65 / 69
65 張り切って行こう!
しおりを挟む
「ホルランド殿下が教えてくださいました。あの方はシャトルリア様の不利になることは何一つしないので。ある意味最強の番犬ですよ」
「ば、番犬って……帝国の王子様を捕まえてなんてことを」
「良いんです!犬みたいなもんでしょっウチには2匹もいるんですよっ」
「ご苦労様でございます……」
宰相さん……元宰相さん、テリーさんか?彼には全部話さなきゃならないと思っていたから、ちょうど良かった。
「神様のせいでウチの国が弱かったなんて、私の力じゃどうこうできることじゃなかったんだと分かってホッとしたりしましたし、あの苦労は何だったんだーなんて思いましたけどね」
「ははは……そうだよね」
「まあ、まともな方に代わられたみたいで安心しています。これでもう頑張る必要がない。楽に生きさせて貰います、って言いたい所だったんですけどねー」
さすり、とお腹を撫でた。
「2人目ですね」
「そうなりますね」
きっと体調を崩すことが増えたんだろう、だからオリーとリッツが血相変えて連れて来たんだ。1人目を産んでから半年と言うところで、少し早過ぎるような気もするけれど、大丈夫なのかな?
「実はですね、夢にそれはそれは綺麗な金髪の若者が現れて謝るんですよ」
「金髪?」
俺が知ってる夢に出て来る綺麗な金髪は神様くらいだけど、もしかして?
「なんでも、流石にもう少し日数を空けて送る予定だったんだけど、世界がはっちゃけて、更に忖度しちゃって、と」
「はっちゃけて、忖度?? 」
どう言うことかな?
「世界自身、前任者のやり方に困り果てていたそうで。それが代わったから嬉しくなってしまったと。血を薄めて行ったり、足りないものを埋める作業は長い世代交代の期間を取るつもりだつたのに、世界が勝手に少し早めてしまっているそうで」
「へ、へえ……」
前任者のミミズにされた奴はどうやら世界からも嫌がられていたんだ。それがまともな神に代わったからって?
「元々ルーセン地方の人間は母となる為の素養が高いから大丈夫だろうけど、しっかり加護を贈るからすまないけどよろしくね、と言われました」
「はあ、なるほどって感じですね」
「ええ、神とは初めて相対しましたが、非常に良い人だと感じました。彼がシャトルリア様の神で間違いないのですね? 」
「多分、そうだと思います。きっと宰相さんに先人役をお願いしたんでしょうね」
宰相さんはふう、とため息をつく。横からオリーがぬるめの白湯をさっと差し出すのが面白い。ついでにそれを自然に受け取って自然に飲んでいるのもなんか凄い。これが慣れなのか……?
「まあ、何かあっても私ならば最悪なんとかなりますし。シャトルリア様や勇者が危険な目に合うのは避けたい」
空になった小さな湯呑みはさっとリッツが受け取る。2人の方をチラリとも見ないままなのがなんか、宰相さんって感じ。
そして宰相を辞めた今でも国のことを一番に考えてくれている人。なんて言うか頭が上がらないなぁ。そう言えば聞きたいことがあったんだ。
「ねえ、宰相さん。神様にあった時に、神様に小さな子供達がくっ付いてなかった?やんちゃそうな、神様の髪の毛を引っ張ったり、ほっぺをつねったり服をめくったりしてる傍若無人な子供達」
多分、次がいるはず。
「ああ、いましたね。全員可愛らしい子供達でしたよ」
「何人くらいいたか覚えてる?」
宰相さんはその時のことを思い出したがら、指を折っている。親指、人差し指指、中指……え?
