46 / 69
46 ばいばい、頑張ってね……。
しおりを挟む
「ふええええん! シャトルリアさまああああああすいませぇ~~ん!」
「わわ、宰相さん?! どうしたの」
「あいつらが、あいつらがーーーー」
凱旋だろうか。悪魔を打ち倒して勇者セイルと騎士団が一人の死者もなく王宮へ帰還する。いろいろな手続きをして一息つき、宰相さんに報告しようとすると泣きつかれた。
「ふええええええ、お帰りなさいのついでに助けてください~~~~!」
「え、助ける? どうしたの??」
そういえば宰相さん、俺が出かける前と今は随分様変わりしてる。前はかっちりした出来る文官! って感じの礼服を着込んで隙の無い国の重鎮さん、って感じだったのに。今は割とラフっていうか……はっきりいって随分とまあ……。
「スケスケな服を……」
「だから助けてくださいーー!」
ていうかそれ、寝間着っていうか、ネグリジェっていうか……エッチな服だ。少し伸ばした髪の毛も手入れされて艶々だし、唇にはちょっと紅を引かれててお化粧してる? 助けてーって言ってる手の爪もピカピカしてて……なんか乳首に鈴ついてません? チリンチリン可愛い音が聞こえますが??
あとパンツ穿いてませんよね? どこに置いて来たんです??
「可愛い人、手間をかけさせるなて。あ、シャトルリア様無事のお帰りお喜び申し上げます。すいみません、彼はもう少し貸してくださいね」
「えっと……ヘンドリクセン副団長(兄)?」
俺は知ってる。皇帝陛下の直属のエリート騎士団の中でも特にエリート中のエリート、ヘンドリクセン侯爵家次男のリッツ様だ。そのリッツ様がこれまた男の色気ムンムンなエッチな格好で現れた。あ、あれ??
「早く続きを。次は私の番ですよ……シャトルリア様、こんな格好で失礼します。詳しくは後でお伝えさせてくださいね」
「あ、ヘンドリクセン副団長(弟)? 」
「助けてーーーー助けて、シャトル……むぐっむぐーーー!!」
宰相さんはなんかヘンドリクセン兄弟に挟まれて連れ去られた。俺がポカンと口を開けていると部屋の中から叫び声が数回、その後
「あ!や、やああああ!んっあ、ひいぃっあああっらめええええ!」
「良いですよ、テリー!さあ愉しみましょう、今夜もね」
とりあえず、俺に出来ることは耳を塞いで回れ右をする事だと知った。ばいばい、頑張ってね。そう言えば宰相さんの名前はテリーだったっけ……。
「無理やりですうううっ!」
「事後承諾です」
「はあ……事後、ね」
俺が一生懸命悪魔を倒してる間に、宰相さんったら手籠めにされて書類にハンコは押させられるはヘンドリクセン家の嫁にされるは大変なことになっていた。
「実は一目見た時から好きになってしまっていたんです」
「私達は双子なので好きになるものもほぼ一緒で」
兄・リッツと弟・オリーは宰相さんを挟んで両側に座っている。滅茶苦茶距離が近くて宰相さんが半分潰れている。
「一目っていつから?」
「シャトルリア様が6歳になられた時、初めて帝国にいらっしゃったでしょう?その時に付き添いで来られましたよね?その時です!」
「……お、おう……12年前か」
「はい!」
こ、これは……深いな……。俺のすぐ横にこっちも俺を潰そうとしているのか?っていう距離にいる殿下にちらりと視線を向けてみると、にこっと笑われた。いやそうじゃなくて、それほんとなのか知りたいんだけど。
「ああ、リッツとオリーの話かい?本当だよ、皆知っている事だね。気が付かなかった?ウィルズ宰相の周りに常に付きまとっていたでしょう?」
「まったく気が付きませんでした……」
「彼らは隠密行動も得意だからね」
そっか……宰相さんストーカーされてたか……そりゃ連れて来て悪いことをしたなと思うけれど。これ、俺のせいじゃないよね?
