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キノコ神の使徒達
29 おかしな神殿
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俺はとっとこ走っている。とっとことっとこ!
「体か。ネズミでいいじゃん」
小さな野ネズミの頭の上にキノコをライドオンして、俺は秋のゼードラウンを走り回っていた。
「す、すごいチュウ」
小さな体で俺は街を見上げた。ものすごく発展している!
街の人々は笑顔だし、冒険者も闊歩している。街もきれい!
「やったなぁ、エド。お前の国はものすごく発展してるよ。お前の甥は凄いなぁ……チュウ」
俺はあの2人に国王という名のバトンを渡す仕事をやり遂げたんだなあ。
「に、しても、なんだ」
俺はキョロキョロと行き交う人々を見回すと、かなりの人の頭の上にピンクのキノコかにょっきり生えている。
「あれ……?」
俺は技と語尾をネズミっぽくする遊びも忘れてぼーっと、人々の頭の上を見ていた。
「どいたどいたーー!ウスベニのお通りだよーー!」
「王宮への早馬かー」
「俺もウスベニが採れればなぁ」
「ははっ!あんな高額キノコみつけたらひと財産じゃねーか!1本70万ギルはくだらねぇだろ!」
えっ?どこにでも生えてる毒キノコですよ!
「お客さん……ウスベニいらんかねぇ?」
「どうせ偽物だろ!本物なら王宮に自分で持ってくだろ!」
「へへ……それはどうか分かりませんよ?」
「昨日のS級冒険者、ウスベニの大群生見つけたらしいぞ」
「流石S級キノコハンター!一生遊んで暮らせるじゃねーか」
な、何かおかしい……。
「ウスベニ教に帰依した方がいいかな?」
「あそこは王からの寄付が凄いからなー」
「ウスベニの養殖もしてるって本当?」
ウスベニ教?!ちょっと!セアンとリィム?!
「御神体の確保に忙しいらしいからね」
「御神体様の髪飾りは効果凄いしね」
一体、どうなって……?!ウスベニ教って何?!御神体?!
俺は恐ろしさを感じながらも、お参りに行くという人の後ろをついて行った。
「ど、ドン引くーー!」
国のほぼ真ん中に神殿があり、沢山の人々が訪れていた。その神殿の前の広場に大きな神像が建てられていた。
間違いない俺だ。
大体の作りはエドヴァルドだが、どことなく俺っぽい雰囲気があって……頭にキノコが生えている。
「最悪じゃん、弱点丸見えだよ!」
見当違いの意見、すまん。
「しかし……なんなのこの神殿」
人々に紛れ、俺は神殿の内部に侵入した。
「ママーネズミちゃんよー」
バレた!
「あらあら、あの子も御神体があるわ。きっと神様の御使ね。大切にしましょう?」
おかしい……!おかしいぞ!
奥から神官の説法が聞こえる。
「~であるから、ウスベニ様は精霊様のお力を借り、我ら人々に愛と平和を与えてくださるのです。ウスベニ様最大の教えは愛でございます。例えそれが同性同士、人以外の精霊や動物でも愛があれば胞子を飛ばす事もあるという事です」
は?!飛ばさないでくださいますか?!
俺はすぐさま否定したが……その神官の教えを広めようとする、真摯だが誇らしげな笑顔。
説法を聞く人々の笑顔。神殿に流れる暖かい空気に、精霊も遊ぶ環境の良さ。
内容はどうであれ、これはこれで良いのかもしれない。人は心の中に神を持つという。
頭の上にキノコ神を持っていても悪くないのかもしれない。
「キノコの高値取引はやめて貰いたいな……」
俺はどこにでもいる毒キノコなんだから。
帰ろう。トンデモ宗教だが、これで救われる人もいるかもしれない。あとはセアンとリィムに会ってマリアンヌちゃんを困らせたらいけないよ、と伝えて帰ろう。
そしてまた寒い雪山に行って凍ってしまおう。誰が森へ胞子を運んだか知らないが、俺はまだ罪悪感で息苦しい。
俺は俺として胞子を飛ばす生活に戻れない。
「砂漠や火山でも良いかな」
長い人生?キノコ生だったが十分生きたし、もう良いんじゃないかな。
くるりとネズミの鼻を入り口に向け、光の指す方に向いた。
《逃すかっ!!》
「え?」
そんな声かけて聞こえたかと思うと、俺の小さな体は強風に煽られたかのように、奥へはじき飛ばされた。うおおーーー?!
「体か。ネズミでいいじゃん」
小さな野ネズミの頭の上にキノコをライドオンして、俺は秋のゼードラウンを走り回っていた。
「す、すごいチュウ」
小さな体で俺は街を見上げた。ものすごく発展している!
街の人々は笑顔だし、冒険者も闊歩している。街もきれい!
「やったなぁ、エド。お前の国はものすごく発展してるよ。お前の甥は凄いなぁ……チュウ」
俺はあの2人に国王という名のバトンを渡す仕事をやり遂げたんだなあ。
「に、しても、なんだ」
俺はキョロキョロと行き交う人々を見回すと、かなりの人の頭の上にピンクのキノコかにょっきり生えている。
「あれ……?」
俺は技と語尾をネズミっぽくする遊びも忘れてぼーっと、人々の頭の上を見ていた。
「どいたどいたーー!ウスベニのお通りだよーー!」
「王宮への早馬かー」
「俺もウスベニが採れればなぁ」
「ははっ!あんな高額キノコみつけたらひと財産じゃねーか!1本70万ギルはくだらねぇだろ!」
えっ?どこにでも生えてる毒キノコですよ!
「お客さん……ウスベニいらんかねぇ?」
「どうせ偽物だろ!本物なら王宮に自分で持ってくだろ!」
「へへ……それはどうか分かりませんよ?」
「昨日のS級冒険者、ウスベニの大群生見つけたらしいぞ」
「流石S級キノコハンター!一生遊んで暮らせるじゃねーか」
な、何かおかしい……。
「ウスベニ教に帰依した方がいいかな?」
「あそこは王からの寄付が凄いからなー」
「ウスベニの養殖もしてるって本当?」
ウスベニ教?!ちょっと!セアンとリィム?!
「御神体の確保に忙しいらしいからね」
「御神体様の髪飾りは効果凄いしね」
一体、どうなって……?!ウスベニ教って何?!御神体?!
俺は恐ろしさを感じながらも、お参りに行くという人の後ろをついて行った。
「ど、ドン引くーー!」
国のほぼ真ん中に神殿があり、沢山の人々が訪れていた。その神殿の前の広場に大きな神像が建てられていた。
間違いない俺だ。
大体の作りはエドヴァルドだが、どことなく俺っぽい雰囲気があって……頭にキノコが生えている。
「最悪じゃん、弱点丸見えだよ!」
見当違いの意見、すまん。
「しかし……なんなのこの神殿」
人々に紛れ、俺は神殿の内部に侵入した。
「ママーネズミちゃんよー」
バレた!
「あらあら、あの子も御神体があるわ。きっと神様の御使ね。大切にしましょう?」
おかしい……!おかしいぞ!
奥から神官の説法が聞こえる。
「~であるから、ウスベニ様は精霊様のお力を借り、我ら人々に愛と平和を与えてくださるのです。ウスベニ様最大の教えは愛でございます。例えそれが同性同士、人以外の精霊や動物でも愛があれば胞子を飛ばす事もあるという事です」
は?!飛ばさないでくださいますか?!
俺はすぐさま否定したが……その神官の教えを広めようとする、真摯だが誇らしげな笑顔。
説法を聞く人々の笑顔。神殿に流れる暖かい空気に、精霊も遊ぶ環境の良さ。
内容はどうであれ、これはこれで良いのかもしれない。人は心の中に神を持つという。
頭の上にキノコ神を持っていても悪くないのかもしれない。
「キノコの高値取引はやめて貰いたいな……」
俺はどこにでもいる毒キノコなんだから。
帰ろう。トンデモ宗教だが、これで救われる人もいるかもしれない。あとはセアンとリィムに会ってマリアンヌちゃんを困らせたらいけないよ、と伝えて帰ろう。
そしてまた寒い雪山に行って凍ってしまおう。誰が森へ胞子を運んだか知らないが、俺はまだ罪悪感で息苦しい。
俺は俺として胞子を飛ばす生活に戻れない。
「砂漠や火山でも良いかな」
長い人生?キノコ生だったが十分生きたし、もう良いんじゃないかな。
くるりとネズミの鼻を入り口に向け、光の指す方に向いた。
《逃すかっ!!》
「え?」
そんな声かけて聞こえたかと思うと、俺の小さな体は強風に煽られたかのように、奥へはじき飛ばされた。うおおーーー?!
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