「えーと、多分五人くらいですかね?リッツとオリーの髪の色に似ている子もいましたよ」
「へ、へえ……後、五人……」
多分、今お腹にいる子はその子達とは別じゃないかな……俺がさっと目を逸らして、オリーとリッツをチラ見したのを宰相さんは首を傾げて見ていたが、気がついたらしい。
「ご、五人……も、もしかして、後、五人……? 」
「俺の口からは何とも言えないですね……」
俺だってなんか相当先まで予約済みっぽいし……。
「訂正します、神はクソです」
「あ、はい。でも大丈夫だからねって言われると思います」
俺達は張り切って混血に力を貸すことになっているようだ。きっと良いこといっぱいあるよ、きっと。
「ば、番犬って……帝国の王子様を捕まえてなんてことを」
「良いんです!犬みたいなもんでしょっウチには2匹もいるんですよっ」
「ご苦労様でございます……」
宰相さん……元宰相さん、テリーさんか?彼には全部話さなきゃならないと思っていたから、ちょうど良かった。
「神様のせいでウチの国が弱かったなんて、私の力じゃどうこうできることじゃなかったんだと分かってホッとしたりしましたし、あの苦労は何だったんだーなんて思いましたけどね」
「ははは……そうだよね」
「まあ、まともな方に代わられたみたいで安心しています。これでもう頑張る必要がない。楽に生きさせて貰います、って言いたい所だったんですけどねー」
さすり、とお腹を撫でた。
「2人目ですね」
「そうなりますね」
きっと体調を崩すことが増えたんだろう、だからオリーとリッツが血相変えて連れて来たんだ。1人目を産んでから半年と言うところで、少し早過ぎるような気もするけれど、大丈夫なのかな?
「実はですね、夢にそれはそれは綺麗な金髪の若者が現れて謝るんですよ」
「金髪?」
俺が知ってる夢に出て来る綺麗な金髪は神様くらいだけど、もしかして?
「なんでも、流石にもう少し日数を空けて送る予定だったんだけど、世界がはっちゃけて、更に忖度しちゃって、と」
「はっちゃけて、忖度?? 」
どう言うことかな?
「世界自身、前任者のやり方に困り果てていたそうで。それが代わったから嬉しくなってしまったと。血を薄めて行ったり、足りないものを埋める作業は長い世代交代の期間を取るつもりだつたのに、世界が勝手に少し早めてしまっているそうで」
「へ、へえ……」
前任者のミミズにされた奴はどうやら世界からも嫌がられていたんだ。それがまともな神に代わったからって?
「元々ルーセン地方の人間は母となる為の素養が高いから大丈夫だろうけど、しっかり加護を贈るからすまないけどよろしくね、と言われました」
「はあ、なるほどって感じですね」
「ええ、神とは初めて相対しましたが、非常に良い人だと感じました。彼がシャトルリア様の神で間違いないのですね? 」
「多分、そうだと思います。きっと宰相さんに先人役をお願いしたんでしょうね」
宰相さんはふう、とため息をつく。横からオリーがぬるめの白湯をさっと差し出すのが面白い。ついでにそれを自然に受け取って自然に飲んでいるのもなんか凄い。これが慣れなのか……?
「まあ、何かあっても私ならば最悪なんとかなりますし。シャトルリア様や勇者が危険な目に合うのは避けたい」
空になった小さな湯呑みはさっとリッツが受け取る。2人の方をチラリとも見ないままなのがなんか、宰相さんって感じ。
そして宰相を辞めた今でも国のことを一番に考えてくれている人。なんて言うか頭が上がらないなぁ。そう言えば聞きたいことがあったんだ。
「ねえ、宰相さん。神様にあった時に、神様に小さな子供達がくっ付いてなかった?やんちゃそうな、神様の髪の毛を引っ張ったり、ほっぺをつねったり服をめくったりしてる傍若無人な子供達」
多分、次がいるはず。
「ああ、いましたね。全員可愛らしい子供達でしたよ」
「何人くらいいたか覚えてる?」
宰相さんはその時のことを思い出したがら、指を折っている。親指、人差し指指、中指……え?
「えーと、多分五人くらいですかね?リッツとオリーの髪の色に似ている子もいましたよ」
「へ、へえ……後、五人……」
多分、今お腹にいる子はその子達とは別じゃないかな……俺がさっと目を逸らして、オリーとリッツをチラ見したのを宰相さんは首を傾げて見ていたが、気がついたらしい。
「ご、五人……も、もしかして、後、五人……? 」
「俺の口からは何とも言えないですね……」
俺だってなんか相当先まで予約済みっぽいし……。
「訂正します、神はクソです」
「あ、はい。でも大丈夫だからねって言われると思います」
俺達は張り切って混血に力を貸すことになっているようだ。きっと良いこといっぱいあるよ、きっと。
87
お気に入りに追加
1,549
あなたにおすすめの小説

王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる