36 / 71
キノコ神の使徒達
36 ブラウ視点 私のおじさま*
しおりを挟む
「ブ……ブラウ……」
「はい、おじさま」
分かっていたが、この人に名前を呼ばれるのは気持ちが良い。
私はブラウ・ジェルト。ゼードラウン王国のセアン王を支える宰相を弟のアーテルと一緒に執り行っている17歳のジェルト公爵だ。
「くるし……」
神殿からの馬車での帰り道、おじさまはこてん、と私にもたれてくる。
「大丈夫ですか?」
水の精霊王を父に持つ私は水を自由に操ることが出来る。飲めないと言うので、冷やしたタオルを乗せてやる。
大丈夫ではなくなることも想定済みだ。ほぼ初めて動きにくい女性物の服を着せられ、騙されてコルセットまで嵌められ……靴も窮屈なヒール付きを履かせた。
苦しくないはずがない。
「….ん……」
この場で襲いかからなかった私を褒めて貰いたいと思う。
「っ!可愛い……っ!」
「……?ブラウ…?」
「何でもありません」
すまし顔は得意だ。
「少し衣服を緩めますか?」
「いや、いい……」
この人はこう見えて、王として采配を振るっていた。人目がすくなくとも、王たるもの常に隙をみせてはいけないと、自らを律する。
こんな服を着させられてる時でさえ!基本的に真面目なのだ。
「もう少しで着きますから」
「……うん……」
辛そうに目を閉じて、私だけに甘えてくる……至福だ。教会への付き添いを勝ち取った甲斐があった!
さあ、急いで帰らねば!
何せ私には弟を含めて7人のライバルがいる。全て出し抜かねば、おじさまを独り占め出来ない。
馬車からおじさまを抱き上げて、廊下を走り抜ける。私が走っているのを初めてみた!と侍女や侍従が目を丸くしているが、知ったことではない。
急いで自室に走り込み、優しくおじさまをベッドに下ろした。
「……ブラウ、ついたの?…」
「ええ、着きましたよ、おじさまの部屋です。その窮屈な服を脱いでも大丈夫です」
私は息をするように嘘をつく。
「そう……良かった」
私達をまだ小さい子供だと思っているのか、おじさまは私達への警戒心が薄い。身内、だからかもしれない。そうであれば特別扱いが少し嬉しい。
首の後ろのボタンまで手が上がらないのか、モタモタしているのも可愛いらしい。手を伸ばして外してやると、敏感な所を触られてくすぐったそうに首を傾げた。
「……ごめん、全部外して……」
鼻血でそう。
好きな人の服を脱がす、とか。堪らない。馬鹿みたいにボタンがついていて、殺意を覚えるが、見えてくるうなじとか、楽になってくるのでふぅとため息をつく所とか。思わぬ所に触れたのか驚いてびくっとする所とか。
……少しづつ見えてくる白い肩とか、背中とか。
確かにこの人は男性であり、ついでに言うとキノコだ。本物のおじさまでもないし、「おじさん」と呼ばれる歳でもない。いや、記憶や精神年齢を考えるとおじさんなのかもしれないが。
ただ、私達は生まれた時から、この人が好きで好きで堪らなかった。
かなり頻繁に、男なのにお母様であるライハシュの様子を確かめに連絡してくるマメなキノコ。
「ライハ、辛いことはないか?」
「ないね!それよりしっかりエドヴァルドを補佐しろよ!」
「分かってる」
小さく笑う宰相ヨルムと呼ばれていた頃。
「お前の子供にしては……可愛いし、頭が良さそうだな?半分が良いからか?」
「黙れ!キノコ!」
そう言いながらもお母様とヨルム様は笑い合うから、仲が良いのだとわかる。
王都からたくさんの難しい本を送ってきて
「読みましゅた!」
と、報告すると
「はぁ!ブラウとアーテルは天才か!」
などと大袈裟に褒めてくれるものだから、私達は褒められたくて、調子に乗って。あるだけ知識を吸収していった。
「おじさま」
「ん……なに?ブラウ」
「……好きです」
困らせるつもりはないし、こんな事を言っても困るのは知っているが、言わずにはいられない。
やっぱりおじさまは「あー…」とか「うー」とかどう答えるべきか悩んでいる。私がどうやったら傷つかないか、どうやったら諦めるか、探っているんだろう。
そんな方法はないですよ。私の辞書からはだいぶ前におじさまを諦めると言う言葉を消してありますからね。
「おじさま」
「ブラウ、あのね。俺は普通のキノコなの、だからね。半精霊で、この国を担う若者がそんなこと」
その先は言わせない。
「抱きます」
半分服を着せたまま、「え?」「ちょっと待って」「急に何言って!」じたばする手と足を避け、スカートをたくし上げる。
騙されてつけている女性物の下着を横にずらすととにかく突っ込んだ。
「あぅっ!」
と、小さく鳴いたが、このおじさまはとても丈夫なので、若い私達にも応えてくれる。
「……!ブ、ブラウ……くるし……」
ああ、コルセットを緩めてなかった。ごめんなさい、おじさま。おじさまの背中を見てたら、もう我慢出来なかったんです。
締め上げている紐を解いてやれば、体が弛緩して行く。ついでにズブズブと飲み込まれてゆく。
「あっ!あっ!ブ、ブラウっは、いっちゃうぅ……!」
「違いますよ、入れてるんです」
イヤイヤと首を振るおじさまはとても可愛いらしい。お願いして髪でも伸ばしてもらおうかな?悦んで振り乱してくれたら、最高なのではないかな?
「だめ、抜いて……服、きたまま……。脱がなきゃ……汚れちゃう」
ここまで来て服の心配ですか!おじさま!
「着たままが良いんですよ?大聖女様を汚したいんです?ね、いいでしょう?」
おじさまはギョッとしたが、すぐに残念なものを見るように私を見返す。
「ブラウ……お前、ほんとに何言ってんの……?」
理解出来ない、と言った蔑みの冷たい視線も堪りませんよ、おじさま!
「さあ、誰かが見に来たら引くくらい汚してあげますから、覚悟してくださいね?」
「ひぃぃ!!」
おじさまはか細く哀れで、物凄く唆る悲鳴を上げて、私を誘ってくる。大好きですよ、おじさま!
「はい、おじさま」
分かっていたが、この人に名前を呼ばれるのは気持ちが良い。
私はブラウ・ジェルト。ゼードラウン王国のセアン王を支える宰相を弟のアーテルと一緒に執り行っている17歳のジェルト公爵だ。
「くるし……」
神殿からの馬車での帰り道、おじさまはこてん、と私にもたれてくる。
「大丈夫ですか?」
水の精霊王を父に持つ私は水を自由に操ることが出来る。飲めないと言うので、冷やしたタオルを乗せてやる。
大丈夫ではなくなることも想定済みだ。ほぼ初めて動きにくい女性物の服を着せられ、騙されてコルセットまで嵌められ……靴も窮屈なヒール付きを履かせた。
苦しくないはずがない。
「….ん……」
この場で襲いかからなかった私を褒めて貰いたいと思う。
「っ!可愛い……っ!」
「……?ブラウ…?」
「何でもありません」
すまし顔は得意だ。
「少し衣服を緩めますか?」
「いや、いい……」
この人はこう見えて、王として采配を振るっていた。人目がすくなくとも、王たるもの常に隙をみせてはいけないと、自らを律する。
こんな服を着させられてる時でさえ!基本的に真面目なのだ。
「もう少しで着きますから」
「……うん……」
辛そうに目を閉じて、私だけに甘えてくる……至福だ。教会への付き添いを勝ち取った甲斐があった!
さあ、急いで帰らねば!
何せ私には弟を含めて7人のライバルがいる。全て出し抜かねば、おじさまを独り占め出来ない。
馬車からおじさまを抱き上げて、廊下を走り抜ける。私が走っているのを初めてみた!と侍女や侍従が目を丸くしているが、知ったことではない。
急いで自室に走り込み、優しくおじさまをベッドに下ろした。
「……ブラウ、ついたの?…」
「ええ、着きましたよ、おじさまの部屋です。その窮屈な服を脱いでも大丈夫です」
私は息をするように嘘をつく。
「そう……良かった」
私達をまだ小さい子供だと思っているのか、おじさまは私達への警戒心が薄い。身内、だからかもしれない。そうであれば特別扱いが少し嬉しい。
首の後ろのボタンまで手が上がらないのか、モタモタしているのも可愛いらしい。手を伸ばして外してやると、敏感な所を触られてくすぐったそうに首を傾げた。
「……ごめん、全部外して……」
鼻血でそう。
好きな人の服を脱がす、とか。堪らない。馬鹿みたいにボタンがついていて、殺意を覚えるが、見えてくるうなじとか、楽になってくるのでふぅとため息をつく所とか。思わぬ所に触れたのか驚いてびくっとする所とか。
……少しづつ見えてくる白い肩とか、背中とか。
確かにこの人は男性であり、ついでに言うとキノコだ。本物のおじさまでもないし、「おじさん」と呼ばれる歳でもない。いや、記憶や精神年齢を考えるとおじさんなのかもしれないが。
ただ、私達は生まれた時から、この人が好きで好きで堪らなかった。
かなり頻繁に、男なのにお母様であるライハシュの様子を確かめに連絡してくるマメなキノコ。
「ライハ、辛いことはないか?」
「ないね!それよりしっかりエドヴァルドを補佐しろよ!」
「分かってる」
小さく笑う宰相ヨルムと呼ばれていた頃。
「お前の子供にしては……可愛いし、頭が良さそうだな?半分が良いからか?」
「黙れ!キノコ!」
そう言いながらもお母様とヨルム様は笑い合うから、仲が良いのだとわかる。
王都からたくさんの難しい本を送ってきて
「読みましゅた!」
と、報告すると
「はぁ!ブラウとアーテルは天才か!」
などと大袈裟に褒めてくれるものだから、私達は褒められたくて、調子に乗って。あるだけ知識を吸収していった。
「おじさま」
「ん……なに?ブラウ」
「……好きです」
困らせるつもりはないし、こんな事を言っても困るのは知っているが、言わずにはいられない。
やっぱりおじさまは「あー…」とか「うー」とかどう答えるべきか悩んでいる。私がどうやったら傷つかないか、どうやったら諦めるか、探っているんだろう。
そんな方法はないですよ。私の辞書からはだいぶ前におじさまを諦めると言う言葉を消してありますからね。
「おじさま」
「ブラウ、あのね。俺は普通のキノコなの、だからね。半精霊で、この国を担う若者がそんなこと」
その先は言わせない。
「抱きます」
半分服を着せたまま、「え?」「ちょっと待って」「急に何言って!」じたばする手と足を避け、スカートをたくし上げる。
騙されてつけている女性物の下着を横にずらすととにかく突っ込んだ。
「あぅっ!」
と、小さく鳴いたが、このおじさまはとても丈夫なので、若い私達にも応えてくれる。
「……!ブ、ブラウ……くるし……」
ああ、コルセットを緩めてなかった。ごめんなさい、おじさま。おじさまの背中を見てたら、もう我慢出来なかったんです。
締め上げている紐を解いてやれば、体が弛緩して行く。ついでにズブズブと飲み込まれてゆく。
「あっ!あっ!ブ、ブラウっは、いっちゃうぅ……!」
「違いますよ、入れてるんです」
イヤイヤと首を振るおじさまはとても可愛いらしい。お願いして髪でも伸ばしてもらおうかな?悦んで振り乱してくれたら、最高なのではないかな?
