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49 俺は下弦に憂鬱になる
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「ここに集まって貰ったのは「白夜の翼」でも古参と呼ばれるかなり付き合いの長いメンバーだ」
面子は6人。俺を含め、時透、くま、レクシー、殴り屋のジャグと教皇のジャナスティン。
時透に呼ばれて別室で話を始める。何の話かは大体想像がつくが……多分こいつらに協力を仰ぐしか俺には方法がない。何せ月が欠けて来たからだ。
「知ってると思うが、俺とくま、ファイは闇魔族から呪いをかけられて月の半分は使い物にならなくなるんだけど、下弦が始まった訳だ」
「ったく!お盛んですなぁ~」
お調子者のレクシーがつまらなさそうにテーブルに肘をつく。それに関しちゃ何も言うことはない。闇魔族に負けた俺たちの方が悪いからな。
「問題は今、ファイにはキース君がいないと言うことだ。相手がいないと、下弦の期間物凄く不安な気持ちになる。はっきり言おう、発作的に死にたくなったりする、ヤバい」
「あれは、ヤバいな」
いつも落ち着いているくままで腕を組んだまま、うんうんと頷いている。確かにヤバい。この世は終わったと思うし……一緒にいて欲しいからどんな手段を使ってでも繋ぎ止めたくなる。
「間違いなく、正気じゃなくなって物凄い恥ずかしい事をするだろう。そこで3人で何とかファイを止めて欲しい!」
「いや、俺は大丈夫。部屋に鍵でもかけて閉じこもるから」
「下弦が終わったら死体が転がってたらどうすんだよ!」
そんな事しねーよ!多分……。それよりこいつらにヒンヒン泣く所を見られる方がよっぽど死にたくなるわ!
……悲しくなるんだよ!くそっ闇魔族め!
「それで、もしファイに誘惑されてもこの凶暴なファイを思い出して絶対に断って欲しい!」
レクシーもジャグもジャナスティンもぽかんと口を開けた。
「え?ファイにエロい事しようって誘われんの?」
「多分。月が消える頃は間違いなく」
ぶっ!とレクシーは吹き出した。
「待て待て!だってファイも俺も男にだし?!何で!!」
「呪いなんだから仕方がない……最悪ヤっても仕方がないが、自殺しようとするのは止めてくれ」
ジャグもジャナスティンも困惑を隠しきれない。
「えーと、マジすか?ファイさん」
「……はっきり言う。月が消える頃になるとほぼ記憶がない……が、毎月キースは非常にご機嫌で、「あー!毎日月が無ければなぁ~あ、でもベッドから離して貰えないかぁ」とか言っている……それくらい、自分で何をやっているか分からない……」
そして、キースが連れ去られた直後の数日間。俺は何をしていた?うっすらと残る記憶は寂しくて悲しくて……思い出したくもない!くそ迷惑な呪い!!
「マジすかぁ……」
「いやでも、ごっつい竜騎士は無理だけど、その錬金術師なら……俺、いけるかも」
「行くなって言ってるだろ?!ジャナスティン!」
「あーすみませーん!なるべく事故を起こさないようにしまーす」
ぽりぽりと頬をかくジャナスティンだけれども、良いのか?そんなんで。
「俺もくまも何にもしてやれないから、ファイの事頼んだぞ!レクシー、ジャグ、ジャナスティン!」
「あー任せろー!装備のレンタル料がわりにきっちり護衛してやりますよっと」
なるべくこいつらの手は借りないように過ごさないとな……。後で顔も合わせられないような無様な格好は晒したくない!
あーー、早く月よ!元に戻ってくれーーー!
面子は6人。俺を含め、時透、くま、レクシー、殴り屋のジャグと教皇のジャナスティン。
時透に呼ばれて別室で話を始める。何の話かは大体想像がつくが……多分こいつらに協力を仰ぐしか俺には方法がない。何せ月が欠けて来たからだ。
「知ってると思うが、俺とくま、ファイは闇魔族から呪いをかけられて月の半分は使い物にならなくなるんだけど、下弦が始まった訳だ」
「ったく!お盛んですなぁ~」
お調子者のレクシーがつまらなさそうにテーブルに肘をつく。それに関しちゃ何も言うことはない。闇魔族に負けた俺たちの方が悪いからな。
「問題は今、ファイにはキース君がいないと言うことだ。相手がいないと、下弦の期間物凄く不安な気持ちになる。はっきり言おう、発作的に死にたくなったりする、ヤバい」
「あれは、ヤバいな」
いつも落ち着いているくままで腕を組んだまま、うんうんと頷いている。確かにヤバい。この世は終わったと思うし……一緒にいて欲しいからどんな手段を使ってでも繋ぎ止めたくなる。
「間違いなく、正気じゃなくなって物凄い恥ずかしい事をするだろう。そこで3人で何とかファイを止めて欲しい!」
「いや、俺は大丈夫。部屋に鍵でもかけて閉じこもるから」
「下弦が終わったら死体が転がってたらどうすんだよ!」
そんな事しねーよ!多分……。それよりこいつらにヒンヒン泣く所を見られる方がよっぽど死にたくなるわ!
……悲しくなるんだよ!くそっ闇魔族め!
「それで、もしファイに誘惑されてもこの凶暴なファイを思い出して絶対に断って欲しい!」
レクシーもジャグもジャナスティンもぽかんと口を開けた。
「え?ファイにエロい事しようって誘われんの?」
「多分。月が消える頃は間違いなく」
ぶっ!とレクシーは吹き出した。
「待て待て!だってファイも俺も男にだし?!何で!!」
「呪いなんだから仕方がない……最悪ヤっても仕方がないが、自殺しようとするのは止めてくれ」
ジャグもジャナスティンも困惑を隠しきれない。
「えーと、マジすか?ファイさん」
「……はっきり言う。月が消える頃になるとほぼ記憶がない……が、毎月キースは非常にご機嫌で、「あー!毎日月が無ければなぁ~あ、でもベッドから離して貰えないかぁ」とか言っている……それくらい、自分で何をやっているか分からない……」
そして、キースが連れ去られた直後の数日間。俺は何をしていた?うっすらと残る記憶は寂しくて悲しくて……思い出したくもない!くそ迷惑な呪い!!
「マジすかぁ……」
「いやでも、ごっつい竜騎士は無理だけど、その錬金術師なら……俺、いけるかも」
「行くなって言ってるだろ?!ジャナスティン!」
「あーすみませーん!なるべく事故を起こさないようにしまーす」
ぽりぽりと頬をかくジャナスティンだけれども、良いのか?そんなんで。
「俺もくまも何にもしてやれないから、ファイの事頼んだぞ!レクシー、ジャグ、ジャナスティン!」
「あー任せろー!装備のレンタル料がわりにきっちり護衛してやりますよっと」
なるべくこいつらの手は借りないように過ごさないとな……。後で顔も合わせられないような無様な格好は晒したくない!
あーー、早く月よ!元に戻ってくれーーー!
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