27 / 69
27 あの方の献愛2 城の侍従視点
しおりを挟む
近頃、殿下は頭痛に悩まされているそうです。
「医者に……」
「シャトが心配するから、大丈夫だ」
そう最初は仰っておられたのに。
「シャトに気づかれたくない」
「シャトが関わると何かと面倒だ」
「面倒だからあいつにバレるようなことは言うな」
シャトルリア様を気遣われるような発言は日を追うごとになぜか憎しみを交えて行ったのです。あんなに仲がよろしかつたのに……殿下のお変わりように我らは皆、首を傾げました。
「シャトルリア様とのお茶は」
「公務が忙しいと伝えろ。ああ、頭が痛い」
毎日、それはそれは楽しみにしていたお茶の時間はどんどん減って行き、そしてそこに入り込んで来たのがあの女でした。
「ホルランド殿下ぁ~来ちゃったぁ」
「シェリリア……!アレを持って?」
「もちろんですわぁ」
流石に怪しいとは言え令嬢の下着の中まで検査するわけにはいかず、あの女は殿下に頭痛薬と称しておかしな薬を届け続けてしまうのです。
「シェリリアの薬は良く効くな……」
「腕が違いますものぉ~」
違法な薬物を心身を害するだけ盛れば、痛みを感じなくさせることなど容易い。あまりにしっかりしている王太子であったがために我々は中々気がつくことが出来なかったのです。
誰もがいやまさか、あのホルランド殿下に限って、と思ったし、思いたかった……いまさらそう嘆いても零れたミルクは戻らないのです。
シャトルリア様に冷たくなされて避けられるのも、破廉恥な汚らしい男爵家の女を近くに置くのも、沢山の令嬢達を侍らせるのも何か深いお考えがあるのだと信じてしまいました。
そしてシャトルリア様は婚約破棄の憂き目に合われる。そして殿下のことを熟知していたのはやはりシャトルリア様で、近いうちにそうなることを予測しておられたのだ。
悲しいほどあっさりとした引き際に、誰もが唖然とし見送ることしか出来なかったのです。
そしてすべてが壊れた。
「はあ?!殿下の婚約者は私よ!あんたみたいなクズ女は引っ込んでなさい!」
「殿下が選んだのはアタシぃ~残念でしたぁ?」
しばらくの間は何事もなかった。いや、あの汚らわしくて礼儀も何もなっていないシェリリアという女が幅を利かせ始めました。
そして国内視察に出ていた陛下がお戻りになり、やっと事態は明るみに出ました。
「ホルランド!シャトルリアはどうした!」
「シャトは隣におりますれば……」
「うふふ、ホルランドさまぁ」
「お前の隣におるのはどこの馬の骨とも分からぬ売女ではないか!」
「え? シャト……シャトではない……? シャトはシェリ、シェリ、シャト……ああ、頭が痛い、シャト、薬を、薬をくれ、シャト……」
「はぁい、殿下のだぁい好きなお薬ですよぉ? 」
女はすぐに取り押さえられ、解明されました。
「殿下はーーわたくしを婚約者にしてくださると!! 」
シャトルリア様に見せつけるように侍っていた令嬢達はすべて薬に侵されていました。全部あの女がもたらした薬を服用していたようで、女が捕まり、薬の供給が途絶えると一斉に狂い出したらしい。
何故今まで検挙できなかったのか不思議なほどであった。シャトルリア様を学園で虐めた者達はほぼ薬を飲まされていたと恐ろしい報告が次々と上がってきました。
「でも、そんな……あれ……? 」
被害者の数は恐ろしい数に上り、未来ある子息令嬢が何人も後遺症に悩まされることになりました。
何よりホルランド様が一番酷い症状だったのです。
「医者に……」
「シャトが心配するから、大丈夫だ」
そう最初は仰っておられたのに。
「シャトに気づかれたくない」
「シャトが関わると何かと面倒だ」
「面倒だからあいつにバレるようなことは言うな」
シャトルリア様を気遣われるような発言は日を追うごとになぜか憎しみを交えて行ったのです。あんなに仲がよろしかつたのに……殿下のお変わりように我らは皆、首を傾げました。
「シャトルリア様とのお茶は」
「公務が忙しいと伝えろ。ああ、頭が痛い」
毎日、それはそれは楽しみにしていたお茶の時間はどんどん減って行き、そしてそこに入り込んで来たのがあの女でした。
「ホルランド殿下ぁ~来ちゃったぁ」
「シェリリア……!アレを持って?」
「もちろんですわぁ」
流石に怪しいとは言え令嬢の下着の中まで検査するわけにはいかず、あの女は殿下に頭痛薬と称しておかしな薬を届け続けてしまうのです。
「シェリリアの薬は良く効くな……」
「腕が違いますものぉ~」
違法な薬物を心身を害するだけ盛れば、痛みを感じなくさせることなど容易い。あまりにしっかりしている王太子であったがために我々は中々気がつくことが出来なかったのです。
誰もがいやまさか、あのホルランド殿下に限って、と思ったし、思いたかった……いまさらそう嘆いても零れたミルクは戻らないのです。
シャトルリア様に冷たくなされて避けられるのも、破廉恥な汚らしい男爵家の女を近くに置くのも、沢山の令嬢達を侍らせるのも何か深いお考えがあるのだと信じてしまいました。
そしてシャトルリア様は婚約破棄の憂き目に合われる。そして殿下のことを熟知していたのはやはりシャトルリア様で、近いうちにそうなることを予測しておられたのだ。
悲しいほどあっさりとした引き際に、誰もが唖然とし見送ることしか出来なかったのです。
そしてすべてが壊れた。
「はあ?!殿下の婚約者は私よ!あんたみたいなクズ女は引っ込んでなさい!」
「殿下が選んだのはアタシぃ~残念でしたぁ?」
しばらくの間は何事もなかった。いや、あの汚らわしくて礼儀も何もなっていないシェリリアという女が幅を利かせ始めました。
そして国内視察に出ていた陛下がお戻りになり、やっと事態は明るみに出ました。
「ホルランド!シャトルリアはどうした!」
「シャトは隣におりますれば……」
「うふふ、ホルランドさまぁ」
「お前の隣におるのはどこの馬の骨とも分からぬ売女ではないか!」
「え? シャト……シャトではない……? シャトはシェリ、シェリ、シャト……ああ、頭が痛い、シャト、薬を、薬をくれ、シャト……」
「はぁい、殿下のだぁい好きなお薬ですよぉ? 」
女はすぐに取り押さえられ、解明されました。
「殿下はーーわたくしを婚約者にしてくださると!! 」
シャトルリア様に見せつけるように侍っていた令嬢達はすべて薬に侵されていました。全部あの女がもたらした薬を服用していたようで、女が捕まり、薬の供給が途絶えると一斉に狂い出したらしい。
何故今まで検挙できなかったのか不思議なほどであった。シャトルリア様を学園で虐めた者達はほぼ薬を飲まされていたと恐ろしい報告が次々と上がってきました。
「でも、そんな……あれ……? 」
被害者の数は恐ろしい数に上り、未来ある子息令嬢が何人も後遺症に悩まされることになりました。
何よりホルランド様が一番酷い症状だったのです。
応援ありがとうございます!
54
お気に入りに追加
1,518
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる