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「待て!待て!ティセル!今、やった所で何にもならん!やめろ!な?!」

「なりますよ!私があなたを抱きたいんです!あんまりにげるようなら支配しますよ!」

「待て!それはやめろ!腹の子に響いたらどうする!」

「じゃあ大人しく股を開いて下さい!十発もやれば満足しますから!」

「いやー!多い!ケダモノー!」

「好きなくせに!」

 そりゃ好きだけどよ!でもな!?俺はでかい腹をぽんぽんと叩いた。あの時言った通り、俺は見事に孕んでいて見事に膨らんでいた。

「三つ子ですね」

「うわぁお、いいペースだな」

 どの子も皆元気過ぎるほど元気で、中からボコスカ蹴ってくる。

「男の初産は何が起こるか分かりませんから、国から人を呼ぶ事をお許し下さい」

 ティセルは父上にそう言い、俺はオーグ国の皆さんに囲まれて過ごしている。図太い俺だから良いけど、うちの国民だとみんな震え上がるぞ!

「ティ!ティセル!こんな産まれそうな時に盛るな!」

「嫌ですー!シファを抱きたいんです!」

 くっ!俺の大好きな可愛い顔をしても!してもダメなんだぞ!って……

「あ、やっぱダメだ、ティセル。なんか、腹いてぇ……」

「シファ?!誰か!シファが!!」



「男の初産は何が起こるか分からないんじゃなかったのか?」

「不測の事態に備えただけです。シファが体力と筋力があるから、スルッとひねり出せただけですよ」

 俺はぷりっと三つ子を出産した。ティセルそっくりが2人、俺に似ているのが1人。

「全員男の子ですね」

「狼と羊が同じ腹から出てくるとは」

 どれも可愛いけれどな。ティセルの色と俺の色をミックスされたような子供達。まだ目が開いてないから何色か分からんが、何色でも可愛いだろう。

 ミュウミュウ泣く子供らを1人づつメイドが連れてゆく。湯で洗い、ミルクを飲ませるのだ。流石に乳は出ないらしい。

「その立派な胸にしゃぶりつくのは私だけで良いという事です」

 ……胸筋な……。

「お疲れ様です。私の可愛い奥様」

「ありがとうよ、俺の可愛い旦那様」

 ちゅっとキスを贈り合う。ああ、そうだ。狼の王子と羊の王子。俺の方が羊でティセルは狼だ。


 何の事はない。おバカな羊が狼に食べられた、良くあるそんな話だった訳だ。



 
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