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「ふいー!今年も頑張ったー!大漁大漁!」

 額の汗をタオルで拭きつつ、今年の成果を吟味する。

「今年はどうかなー?」

「おりますよ、1番末が姫君です!」

「おお!やったぜ!やっぱり数が多いと女子を引く確率も上がんのかな!」

 俺、すごいじゃねーか!ひっさしぶりの女の子はティセルに似て美人な狼になりそうだ。

「後は羊がお二人で狼がお一人です。今年もなかなかよろしい配分ですな」

「ははっ!そうだな!」

 オーグ出身のじーさん先生に褒められて、俺は笑う。羊だけの年は流石に睨まれたっけ。次の年狼ばかり産んだらまた褒められたっけ。

 俺が子供を産むのはここ数年の年間行事に組み込まれている。仕方がないだろ!出来るんだから。
 まあ子供はいくらいても可愛いし、育てられる環境も金もある。なら、両手両足の指の数以上の子供がいたって良いだろう?

 ずいぶん前に若い医師に聞かれた事がある。

「シーファーン様、避妊はなさらないので……?」

「ん?ヒニンってなんだ?」

 その医師はすぐさまメイド達に取り囲まれ、どこかへ連れ去られてしまって、それっきり見なくなった。何だろうな?

「ティセル、ヒニンって何よ?」

 そう聞くと、俺の大好きな顔でにっこり笑って

「つまらないことですよ」

 そう言って押し倒して来たので、まあどうでも良い事だったんだろう。楽しく夜は盛り上がって、次の日の朝には何を聞いたか忘れてしまっていた。
 ティセルがなんかしたようだが、俺の旦那様は俺が困る事はしないので良いだろう。ティセルが旦那様になってから、頭を使う事はほぼティセルに任せてしまった。だってティセルは本当にあたまがいいんだもん。
 俺の大っ嫌いな書類仕事までテキパキとこなしてくれるんで、それだけでも結婚して良かったなーと思う訳だ。

「シファ!」

「よう!見たか?全員可愛かろう?」

 俺達の子供は本当に全員可愛い!良く冗談で「食べちゃいたいですよ」なんてティセルは言うが、少し冗談に聞こえない。狼め!

「可愛いですね。本当に全員、あなたの次に可愛い」 

 そう言ってキスを贈って来るから、タチが悪い。くそっ!可愛い旦那様め!

「さあ、疲れたでしょう。今は休んで?」

「そうだな、そうしようかな。産んですぐには流石に次は仕込まんだろ?いくらお前でも」

 さあ?どうでしょう?と悪戯っぽく笑う。可愛い顔で怖い事を言う!

「あなたがもういらないと言うまで」

「一生言わなかったらどうするんだ?」

 頭の良い旦那様はうーん?と少し考え込んだが

「もっと大きな家が欲しくなりますかね?」

「そうだな!」

 あと何人増やせるか楽しみだ!



おしまい
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