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20 ユーティアの父の兄達

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「チャールズ!昨日のアレは何なのだ?!「グラフの末の娘」はどうした?!」

「「グラフの末の娘」が我々に会いたくないと言ったからお前に任せていたのだが、昨日の事は見過ごせん!一体どう言うことなんだ?!」

 ラング家を継いだのは「グラフの末の娘」であったユリアデットと結婚したチャールズで、兄の二人はそれぞれ格下ではあるが伯爵家に婿入りしており、順調に領地経営をしていた。

「王太子殿下もどう言う事なのだ!「グラフの末の娘」を捨てるなどと国とラング家を滅ぼすおつもりか!?」

「忘れたのか、チャールズ!「グラフの末の娘」あってのお前だと言う事を!グラフの指輪の力でラング家の血族は栄えておるのに!」

「ジョセフ兄上……コリンズ兄上……?!」

 ラング侯爵家の元々の長男がジョセフと言い、次男がコリンズと言う。家督を継いだのは「グラフの末の娘」であるユリアデットと婚約し、結婚した三男のチャールズであったが、二人とも王太子アレクシスが婚約破棄を叫んだ夜会に参加していたのだ。
 現在の「グラフの末の娘」ユーティアを侮辱して
が起こるのでは!?と朝から馬車を飛ばしてラング家に駆けつけたのだ。

「ユリアデットはあまり我らと関わりになりたくないとお前が言っていたろう?ユーティアもそうだとお前から聞いている。「グラフの末の娘」の機嫌は損ねたくないからな、顔をあまり出さぬようにしていたが、今回は流石に黙ってはいられぬ。ユーティアの機嫌はどうだ?」

「そうだぞ、チャールズ。「グラフの末の娘」の力で我々は幸運に支えられておる事を忘れてはおらんよな?ユーティアはどこだ?流石今日くらいは会わせてくれるよな?」
 
 兄二人に詰め寄られ、チャールズ更に顔を青くした。はるか昔、まだチャールズの両親が生きていた頃に何か言っていたようなきがした。
 ただ、口煩く大切にしろ、大切にしろと何度も言われ飽き飽きした記憶しか残っていない。

「叔父様達ですわよね!ミーアですっ」

 深刻な雰囲気は呼ばれてもいないのにやって来た場違いに明るい声に掻き消される。

「どうしたんですかぁ?ミーアに何かお土産とか、あるんですかぁ?」

 ください!と両手を差し出さんばかりのミーアをチャールズの二人の兄は醜悪な巨大バエを見る目で見下し、吐き捨てる。

「チャールズ。この疫病神を早く追い出せ」

「こいつのせいでラング家どころかその恩恵を受けている我々の家まで影響がてたらどうする」

「や、疫病神?!それってミーアの事?!」

 何か素敵な物を貰えると、にこにこ笑っていたミーアが一瞬で固まった。

「チャールズ、ユーティアはどこだ??我らの大切な「グラフの末の娘」は?」

「ユーティアがいるから、お前の連れ込んだ平民共を見て見ぬふりをしてやっていたんだぞ?全く、そのユーティアを蔑ろにするような事をするゴミは早く処分しろ、良いな?チャールズ。ラング家の名に泥を塗るな」

「え……?え……??」

 優秀と言われている二人の兄からここまで言われては、愚鈍なチャールズもかなりまずい事になっていると、焦りがじわじわ広がって来た。

「ユーティアはどこだ?」

「早く会わせろ。怒っていなければよいが……王太子殿下はもう駄目だな。我が家の家系の誰かと新たに婚約出来ないものか……」

「私達の息子では血が近すぎるからなぁ。出来ればラング家縁の者が良いが……。この恩恵は手放したくないぞ」

 自身の繁栄の為におモア悩む二人の書面上の叔父にミーアは怒りをぶつけた。

「何よ!あんた達もユーティア!ユーティアなんて!!ユーティアはいないって言ってるでしょう!あの汚い指輪を持って帝国へ言ったわよ!!」

 その言葉がジョセフとコリンズの頭脳に染み込むのに、かなりの時間を要した。




 
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