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 部屋で悶々としていると、外が騒がしい。なんだなんだ。

「ですから、第四王子は謹慎を……」

「お願いです!会わせて下さい!」

 声には聞き覚えがある。我が国へ使者と言う名目で送られた人質のティセル王子の声だ。
 あちゃあ……父上や兄達に文句を言われるのはなんとも思わんが、あの可愛い顔に叱られるのは堪えるな。会いたいがここはなんとかして追い返して貰いたい。

「す、少しだけですよ?」

 おいてめぇ!見張り!仕事しろ!仕方がない。寝たふりだ。俺は寝てるから、今来ても会えませんよっと。
 バサッと頭から毛布を被った。

 コンコンとノックの音が響くも無視を決め込む。

「寝ていらっしゃるんでしょう。多分ちょっとやそっとじゃ起きないと思いますよ。図太い方ですから」

 てめー!見張り誰だ!後で覚えてろよー!

「あの、一目だけでも良いので」

 キィ、扉の開く音がする。うお!入ってくるのかよ!見張り!ちゃんと止めろよ!馬鹿じゃねーの!

 ティセル王子は足音を立てずにすっと近づいて来て、すぐ側に立っている。うっ目を開けて顔を見たい!だが何を言えば良いかも分からん!このまま寝たふりでやり過ごそう!

 すん、すんと鼻を鳴らす音が少しだけ聞こえ、俺の耳元で声がする。

「起きてらっしゃいますよね?鼓動の音が少し早いですから、分かりますよ」

 えー……分かるんかい……。俺は観念して目を開けた。

「……やあ、おはよう……」

「おはようございます」

 笑顔で挨拶を交わす。くそっ!可愛い!

「あの!私のせいでシーファーン様がお叱りを受けたとか!申し訳ありません!」

 何言ってんのかな?この子。

「いや、悪いのは俺であんたは何にも悪くないから」

「しかし!」

 俺が加害者、あんたが被害者なのに。真面目なのか優しいのか……ますます可愛い!ああ、こんな可愛い生物と一発やれてよかった!
 これでどこの戦場に送られても楽しくやれそうだ。一応俺は強いからね。アルガの軍神とか笑っちゃう通り名とか付けられてるけど。
 軍神とか!そんな強い訳ないじゃねーか。俺だっていつか負けるし、そう言う時にあー良かったなーって思い出せそうなくらい良かったなー。

「あの……せ、責任……」

「あー……悪かった。王子には何の咎もないと皆分かってるから大丈夫、問題ないよ。ゆったり過ごして欲しい。もう俺もあんな事二度としない」

 しないじゃない、出来なくなる。要注意人物を王宮に置いておく必要はない。場所が決まれば俺は飛ばされる。魔物が跋扈する辺境か、魔物みたいな腹黒が暗躍する別の国との戦場か。

「そ、それは困ります!じゃなくて、私が責任取りますから!」


ん?

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