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キノコ神の使徒達
35 聖女様サイコー
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もうおじさんとわかるとそうとしか見えないものです。
おじさんは着慣れない裾の長い僧服に、足を取られまくりで上手に歩く事が出来ずに、とうとうブラウ様に横抱きにされ、神殿へ入ってゆく。なんとも羨ましい!!
「歩けるから!」
「無理ですね」
「くそっ!」
聞こえた。小声で話しているつもりなのでしょうが聞こえているのです。ブラウさま!そんなおじさんじゃなくて、私を抱っこしてくださいませ!!
悔しくてギリギリと奥歯を鳴らしてしまった。淑女にあるまじき!
教皇様の礼拝が始まり、高位の神官達はすべて祈りの間に集まりました。例のおじさん聖女は膝まづかず椅子に座っている!どういう扱いっ!!
「そんな長時間祈れません!」
「大丈夫ですよ、こちらにおいでくださいね」
特別扱いすぎる!許せない、許せない!私や私の周りは聖女になる為に一生懸命勉強し、奉仕し、祈ったのにあのおじさんは!!
「可愛い」
「?!」
突然、私の隣から小声が聞こえた。
「緊張してプルプル震えてる」
「着たこともない服を着させられて苦しいんだ」
「おじちゃま可愛い!」
高位神官しかいないはずの祈りの間に、不埒者が!しかも1人はどう見ても子供だ。子供が何故こんな所に。
「わざとコルセットを嵌めさせたら泣いてましたよ」
「素直に信じてたもんね、おじちゃま」
「下着も女性物履かせたって本当ですか?」
3人とも、おじさん聖女をみていて、教皇様の祈りも聞いていない!
「ブラウが「当たり前でしょう?」って顔で押し通したらしぶしぶ納得したらしいよ」
「ブラウ兄様の嘘は普通でも見抜けませんから」
「上も付けてるとか」
「「騙されすぎ!」」
待って?この人達。もしかして王族の人達なのでは?!もしかしてリィム様、アーテル様にシャルア様?!
な、なぜ王族の方達が神官に成り済ましてこんな所に?!
ま、まさか……あのおじさんを見に……?!
キョロキョロと祈る神官達をみると、中にやはり祈っていない一塊りがあった。
子供が3人に大人が1人。まさかまさか!
おじさん聖女の横に立っていたブラウ様がその一塊を見つけ、盛大に顔をしかめた。子供の引率のような大人は人差し指を口の前に立てていらっしゃる。
あ、あの方!国王セアン様?!嘘でしょ?!すると横の子供3人はフォイア様、ファロ様、ヴェント様なの?!
1人ちょうだいよ!
私はまたおじさん聖女に憎しみを募らせて行きました。
祈りが終わり、おじさん聖女に近づける機会があったけれど、高司祭様や教皇様にガードされるように囲まれているおじさんに直接話しかけることは出来ずにいました。
化けの皮を剥がしてやるのに!
「だから、ホント無理ですって。聖女はほら、あそこにいる様な可愛い女性にすべきですよ」
「シスター・セリエ。こちらへ」
「お呼びでしょうか?」
おじさん聖女の側にいた高司祭様に呼ばれた。よし!この偽聖女に近づけたぞ!いますぐ化けの皮を……
「至高なる聖女様がシスター・セリエ、あなたを聖女へと指名されました」
?!なんですと?!?!?!
「今この時より、聖女として神に仕え、良く人々を導く事を誓いますか?」
私ははっきり言います。
「誓います。大聖女様のご意志の元、この身に出来ることは全て」
「いや、ちょっと?!え?あの違う、私が辞めるから、彼女にってあれ?何?!大聖女って?!意味分かんない!ちょっと?!?!?!」
これがウスベニ様のお導き。おじさま大聖女さまバンザーイ!私だって貴族子女。掌返しはお手の物ですから!
「おじさま大聖女様って最高に良い方ですね….ファンになりました……!」
目をキラキラさせて、ウスベニ様にお祈りしていたら
「おねぇちゃん、見所ありますね!」
と、お子ちゃま……多分ヴェントさまだろうに声をかけられた。これがおじさま大聖女様の御加護か……!
