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50 手のひら返しでも許そうと思う

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「シャトルリア様、本当に、本当に申し訳ございませんでした!!」
「いえ……」

 とりあえず俺は学園時代の同級生から盛大に謝罪を受けている。何せ俺を虐めてきた奴らは、大なり小なりシェリリアから薬の提供を受けていた。薬は凄く強烈なもので、一回くらいならまだ平気だが、5回.6回と進めばやはり後遺症が出てきているらしい。俺を虐めて喜ぶくらい性格が歪まされた生徒達はやはり何度も口にしていたようで、後遺症が酷いらしい。
 そしてキラキラでもどこか腹黒王太子に戻ったホルランド様を目の当たりにして、俺に泣きついて来たってことだ。あーあ、知らんけど。って言いたい、物凄く言いたい。それに殿下のためにシェリリアから聞き出したあの薬の材料とそして解毒剤の権利は俺が所有ということになっていた。

「シャトルリア様がその御身を汚してまで手に入れてくださったからできた解毒剤でございます。シャトルリア様の許可がなければお渡しすることはできません!」

 と、薬剤部が頑ならしい……いいじゃん上げなよ、って思ったけれど殿下がそのまま俺の許可がなきゃ渡しちゃだめって決めてしまった。

「皆、シャトの苦労に感謝をしたほうが良いだろう。あのシェエリリアのいうことを聞くなんて、誰にでもできることじゃない……ありがとう、シャト。本当に……」
「いえ、あの……大丈夫ですから」
「何のためらいもなくあの女に頭を下げたと聞いている……本当に、本当に……はぁ好き」
「……やっぱりまだどっか悪いのかな」

 でもそんな感じで帝国貴族のかなりの名家が俺に頭が上がらない状況になっているんだ。

「もう意地悪されるシャトを見たくないんだ。だから、ね?」
「う……分かりました」

 ちょっと悪戯っぽく微笑むイケメンの破壊力は凄い力だ。しかも今の殿下は自分の顔面偏差値を完全に把握していて、さらにどの角度で見せれば一番効果的かも知っていてわざとそれを使っているようにしか見えない。前は完全天然だったけど、今は養殖の気配が見える……怖い。俺の本能がアレには逆らうなと囁いてくるぜ……。

 てか、アレと結婚すんの?そして二人は一生仲良く暮らしましたとさ?めでたしめでたし?

 無理、絶対無理ー!

「シャト?考えごと?」
「あ、いえ何でもないです。解毒剤を貰ってって下さい。それでも不安なら私が診てみましょう」
「あ、ありがとうございます!シャトルリア様!」
「ははは……」

 同級生達の手のひら返しは調子が良すぎる気がするけど、俺は許そうと思う。麗しの王太子殿下の婚約者が俺みたいのじゃあ大体理不尽に思うだろう。しかも悪魔の薬を盛られてたんじゃ仕方がないのかな?なんて思ったりしてしまうんだ。



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