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6 隊長さんの仕事

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 さて、スコットさんがもじもじする時期がやってきてしまいました。

「あの、隊長さん……明日辺りから……」

「ああ!仕入れの旅ですか!店をしめるんですね、分かりました、いってらっしゃい」

「あ、はい!行ってきます」

 スコットさんは自分はβだとみんなに言っていますから、発情期に入るとまあ言い訳じみた事を言わないといけないのです。
 特に毎日花を買いに来る隊長さんには。

 こうして、大量に食料を買い込み、この家にある地下室にこもってやり過ごすのが、スコットさんのいつもです。
 今回もたくさんたくさん食べ物を買い込んで、うんしょうんしょと運んでいます。どうみても冬籠もり前のどんぐりを集めるリスですね!

 ま、バレバレなんですが、本人が隠しているなら、そっとしておいてあげるのが、優しさってものです。

 予定通りスコットさんが地下室に篭り始めると、警備隊は慌ただしくなります。

「来たか」

 隊長の眉と眉の間には常に皺ができて厳しいお顔。出来る男の顔になります。

「はっ!結界魔導士ナッシュ!以下5名!到着であります!」

「はっ!剣士、ディーノ以下3名です!」

「はっ!神官2名!頑張ります」

「よろしい。こちらの10人と合流。私とリックの班に別れてもらう。ナッシュはリック班で花屋中心に頼む」

「了解です!隊長!」

「すぐに布陣する!急げ!!」

 はっ!短い返事が聞こえて、バタバタと駆け出して行きます。全員で20人。それが花屋を中心に陣を構えます。

「スコットさんの貞操は俺たちが守るんだ!」

「はいっ!隊長!!」

 気合いが入っているのがとても気持ち悪いですが、3ヶ月に1度、これは起こるんです。

「今日こそ奴らを突破し、スコットさんの元にたどり着くぞ!」

「スコットさんまっててね!今回こそスコットさんを嫁に!」

「スコットさんー好きー!」


「戦闘開始だぁーーー!」
「うおおおーーー!」

 こんな事を毎回しているのでスコットさんのお店の周りは何もない草原地帯なんですよね!

 打ち鳴らされる剣戟、飛び交う魔法。自国だろうが他国だろうが、切り捨てて、隊長は頑張りますが、たまーに

「ここの地下で今ごろスコットさんは……も、悶えて……あっ!」

 ぶはっと鼻血を出したりしているわけです。そこにチャンスとばかり切り込む人は……少ないんです。

「ぷ!あいつ鼻血吹きやがった……何を考えて……あっ!」

 隊長が考えてることはスコットさんの事だと察しがついて、赤い噴霧者が増えています。

「あいつら、鼻血なんて……やべっ!」

「馬鹿じゃないの?……うっ!」

「い、一時退却ーーー!」

 
 結構ゆるゆるな戦闘なんですね。その中で、花屋に結界を張る結界魔導士のナッシュさんはまじめに働いていたりします。

「す、スコットさんにこの惨状の音声をお届けするわけにはいかないからーーー!」

 ナッシュさんは今回も大活躍です。
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