【完結】花屋のスコットさん

22 運命のつがいなの？

「そうでしたか、おめでとうございます、陛下」

「素晴らしいですな、陛下」

「やりましたな、陛下」

　周りの偉そうなおじさん達が熱のこもっていないお祝いの言葉を紡ぎます。こう言うだろう事は事前に分かっていた事と、誰もこの双子の皇帝には逆らえない事が理由です。
　一番偉い人がこう！と決めたらそうなっちゃうのがこの世界なんですから。

「え？」

「スコットさん、スコットさんは俺.…んんっ！僕達の事が嫌いですか？」

　微妙に少年っぽいルディとサフィにうるっとした目で聞かれたスコットさんは困ってしまいます。嫌いも何も今初めて会った少年達なのですから。

「え、あの、嫌いとかそう言うわけでは無くて……」

　スコットさんの返事が気に入らなかったのか、サフィと呼ばれている左目が青で右目が赤い少年が

「リック、ちょっと」

「ひぃ！」

　部屋の隅にリックを連行します。

「おいてめー！どうなってんだぁ？ぁあん？おめーがスコットさんは子供には優しいですなんて言うから、無理して半ズボンなんか履いてんだぞ？！どう責任とるんだぁ？」

　ヒソヒソ？？声が聞こえて来てしまいます。

「だだだだだ大丈夫ッス！よ、予想以上の好感触ッシタよ！ほら！現にあんだけ至近距離でも逃げ出してないじゃないですか！イケてます！大丈夫ッス！陛下、好かれてるッスよ！もう相違相愛と言っても過言じゃ無いっすよ！」

　過言ですよ、リック。

「ぁあ？……ふむ？やっぱりそうか？お前もそう思うか？だよなー！俺もそう思ってたとこ！だよなだよなー！はー堪らんな！この胸が焦げるような熱い気持ち！はー最高だよ、ありがとうな！リック！スコットさんを見つけて来てくれて！ボーナス出すからな！」

「……どもッス……」

　部屋の隅から、サフィはご機嫌に戻ってきて、にっこり笑います。

「お待たせ！」

　地声？より高くて可愛い声で喋るサフィに、やや引き気味のスコットさん。何せ丸っと聞こえてしまいましたからね！

「スコットさんはぁ、僕達のこと、どうとも思わないんですかぁ？僕達はこんなにスコットさんの事をつがいだって感じちゃってるのにぃ」

　ルディがふにゃっと聞いて来ますが、スコットさんは、首を傾げます。

「そ、そうですね……好感の持てる人物のような気がしないこともないのですが、えーと人違いですよね？」

　今度は渋い顔でルディが部屋の隅に行き、ひと睨みでリックと大臣の一人を呼びつけます。

「おい！てめーら！どうなってんだぁ？！？！」

「あっ！あの！スコットさんは恋愛とあうか人からの好意にも、ものすごく鈍感なところがありましてっ！」

「思うに陛下が双子であるのが原因かと。スコットさんのつがいに向ける熱情が半分づつしか向かわれていないのではないでしょうか！そこは、ホラ陛下達の熱意と、テクニックと……マーキングで何とかしてくださいよ」

　ふむ、ルディは納得できる答えを貰って落ち着いた。

「よし！何とかする！いや出来る！もう一生離さないぞぉー！」

　ご機嫌で戻って行く。リックと大臣は深々とため息をつき、スコットさんのご冥福をお祈りした。ごめん、スコットさん、凄くごめんね……。