「……宰相さん、結婚してたよね?」
「15年前に奥様とは死別、その後はお一人ですので何の問題もなく手続きさせていただきました」
「流れるように鮮やかだ」
「うう……酷い」
顔を手で覆って泣いてるように見せて泣いてないでしょ……宰相さん。この人も一応我が国の頭脳のトップに位置する人だ……ああ見えて色んな策を練っているに違いない。
「ふえええ……」
本気で泣いてた、駄目かも。
「わわ、宰相さん?! どうしたの」
「あいつらが、あいつらがーーーー」
凱旋だろうか。悪魔を打ち倒して勇者セイルと騎士団が一人の死者もなく王宮へ帰還する。いろいろな手続きをして一息つき、宰相さんに報告しようとすると泣きつかれた。
「ふええええええ、お帰りなさいのついでに助けてください~~~~!」
「え、助ける? どうしたの??」
そういえば宰相さん、俺が出かける前と今は随分様変わりしてる。前はかっちりした出来る文官! って感じの礼服を着込んで隙の無い国の重鎮さん、って感じだったのに。今は割とラフっていうか……はっきりいって随分とまあ……。
「スケスケな服を……」
「だから助けてくださいーー!」
ていうかそれ、寝間着っていうか、ネグリジェっていうか……エッチな服だ。少し伸ばした髪の毛も手入れされて艶々だし、唇にはちょっと紅を引かれててお化粧してる? 助けてーって言ってる手の爪もピカピカしてて……なんか乳首に鈴ついてません? チリンチリン可愛い音が聞こえますが??
あとパンツ穿いてませんよね? どこに置いて来たんです??
「可愛い人、手間をかけさせるなて。あ、シャトルリア様無事のお帰りお喜び申し上げます。すいみません、彼はもう少し貸してくださいね」
「えっと……ヘンドリクセン副団長(兄)?」
俺は知ってる。皇帝陛下の直属のエリート騎士団の中でも特にエリート中のエリート、ヘンドリクセン侯爵家次男のリッツ様だ。そのリッツ様がこれまた男の色気ムンムンなエッチな格好で現れた。あ、あれ??
「早く続きを。次は私の番ですよ……シャトルリア様、こんな格好で失礼します。詳しくは後でお伝えさせてくださいね」
「あ、ヘンドリクセン副団長(弟)? 」
「助けてーーーー助けて、シャトル……むぐっむぐーーー!!」
宰相さんはなんかヘンドリクセン兄弟に挟まれて連れ去られた。俺がポカンと口を開けていると部屋の中から叫び声が数回、その後
「あ!や、やああああ!んっあ、ひいぃっあああっらめええええ!」
「良いですよ、テリー!さあ愉しみましょう、今夜もね」
とりあえず、俺に出来ることは耳を塞いで回れ右をする事だと知った。ばいばい、頑張ってね。そう言えば宰相さんの名前はテリーだったっけ……。
「無理やりですうううっ!」
「事後承諾です」
「はあ……事後、ね」
俺が一生懸命悪魔を倒してる間に、宰相さんったら手籠めにされて書類にハンコは押させられるはヘンドリクセン家の嫁にされるは大変なことになっていた。
「実は一目見た時から好きになってしまっていたんです」
「私達は双子なので好きになるものもほぼ一緒で」
兄・リッツと弟・オリーは宰相さんを挟んで両側に座っている。滅茶苦茶距離が近くて宰相さんが半分潰れている。
「一目っていつから?」
「シャトルリア様が6歳になられた時、初めて帝国にいらっしゃったでしょう?その時に付き添いで来られましたよね?その時です!」
「……お、おう……12年前か」
「はい!」
こ、これは……深いな……。俺のすぐ横にこっちも俺を潰そうとしているのか?っていう距離にいる殿下にちらりと視線を向けてみると、にこっと笑われた。いやそうじゃなくて、それほんとなのか知りたいんだけど。
「ああ、リッツとオリーの話かい?本当だよ、皆知っている事だね。気が付かなかった?ウィルズ宰相の周りに常に付きまとっていたでしょう?」
「まったく気が付きませんでした……」
「彼らは隠密行動も得意だからね」
そっか……宰相さんストーカーされてたか……そりゃ連れて来て悪いことをしたなと思うけれど。これ、俺のせいじゃないよね?
「……宰相さん、結婚してたよね?」
「15年前に奥様とは死別、その後はお一人ですので何の問題もなく手続きさせていただきました」
「流れるように鮮やかだ」
「うう……酷い」
顔を手で覆って泣いてるように見せて泣いてないでしょ……宰相さん。この人も一応我が国の頭脳のトップに位置する人だ……ああ見えて色んな策を練っているに違いない。
「ふえええ……」
本気で泣いてた、駄目かも。
86
お気に入りに追加
1,538
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら異世界で魔法使いだった。
いみじき
BL
ごく平凡な高校球児だったはずが、目がさめると異世界で銀髪碧眼の魔法使いになっていた。おまけに邪神を名乗る美青年ミクラエヴァに「主」と呼ばれ、恋人だったと迫られるが、何も覚えていない。果たして自分は何者なのか。
《書き下ろしつき同人誌販売中》
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
よくある話をしよう
マンゴー山田
BL
魔王封印のために呼ばれた異世界転移先の勇者様は聖女が大嫌い。
しかしおまけ扱いの俺には溺愛してくる。
そんなおまけの俺がなぜか勇者様のわがままにより魔王封印の旅に同行することになったんだが、魔王はいないし神様は出てくるし…。
どうなってんだ?
■R18の部分に※マークを付けました。
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
前世の記憶を思い出した皇子だけど皇帝なんて興味ねえんで魔法陣学究めます
当意即妙
BL
ハーララ帝国第四皇子であるエルネスティ・トゥーレ・タルヴィッキ・ニコ・ハーララはある日、高熱を出して倒れた。数日間悪夢に魘され、目が覚めた彼が口にした言葉は……
「皇帝なんて興味ねえ!俺は魔法陣究める!」
天使のような容姿に有るまじき口調で、これまでの人生を全否定するものだった。
* * * * * * * * *
母親である第二皇妃の傀儡だった皇子が前世を思い出して、我が道を行くようになるお話。主人公は研究者気質の変人皇子で、お相手は真面目な専属護衛騎士です。
○注意◯
・基本コメディ時折シリアス。
・健全なBL(予定)なので、R-15は保険。
・最初は恋愛要素が少なめ。
・主人公を筆頭に登場人物が変人ばっかり。
・本来の役割を見失ったルビ。
・おおまかな話の構成はしているが、基本的に行き当たりばったり。
エロエロだったり切なかったりとBLには重い話が多いなと思ったので、ライトなBLを自家供給しようと突発的に書いたお話です。行き当たりばったりの展開が作者にもわからないお話ですが、よろしくお願いします。
2020/09/05
内容紹介及びタグを一部修正しました。
弟いわく、ここは乙女ゲームの世界らしいです
慎
BL
――‥ 昔、あるとき弟が言った。此処はある乙女ゲームの世界の中だ、と。我が侯爵家 ハワードは今の代で終わりを迎え、父・母の散財により没落貴族に堕ちる、と… 。そして、これまでの悪事が晒され、父・母と共に令息である僕自身も母の息の掛かった婚約者の悪役令嬢と共に公開処刑にて断罪される… と。あの日、珍しく滑舌に喋り出した弟は予言めいた言葉を口にした――‥ 。
事務職員として異世界召喚されたけど俺は役に立てそうもありません!
マンゴー山田
BL
駐車場で光る地面に吸い込まれそうになっていた女性を助けようとして一緒に吸い込まれた俺こと古宮遥都。
召喚した人、ハワードに言わせれば事務職員として召喚したそうだ。召喚された世界は世界樹と呼ばれる世界の中心にある大樹から与えられた挿し木を各国で守っている。
その樹の下には生きているダンジョンがあって――。
大切な人を失い、二度と大切な人を作らないと決めた騎士×異世界から来たマップ把握能力を持つ会社員。
■ムーンライトノベルスさんにも公開しております。
もしかして俺の主人は悪役令息?
一花みえる
BL
「ぼく、いいこになるからね!」
10歳の誕生日、いきなりそう言い出した主人、ノア・セシル・キャンベル王子は言葉通りまるで別人に生まれ変わったような「いい子」になった。従者のジョシュアはその変化に喜びつつも、どこか違和感を抱く。
これって最近よく聞く「転生者」?
一方ノアは「ジョシュアと仲良し大作戦」を考えていた。
主人と従者がおかしな方向にそれぞれ頑張る、異世界ほのぼのファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる