上 下
10 / 13

10 ティセル視点

しおりを挟む
「王子……ふは、可愛いな……お前」

 ほんの少しだけ薬を盛った。どの国も自国の王子には毒耐性を付けさせるべく、多少の毒は飲ませて慣れる訓練をするだろうが、アルガ国では大して行っていないようだった。
 薬は良く効き、シーファーン様はその日の夜に私の元にやって来た。

「ふは、俺好みの可愛い子ちゃん」

 会ってすぐ、しかも国の代表でやってきた私の部屋に忍び込み、しかものしかかるとは、普通でない思考と判断力の低下を疑うべき所なのに。
 なんて可愛くて、残念で……私好みの人なんだ。触れ合えば触れ合うほど惹かれてゆく。

「小さい尻だ……入るのか?」

 そっと小さく薄く魔法を使う。支配・洗脳・魅了。私はどれも使える。そっと、耳元に囁くように洗脳する。

あなたが私を受け入れるんです

「ああ、そうか。俺が咥えれば良いのか」

 可愛い人!軽く暗示程度なのに、すっかりその気になっている。アルガの軍神様はやはり頭の中身と魔法抵抗を鍛える事はあまりしていないようだった。

「ふふ、そうならこっちを向けて……うお」

 知ってる。私の私はでかいのだ。顔と体に似合わず、とても……その、ご立派だ。閨教育の実習で相手を引き攣らせ、平伏して泣かせてしまったほどでかいのだ。
 まだ小さい私の体は多分釣り合いが取れるほど、大きくなれるせいだと思っておく。

 そのデカブツを見て、シーファーン様も引き気味だったが

「ま、大丈夫だろ」

 あっさり私の上に跨って、先っぽをぴたりと合わせた時は流石にドキドキしたし。

「ん、んんっ……あっ」

 と、私の上で艶かしい声を上げられると、アレが更にたぎるのが分かった。

「あ、ああ……入ったぁ……」

「あー……ダメですぅー」

 嬉しくて嬉しくて抱きつきたかったが、ここは計画のため、我慢した。代わりに少し魔法を強めて、何度も何度も中に出させて貰った。
 ああ、今夜はなんの結果もでないが、すぐに私の子供を孕ませてあげるからね、シーファーン様!


 あけて翌日、やはり昨日の情事は偉い人の知るところになる。いや、私が噂をばら撒いて、シーファーン様を絡め取ったのだ。

 アルガ王にも訴え、私の願いが通るよう囁く。そして私はシーファーン様の部屋へメイドを伴って向かった…確実に私から逃げられなくする為に!

「あーティセル王子」

 毛布の中かは申し訳なさそうに眉を寄せるシーファーン様。そんな顔をしなくても大丈夫ですよ。もっと申し訳なくなる事をあなたにするんですから!
 ふふ、寝たふりをしているなんて可愛い人だ。狼の聴力を舐めないで頂きたい。

 無論廊下の見張りの兵士には寝て貰ったし、この部屋には誰も近づかないように、私の手駒の戦闘メイドが配置されている。
 屋外ならまだしも、狭い家屋の中ではアルガリ羊達はその立派な角が邪魔だろうし、逆に小回りの効く雌狼達は素晴らしい動きをしてくれるだろう。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた! どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。 そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?! いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?! 会社員男性と、異世界獣人のお話。 ※6話で完結します。さくっと読めます。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

僕のダーリンがパーティーから追放宣言されて飼い猫の僕の奪い合いに発展

ミクリ21 (新)
BL
パスカルの飼い猫の僕をパーティーリーダーのモーリスが奪おうとしたけど………?

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...