「だめ、抜いて……服、きたまま……。脱がなきゃ……汚れちゃう」
ここまで来て服の心配ですか!おじさま!
「着たままが良いんですよ?大聖女様を汚したいんです?ね、いいでしょう?」
おじさまはギョッとしたが、すぐに残念なものを見るように私を見返す。
「ブラウ……お前、ほんとに何言ってんの……?」
理解出来ない、と言った蔑みの冷たい視線も堪りませんよ、おじさま!
「さあ、誰かが見に来たら引くくらい汚してあげますから、覚悟してくださいね?」
「ひぃぃ!!」
おじさまはか細く哀れで、物凄く唆る悲鳴を上げて、私を誘ってくる。大好きですよ、おじさま!
7
お気に入りに追加
772
あなたにおすすめの小説
帝国皇子のお婿さんになりました
クリム
BL
帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。
そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。
「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」
「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」
「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」
「うん、クーちゃん」
「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」
これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。
息の仕方を教えてよ。
15
BL
コポコポ、コポコポ。
海の中から空を見上げる。
ああ、やっと終わるんだと思っていた。
人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。
そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。
いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚?
そんなことを沈みながら考えていた。
そしてそのまま目を閉じる。
次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。
話自体は書き終えています。
12日まで一日一話短いですが更新されます。
ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。
【完結】王子の婚約者をやめて厄介者同士で婚約するんで、そっちはそっちでやってくれ
天冨七緒
BL
頭に強い衝撃を受けた瞬間、前世の記憶が甦ったのか転生したのか今現在異世界にいる。
俺が王子の婚約者?
隣に他の男の肩を抱きながら宣言されても、俺お前の事覚えてねぇし。
てか、俺よりデカイ男抱く気はねぇし抱かれるなんて考えたことねぇから。
婚約は解消の方向で。
あっ、好みの奴みぃっけた。
えっ?俺とは犬猿の仲?
そんなもんは過去の話だろ?
俺と王子の仲の悪さに付け入って、王子の婚約者の座を狙ってた?
あんな浮気野郎はほっといて俺にしろよ。
BL大賞に応募したく急いでしまった為に荒い部分がありますが、ちょこちょこ直しながら公開していきます。
そういうシーンも早い段階でありますのでご注意ください。
同時に「王子を追いかけていた人に転生?ごめんなさい僕は違う人が気になってます」も公開してます、そちらもよろしくお願いします。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
君と番になるその時は
鈴卜優
BL
「お前と番になるつもりはない。」
隣国に嫁いだその日に夫となる男にそう告げられた。
「僕はあなたと生きていきたい。」
不器用な皇帝αと純粋な美麗Ωの政略結婚から始まる恋物語
ハピエンです!R18のシーン有りです!
子悪党令息の息子として生まれました
菟圃(うさぎはたけ)
BL
悪役に好かれていますがどうやって逃げられますか!?
ネヴィレントとラグザンドの間に生まれたホロとイディのお話。
「お父様とお母様本当に仲がいいね」
「良すぎて目の毒だ」
ーーーーーーーーーーー
「僕達の子ども達本当に可愛い!!」
「ゆっくりと見守って上げよう」
偶にネヴィレントとラグザンドも出てきます。
隠しキャラに転生したけど監禁なんて聞いてない!
かとらり。
BL
ある日不幸な事故に遭い、目が覚めたら姉にやらされていた乙女ゲームの隠しキャラのユキになっていた。
ユキは本編ゲームの主人公アザゼアのストーリーのクリアまで隠されるキャラ。
ということで、ユキは義兄に監禁され物理的に隠されていた。
監禁から解放されても、ゲームではユキは心中や凌辱、再監禁、共依存など、バッドエンドばかりが待っているキャラ…
それを知らないユキは無事にトゥルーエンドに行き着けるのか!?
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる