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キノコ神の使徒達
32 仲良く分配
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「一応お聞きしますが、どこのお子様で……あ、こっちの2人はみたら分かります……」
「ヴェントだよ!」「シャルアだよ!」
凄く、凄くわかりやすい子供が2人。
ミニシャラだ。
完全なるミニシャラだ。
浅黒い肌、白金の髪に青い瞳。柔そうな物腰ではなく、子供らしい利発さ。年の頃は7歳ほどか。
……俺が休眠していた年月と同じくらい。
「あの、シャラは……」
こころが死んだはず。
「元気だよ!!たまに菌糸でぼわーっとするけど、ママは元気!」
「ママはよく言ってるよ、私に必要だったのは絶対に死なない王様だったんですって!キノコちゃんもなかなか良かったですよ!だって」
「生きてるのか、シャラは」
「元気だよー!」
そうなんだ。シャラは元気なんだ。肩の荷がすとんと落ちた気がした。
「それで俺たちが火の精霊王の息子だ。父上に変わってキノコを嫁にするぜ」
……は?
「フォイアと」「ファロです」
え?
「いや、おじさまは私達の嫁に」
「私かセアンに嫁いで頂きます」
嫁ってなに?
「そこは譲りたくないな。俺かアーテルで」
「そうですよ、そろそろこちらに引き渡してください」
は?この子供達なに言ってる??
「やだよー!僕たちと風の渓谷に行こうよ」
「そうだよ!シャラママも待ってるんだから!」
キノコは混乱した!しかし、現状はもっと大惨事だ。おいおい!みんなキノコ大好きだな!?
「こういう時、誰に助けを求めたら良いんでしょうか」
「「「「助けなんて来ない!」」」」×2
キノコは絶望した!絶望したキノコはどうするか?そりゃ、ただ一つ。
「お、お休みなさいっっ!!!」
「あっ!?」
菌糸に戻って寝た。嵐が収まったら起こして下さいっっ!!
「……ノコちゃん……」
優しい声がする。
「……キノコちゃん…」
この声はマリアンヌちゃんかな?
「起きて、キノコちゃん。子供達も反省しているわ」
俺は目を覚ました。
「酷い夢を見たよ、マリアンヌちゃん」
「ごめんなさい、キノコちゃん。それ夢じゃないの」
寝よう。
「起きて!」
「週があるじゃないですか」
ここの暦にはあるのだ。
「7日のうち、4日は火、水、風、土で回って下さい。そして、次の日は国の運営の手伝いを。残りの2日は自由時間で。お願いします!これ以上どうしようもありません!」
セアンとリィムはマリアンヌちゃんに泣きついたらしい。……俺、マリアンヌちゃんのお願いにはトコトン弱いんだよねぇ……。
長いこと守らなきゃいけない妹って思ってたから……今もそう思ってる。マリアンヌちゃんも精霊界で過ごすことが多いみたいで、出会った頃のぴっちぴちの16歳のままだ。
きっとノーム様の差し金もあるんだろう。
「言っておくけど、キノコは1本だけです」
「はい」
「キノコは嫁になるつもりはありません」
「とりあえず、分かりました」
「キノコの高価買取はやめてください」
「もうやめました。一部冒険者が暴動を起こしましたが鎮圧しました」
「あとキノコを神様にするのはやめて」
「それは我慢して下さい。信仰は自由なのですから」
スン……。
「おじさま、俺たちはあの日、突然愛するおじさまを失いました。俺たちの気持ちを汲んで下さるなら、少しでも良いので一緒に居てくれませんか?」
確かにあの夜、俺は突然拉致られて……シャラがエドヴァルドを殺した相手だと分かり……カッとなってしまった。残された方にしてみればたまったものではないな。
「あの時、俺たちは10歳。……愛するおじさまを失った衝撃は言うに耐えないものでした」
しかも、俺はシャラを殺した罪悪感でいっぱいになり、自らを永遠の眠りにつかせようとしたな。だいぶ寝たけど。起きたけど。
「10歳と言えば色々興味が出てきて、色々な必殺技を編み出す頃。全ておじさまで試そうと思っていたのに、いきなり相手が居なくなるこの恐怖、分かりますか?!」
ん?セアン、何かおかしい。
「本で知ったあんなとこやこんな事を、手取り足取り腰取り!試そうと悶々とした事!可愛いらしく鳴くおじさまを想像して色々宥めていた事!どれだけ女性を抱いてもおじさまの方が良かったなど!口が裂けても相手には言えませんよ!」
うわ……
「良いですか?!おじさま!その可愛いキノコボディは癖になるお味なんです!そこを理解していただかないと、ますますキノコ被害者は拡大するんですよ!」
キノコ被害者って……どっちかってと、キノコが被害者なんですが……。
「可愛い顔して拗ねない!今すぐブチ犯しますよっ!!」
「ひぃ?!」
俺、なんにもしてないのになんで怒られてるの……。
「ですから!週に4日は素直に足を開いて下さい!自由日に訪れてくれても勿論構いませんよ!嫌ってほど可愛がって差し上げますっ!分かりましたね?!返事!!」
「はひぃ?!」
「よろしい!では愛し合う日を楽しみにしております」
「最初は火だぜ!さあ!行こうぜ!おじさま!」
「子供だからって油断してると火傷しちゃうんだからね!」
あ、子供が怖いことはよーーく存じております。
「ヴェントだよ!」「シャルアだよ!」
凄く、凄くわかりやすい子供が2人。
ミニシャラだ。
完全なるミニシャラだ。
浅黒い肌、白金の髪に青い瞳。柔そうな物腰ではなく、子供らしい利発さ。年の頃は7歳ほどか。
……俺が休眠していた年月と同じくらい。
「あの、シャラは……」
こころが死んだはず。
「元気だよ!!たまに菌糸でぼわーっとするけど、ママは元気!」
「ママはよく言ってるよ、私に必要だったのは絶対に死なない王様だったんですって!キノコちゃんもなかなか良かったですよ!だって」
「生きてるのか、シャラは」
「元気だよー!」
そうなんだ。シャラは元気なんだ。肩の荷がすとんと落ちた気がした。
「それで俺たちが火の精霊王の息子だ。父上に変わってキノコを嫁にするぜ」
……は?
「フォイアと」「ファロです」
え?
「いや、おじさまは私達の嫁に」
「私かセアンに嫁いで頂きます」
嫁ってなに?
「そこは譲りたくないな。俺かアーテルで」
「そうですよ、そろそろこちらに引き渡してください」
は?この子供達なに言ってる??
「やだよー!僕たちと風の渓谷に行こうよ」
「そうだよ!シャラママも待ってるんだから!」
キノコは混乱した!しかし、現状はもっと大惨事だ。おいおい!みんなキノコ大好きだな!?
「こういう時、誰に助けを求めたら良いんでしょうか」
「「「「助けなんて来ない!」」」」×2
キノコは絶望した!絶望したキノコはどうするか?そりゃ、ただ一つ。
「お、お休みなさいっっ!!!」
「あっ!?」
菌糸に戻って寝た。嵐が収まったら起こして下さいっっ!!
「……ノコちゃん……」
優しい声がする。
「……キノコちゃん…」
この声はマリアンヌちゃんかな?
「起きて、キノコちゃん。子供達も反省しているわ」
俺は目を覚ました。
「酷い夢を見たよ、マリアンヌちゃん」
「ごめんなさい、キノコちゃん。それ夢じゃないの」
寝よう。
「起きて!」
「週があるじゃないですか」
ここの暦にはあるのだ。
「7日のうち、4日は火、水、風、土で回って下さい。そして、次の日は国の運営の手伝いを。残りの2日は自由時間で。お願いします!これ以上どうしようもありません!」
セアンとリィムはマリアンヌちゃんに泣きついたらしい。……俺、マリアンヌちゃんのお願いにはトコトン弱いんだよねぇ……。
長いこと守らなきゃいけない妹って思ってたから……今もそう思ってる。マリアンヌちゃんも精霊界で過ごすことが多いみたいで、出会った頃のぴっちぴちの16歳のままだ。
きっとノーム様の差し金もあるんだろう。
「言っておくけど、キノコは1本だけです」
「はい」
「キノコは嫁になるつもりはありません」
「とりあえず、分かりました」
「キノコの高価買取はやめてください」
「もうやめました。一部冒険者が暴動を起こしましたが鎮圧しました」
「あとキノコを神様にするのはやめて」
「それは我慢して下さい。信仰は自由なのですから」
スン……。
「おじさま、俺たちはあの日、突然愛するおじさまを失いました。俺たちの気持ちを汲んで下さるなら、少しでも良いので一緒に居てくれませんか?」
確かにあの夜、俺は突然拉致られて……シャラがエドヴァルドを殺した相手だと分かり……カッとなってしまった。残された方にしてみればたまったものではないな。
「あの時、俺たちは10歳。……愛するおじさまを失った衝撃は言うに耐えないものでした」
しかも、俺はシャラを殺した罪悪感でいっぱいになり、自らを永遠の眠りにつかせようとしたな。だいぶ寝たけど。起きたけど。
「10歳と言えば色々興味が出てきて、色々な必殺技を編み出す頃。全ておじさまで試そうと思っていたのに、いきなり相手が居なくなるこの恐怖、分かりますか?!」
ん?セアン、何かおかしい。
「本で知ったあんなとこやこんな事を、手取り足取り腰取り!試そうと悶々とした事!可愛いらしく鳴くおじさまを想像して色々宥めていた事!どれだけ女性を抱いてもおじさまの方が良かったなど!口が裂けても相手には言えませんよ!」
うわ……
「良いですか?!おじさま!その可愛いキノコボディは癖になるお味なんです!そこを理解していただかないと、ますますキノコ被害者は拡大するんですよ!」
キノコ被害者って……どっちかってと、キノコが被害者なんですが……。
「可愛い顔して拗ねない!今すぐブチ犯しますよっ!!」
「ひぃ?!」
俺、なんにもしてないのになんで怒られてるの……。
「ですから!週に4日は素直に足を開いて下さい!自由日に訪れてくれても勿論構いませんよ!嫌ってほど可愛がって差し上げますっ!分かりましたね?!返事!!」
「はひぃ?!」
「よろしい!では愛し合う日を楽しみにしております」
「最初は火だぜ!さあ!行こうぜ!おじさま!」
「子供だからって油断してると火傷しちゃうんだからね!」
あ、子供が怖いことはよーーく存じております。
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