ!」

「それ、ファイの耳に入れるなよ。嫌われるぞ」

 はーい!元気に返事をするフォートレイを呆れてみるしかない。

「んま、しゃあないやるぞ、ジャナスティン、結界はってやってくれ」

「あいよう~誰か補助手伝って~」「はーい!」

 時透のすぐ横で 教皇カーディナルは神聖魔法、障壁結界を張る。本当は長い長い詠唱が必要な魔法も四季女神の祝福の指輪(借り物)で一瞬で発動する。

「あー流石にSP持ってかれる~回復薬頂戴」「はいよ~」

 気楽なもんである。

「うっひっひ~来たな来たな~~!まさかこの弓を城に向けて撃つ日がこようとは!行っちゃっていい?行っちゃっていい!?」

「いいよ~レクシー君。きっとファイさんなら隕石位避けるでしょ」「あいつならパンチで割るわ」

「いっくぜー!吼えよ!星降りの山羊角メテオストーム・デビルズホーン!汝の呼びかけに答え、舞い堕ちろ、星々!悪魔の名の下に無慈悲なる雨を降らせよ!」

 引き絞り、天空に向けてたった一本の矢を放つ。

「詠唱なげぇよ。レクシー」「実践じゃつかわねー能力だもん!てか使えねーし!」「分かるわ」

 それでも放った矢は落ちてはこない、代わりに落ちてくるのは真っ赤に燃えた隕石群だ。

「普段の戦闘じゃ使わねーけど、こういう時派手でいいよな~時透もなんかやったら?」

「私は補助魔法の方が得意ですからね~派手なのを使うとこの程度の城、跡形もなくなるじゃないですかやだなあ」

 おーこわ、レクシーは肩をすくめるが、天から隕石が降り始め、マクファーランの城に突き刺さり、穴を開け、炎を巻き上げる。

「うわーえぐーい!中に人が居るんだよ?」

「ファイもキース君も中だね!」

「もー!やる事ないじゃないですかー!でも制圧はしないとねー。皆さん行きますよー。さっさと壊しちゃって引き上げましょ。派手に暴れると闇魔族に見つかりまーす」

 それが一番怖いな、と全員の意見は一致し、手早く城を落とす事にした。

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