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11 お隣さんVS友達
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「ふぅん、スコットさんのお友達ですか」
バキン!空気が破裂します。2人の間には今、見えない何かが渦巻いています。
ぱりん!あっ!スコットさんちの花瓶が割れました!いけません!あまり裕福ではないスコットさんちの備品を壊していけません!
……スコットさんが泣きますよ?
「はい、僕はアルフレッド・フェルナンド。10年前からスコットさんの友達です」
ごごごごご、そんな音が聞こえて来そうですが、アルフレッドも立ち上がりました。
「ふぅん?そんな話し聞いた事もありませんね?」
隊長さんはかなり盛ったアルフレッドの話をドギマギしながら聞きましたが、顔には一切出しません。
アルフレッドも内心は
『お、おと、お隣さん?!?!なにかもう1人の人とも親しそうだし!ぼ、僕なんかよりよっぽど親しいのでは?!』
なんてバクバクしてましたが、2人の表情筋は全く変わりません。2人の闘気?のぶつかり合いもとどまるところをしりません。
そろそろスコットさんの家がギシギシと悲鳴を上げています!ヘルプー!
「アルフレッドさん、少し外で話しませんか?」
「そうですね……」
2人は睨み合ったまま、器用に廊下を歩き、玄関の扉をあけて出て行きました。
『おっ!上手く連れ出してくれたっスね』
音で判断してリックはほっとため息をつきました。ここまで来ればもう安心です。
あとは外で殴り合いでも斬り合いでも好きにしてくれれば良いと思います。そしてシチューもほぼ完成しました。
スコットさんはお鍋の中を覗き込んで嬉しそうです。
「リックさんのお料理は美味しいから嬉しいです」
にこにこと笑うスコットさんをみて、たしかにこう言うところは可愛いな、と思うリックですが、隊長のような変態的思考にはなりません。
「スコットさんも覚えた方が良いかもしれませんね。誰かに振る舞う事があるかもしれないッスよ」
それはうちの隊長でなければ良いな、と思いながら。
「そう、ですね。それは素敵でしょうが、きっとないですね」
少し寂しそうにつぶやくスコットさんを見ないふりして、リックは布巾で手を拭きます。
誰とも結婚してしないつもりのスコットさん。それに意見するほど、リックはスコットさんの人生に踏み込む事もしません。
「さあ、出来たっスよ。いっぱい食べてくださいね!そういえばさっきいた人、どうも隊長とウマがあったみたいで、連れてったようです。今日はウチの方に泊まってもらうんで、スコットさんはしっかり戸締りして寝てください」
「リックさん……!ありがとうございます!」
目をキラキラさせて、子リスのようなスコットさん、略して子リスコットさんは心底助かった!と言う顔をしています。
嫌なものは嫌ってはっきり言わないとつけ込まれますよ!
「では、おやすみなさい」
「はい、リックさんもおやすみなさい」
ぱたんと扉を閉め、ちゃんと鍵をかける音を確認してから、リックはトコトコと丘を降ります。少し離れた所から
「うおおおーーー!スコットさんの家に泊まろうなど言語道断だーー!」とか
「友達だから良いんですーー!やーいやーい!」なんて聞こえて来ますが、慌てず騒がず、リックは2人が力尽きて倒れる頃に回収しに来れば良いのです。
「大丈夫っスかねぇ?スコットさん。ウチの弟達より心配っス」
丘の上の花屋を見上げて、ハァとため息をつきます。リックの頭の中で、スコットさんは一番下の10歳の弟と同等のようですね。
バキン!空気が破裂します。2人の間には今、見えない何かが渦巻いています。
ぱりん!あっ!スコットさんちの花瓶が割れました!いけません!あまり裕福ではないスコットさんちの備品を壊していけません!
……スコットさんが泣きますよ?
「はい、僕はアルフレッド・フェルナンド。10年前からスコットさんの友達です」
ごごごごご、そんな音が聞こえて来そうですが、アルフレッドも立ち上がりました。
「ふぅん?そんな話し聞いた事もありませんね?」
隊長さんはかなり盛ったアルフレッドの話をドギマギしながら聞きましたが、顔には一切出しません。
アルフレッドも内心は
『お、おと、お隣さん?!?!なにかもう1人の人とも親しそうだし!ぼ、僕なんかよりよっぽど親しいのでは?!』
なんてバクバクしてましたが、2人の表情筋は全く変わりません。2人の闘気?のぶつかり合いもとどまるところをしりません。
そろそろスコットさんの家がギシギシと悲鳴を上げています!ヘルプー!
「アルフレッドさん、少し外で話しませんか?」
「そうですね……」
2人は睨み合ったまま、器用に廊下を歩き、玄関の扉をあけて出て行きました。
『おっ!上手く連れ出してくれたっスね』
音で判断してリックはほっとため息をつきました。ここまで来ればもう安心です。
あとは外で殴り合いでも斬り合いでも好きにしてくれれば良いと思います。そしてシチューもほぼ完成しました。
スコットさんはお鍋の中を覗き込んで嬉しそうです。
「リックさんのお料理は美味しいから嬉しいです」
にこにこと笑うスコットさんをみて、たしかにこう言うところは可愛いな、と思うリックですが、隊長のような変態的思考にはなりません。
「スコットさんも覚えた方が良いかもしれませんね。誰かに振る舞う事があるかもしれないッスよ」
それはうちの隊長でなければ良いな、と思いながら。
「そう、ですね。それは素敵でしょうが、きっとないですね」
少し寂しそうにつぶやくスコットさんを見ないふりして、リックは布巾で手を拭きます。
誰とも結婚してしないつもりのスコットさん。それに意見するほど、リックはスコットさんの人生に踏み込む事もしません。
「さあ、出来たっスよ。いっぱい食べてくださいね!そういえばさっきいた人、どうも隊長とウマがあったみたいで、連れてったようです。今日はウチの方に泊まってもらうんで、スコットさんはしっかり戸締りして寝てください」
「リックさん……!ありがとうございます!」
目をキラキラさせて、子リスのようなスコットさん、略して子リスコットさんは心底助かった!と言う顔をしています。
嫌なものは嫌ってはっきり言わないとつけ込まれますよ!
「では、おやすみなさい」
「はい、リックさんもおやすみなさい」
ぱたんと扉を閉め、ちゃんと鍵をかける音を確認してから、リックはトコトコと丘を降ります。少し離れた所から
「うおおおーーー!スコットさんの家に泊まろうなど言語道断だーー!」とか
「友達だから良いんですーー!やーいやーい!」なんて聞こえて来ますが、慌てず騒がず、リックは2人が力尽きて倒れる頃に回収しに来れば良いのです。
「大丈夫っスかねぇ?スコットさん。ウチの弟達より心配っス」
丘の上の花屋を見上げて、ハァとため息をつきます。リックの頭の中で、スコットさんは一番下の10歳の弟と同等のようですね。
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