おじさま大聖女様ってサイコーー!
おじさんは着慣れない裾の長い僧服に、足を取られまくりで上手に歩く事が出来ずに、とうとうブラウ様に横抱きにされ、神殿へ入ってゆく。なんとも羨ましい!!
「歩けるから!」
「無理ですね」
「くそっ!」
聞こえた。小声で話しているつもりなのでしょうが聞こえているのです。ブラウさま!そんなおじさんじゃなくて、私を抱っこしてくださいませ!!
悔しくてギリギリと奥歯を鳴らしてしまった。淑女にあるまじき!
教皇様の礼拝が始まり、高位の神官達はすべて祈りの間に集まりました。例のおじさん聖女は膝まづかず椅子に座っている!どういう扱いっ!!
「そんな長時間祈れません!」
「大丈夫ですよ、こちらにおいでくださいね」
特別扱いすぎる!許せない、許せない!私や私の周りは聖女になる為に一生懸命勉強し、奉仕し、祈ったのにあのおじさんは!!
「可愛い」
「?!」
突然、私の隣から小声が聞こえた。
「緊張してプルプル震えてる」
「着たこともない服を着させられて苦しいんだ」
「おじちゃま可愛い!」
高位神官しかいないはずの祈りの間に、不埒者が!しかも1人はどう見ても子供だ。子供が何故こんな所に。
「わざとコルセットを嵌めさせたら泣いてましたよ」
「素直に信じてたもんね、おじちゃま」
「下着も女性物履かせたって本当ですか?」
3人とも、おじさん聖女をみていて、教皇様の祈りも聞いていない!
「ブラウが「当たり前でしょう?」って顔で押し通したらしぶしぶ納得したらしいよ」
「ブラウ兄様の嘘は普通でも見抜けませんから」
「上も付けてるとか」
「「騙されすぎ!」」
待って?この人達。もしかして王族の人達なのでは?!もしかしてリィム様、アーテル様にシャルア様?!
な、なぜ王族の方達が神官に成り済ましてこんな所に?!
ま、まさか……あのおじさんを見に……?!
キョロキョロと祈る神官達をみると、中にやはり祈っていない一塊りがあった。
子供が3人に大人が1人。まさかまさか!
おじさん聖女の横に立っていたブラウ様がその一塊を見つけ、盛大に顔をしかめた。子供の引率のような大人は人差し指を口の前に立てていらっしゃる。
あ、あの方!国王セアン様?!嘘でしょ?!すると横の子供3人はフォイア様、ファロ様、ヴェント様なの?!
1人ちょうだいよ!
私はまたおじさん聖女に憎しみを募らせて行きました。
祈りが終わり、おじさん聖女に近づける機会があったけれど、高司祭様や教皇様にガードされるように囲まれているおじさんに直接話しかけることは出来ずにいました。
化けの皮を剥がしてやるのに!
「だから、ホント無理ですって。聖女はほら、あそこにいる様な可愛い女性にすべきですよ」
「シスター・セリエ。こちらへ」
「お呼びでしょうか?」
おじさん聖女の側にいた高司祭様に呼ばれた。よし!この偽聖女に近づけたぞ!いますぐ化けの皮を……
「至高なる聖女様がシスター・セリエ、あなたを聖女へと指名されました」
?!なんですと?!?!?!
「今この時より、聖女として神に仕え、良く人々を導く事を誓いますか?」
私ははっきり言います。
「誓います。大聖女様のご意志の元、この身に出来ることは全て」
「いや、ちょっと?!え?あの違う、私が辞めるから、彼女にってあれ?何?!大聖女って?!意味分かんない!ちょっと?!?!?!」
これがウスベニ様のお導き。おじさま大聖女さまバンザーイ!私だって貴族子女。掌返しはお手の物ですから!
「おじさま大聖女様って最高に良い方ですね….ファンになりました……!」
目をキラキラさせて、ウスベニ様にお祈りしていたら
「おねぇちゃん、見所ありますね!」
と、お子ちゃま……多分ヴェントさまだろうに声をかけられた。これがおじさま大聖女様の御加護か……!
おじさま大聖女様ってサイコーー!
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