上 下
11 / 71
キノコと王様

11 おやすみまでキノコ

しおりを挟む
 おはようからおやすみまであなたを見つめる毒キノコです。

「エド、俺とお前の関係は何なんだろうな?何か良い物考えてくれ。恋人?男娼?奴隷?」

「そんな扱いをするつもりはないんだが……」

「夜も一緒に寝るからな!いつ暗殺者がきてもおかしくねーんだもん」

 俺が刺されてもキノコ汁が出るだけだが、エドヴァルドが刺されると死んでしまう。良くない。

「良いか!俺を庇ったりするなよ?俺はあっさり復活できるが人間は死んだら終わりだからな!スペアのキノコおいとくからな!日光に当てるんじゃねーぞ!」

 日陰のクローゼットの中に菌糸の入った土と葉っぱを植木鉢の中に入れておく。しばらくすれば俺の可愛い子供達がニョキニョキと顔を出すはず。ピンクの可愛い俺そっくりだぞ。

「俺1人の胞子だから俺そっくり♡」

「そっくりじゃなくなる事もあるのか?」

 あっ!聞いちゃいます?聞いちゃいます??人間の恋人が出来なくて、毒キノコとやっちゃった可哀想な男の話を!

「昔々ある所に、可哀想な男が住んでおりました」

「ヨルム、その話長い?」

「……。俺とヤればかけ合わさったようなのできる…」

 エドヴァルドはドン引きだ!そうだ!それが普通の態度だ!お前は正しい!

「そんな目で見るなよ……」

 俺は悪くない!


 すぐさま帳簿を調べ、植物達から事情聴取をし、ロブ爺さんにヘルプし、俺たちは大量の貴族を切った。
 ある者は代替わりし、あるものは処分、処刑。森へ逃げたものは尽く捕まるか埋まるかした。
 森を通って、情報を他国に売れた者は1人も居ない。

 海に逃げたものは流石に逃してしまったが、一握りだ。
 早く海も掌握してしまいたい。

 これで王宮はだいぶ風通しが良くなった。エドを庇って斬られる事5度、毒を盛られることは数え切れず……。

「どうして、俺が宰相なの?」

「ヨルムが役が欲しいって言ったから。後、私に次いで危険な目に遭う役職だからね」

 実際、今までエドヴァルドを支えてきた宰相殿は毒に引っかかり、目を覚さない。
 皆、役職は欲しいが命は惜しいと宰相の座は座りたくないらしい。

「分かったよー。国王と宰相がデキてるなんて噂は良くあるからまぁ良いか」

 なぁんて思っていたら、あっさり俺は拐われた。俺は武力はないのよー!

 麻袋に詰め込まれ、どこかに運び込まれる。さっぱり分からんが出るとそこにはベッドがある。

「え……まさか」

「お前が王の愛妾って事くらいは分かったんだ!そんなお前が汚されたらあの坊ちゃんはどんな顔がするだろうな!」

 おいおいおいおい!良いのか?俺、本気出しちゃうよーー??

「な、にを」

「分かってるんだろう?お顔のきれいなあんちゃんよお?ん?なんだこりゃ?」

 まずい!まずい!男の視線は俺の頭の上!つまりウスベニ裏毒茸本体
に注がれている!本体攻撃はだめ!死んじゃう!俺は一生懸命考えて閃いた!そうだ!菌糸だ!菌糸に戻ろう!
 寒くなるといつもやってるアレだ!

 菌糸!菌糸!菌糸!!!!

しゅわ……しゅわわ……あ、戻れた。このまま体の中に……あーでも菌糸状態は眠くなるぅ……おやすみなさーい……

「おいおい!恐怖のあまりトンじまったかぁ?まあヤるこたぁヤるんだけどなぁ?楽しませてくれよぉ?」

スヤァ!



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

【完結】王子の婚約者をやめて厄介者同士で婚約するんで、そっちはそっちでやってくれ

天冨七緒
BL
頭に強い衝撃を受けた瞬間、前世の記憶が甦ったのか転生したのか今現在異世界にいる。 俺が王子の婚約者? 隣に他の男の肩を抱きながら宣言されても、俺お前の事覚えてねぇし。 てか、俺よりデカイ男抱く気はねぇし抱かれるなんて考えたことねぇから。 婚約は解消の方向で。 あっ、好みの奴みぃっけた。 えっ?俺とは犬猿の仲? そんなもんは過去の話だろ? 俺と王子の仲の悪さに付け入って、王子の婚約者の座を狙ってた? あんな浮気野郎はほっといて俺にしろよ。 BL大賞に応募したく急いでしまった為に荒い部分がありますが、ちょこちょこ直しながら公開していきます。 そういうシーンも早い段階でありますのでご注意ください。 同時に「王子を追いかけていた人に転生?ごめんなさい僕は違う人が気になってます」も公開してます、そちらもよろしくお願いします。

隠しキャラに転生したけど監禁なんて聞いてない!

かとらり。
BL
 ある日不幸な事故に遭い、目が覚めたら姉にやらされていた乙女ゲームの隠しキャラのユキになっていた。  ユキは本編ゲームの主人公アザゼアのストーリーのクリアまで隠されるキャラ。  ということで、ユキは義兄に監禁され物理的に隠されていた。  監禁から解放されても、ゲームではユキは心中や凌辱、再監禁、共依存など、バッドエンドばかりが待っているキャラ…  それを知らないユキは無事にトゥルーエンドに行き着けるのか!?

子悪党令息の息子として生まれました

菟圃(うさぎはたけ)
BL
悪役に好かれていますがどうやって逃げられますか!? ネヴィレントとラグザンドの間に生まれたホロとイディのお話。 「お父様とお母様本当に仲がいいね」 「良すぎて目の毒だ」 ーーーーーーーーーーー 「僕達の子ども達本当に可愛い!!」 「ゆっくりと見守って上げよう」 偶にネヴィレントとラグザンドも出てきます。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

処理中です...