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7 抜き打ち検査
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「デードン領の視察である!」
「ひいっ! そんな急に!」
「いらっしゃいませ、騎士様。おもてなしの準備は出来ていませんが、良ければこちらに」
マチェット君の苗字はデードンという。マチェット・デードン子爵令息。これがマチェット君の本名ね。で、中央からデードン領に抜き打ち検査が来た。マチェット父は慌てて右往左往してるけど、マチェット君はちゃんと対応できたみたい。
「デードン領はあまり良い噂を聞かない。見回るぞ」
「もちろんでございます。私達の気の回らぬところがあればご指摘していただきたいです」
すごい……マチェット君は騒ぐことなくきちんと対応できている。これが勉強の成果かー良かった良かった。
「マチェット・デードン。魔法が使えるようになったとは本当か?」
「はい。ある日突然ですが。まだ弱い力ながら日々鍛錬を繰り返しております」
すげえなマチェット君、やるじゃんマチェット君。マチェット君が検査にきた騎士を案内して領内を歩けば、領民はそんなに変な顔しない。これがマチェット父なら皆嫌そうな顔をして騎士の印象は最悪だろうけど、マチェット君なら皆にこにこしてる。
「おや、坊ちゃん。随分かっこいいお連れ様ですね」
「査察にいらした騎士様だよ、皆挨拶して」
「うひゃあこれは都会の騎士様。こんな田舎にようこそおいで下さいました」
「……どうだ? ここの暮らしに不満はないか?」
騎士様の問いかけに、領民は固くなるけどマチェット君が笑っているから素直に答えている。
「へえ、そりゃあここはあんまりお金持ちの領じゃないですから、大変なことは大変ですが、坊ちゃんのお陰でだいぶ住みよくなりました」
「ふむ……」
騎士を連れてあちこち視察をしてマチェット君のお家に帰ってくる。使用人達は慌ただしく歓迎の準備をしているけれど、マチェット父とマチェット母だけ右往左往して焦ってなにもしてない。知らんけど邪魔だろうな。勿論、使用人に指示を出しているのはマチェット君だ。色々読み漁った本のお陰もあるし、メイドや執事とも連携が取れているから頷くだけで色々手配できている。
「デードン領が腐敗しているという話だったが……そうとは思えないな。君のお陰かな? マチェット」
「えっと……」
そうだなあ、マチェット君が駄目だったころはデードン領駄目だったと思う。セイル誘拐事件みたいなの普通にあったしね。マチェット君がランニング始めて、見回るようになって……あの小悪党たちも改心させたりしてからちょっとづつ良くなってだし。
田舎のデードン領の噂が都会に届くまで時差があったんだろう。良かったんじゃない? マチェット君や。
「ひいっ! そんな急に!」
「いらっしゃいませ、騎士様。おもてなしの準備は出来ていませんが、良ければこちらに」
マチェット君の苗字はデードンという。マチェット・デードン子爵令息。これがマチェット君の本名ね。で、中央からデードン領に抜き打ち検査が来た。マチェット父は慌てて右往左往してるけど、マチェット君はちゃんと対応できたみたい。
「デードン領はあまり良い噂を聞かない。見回るぞ」
「もちろんでございます。私達の気の回らぬところがあればご指摘していただきたいです」
すごい……マチェット君は騒ぐことなくきちんと対応できている。これが勉強の成果かー良かった良かった。
「マチェット・デードン。魔法が使えるようになったとは本当か?」
「はい。ある日突然ですが。まだ弱い力ながら日々鍛錬を繰り返しております」
すげえなマチェット君、やるじゃんマチェット君。マチェット君が検査にきた騎士を案内して領内を歩けば、領民はそんなに変な顔しない。これがマチェット父なら皆嫌そうな顔をして騎士の印象は最悪だろうけど、マチェット君なら皆にこにこしてる。
「おや、坊ちゃん。随分かっこいいお連れ様ですね」
「査察にいらした騎士様だよ、皆挨拶して」
「うひゃあこれは都会の騎士様。こんな田舎にようこそおいで下さいました」
「……どうだ? ここの暮らしに不満はないか?」
騎士様の問いかけに、領民は固くなるけどマチェット君が笑っているから素直に答えている。
「へえ、そりゃあここはあんまりお金持ちの領じゃないですから、大変なことは大変ですが、坊ちゃんのお陰でだいぶ住みよくなりました」
「ふむ……」
騎士を連れてあちこち視察をしてマチェット君のお家に帰ってくる。使用人達は慌ただしく歓迎の準備をしているけれど、マチェット父とマチェット母だけ右往左往して焦ってなにもしてない。知らんけど邪魔だろうな。勿論、使用人に指示を出しているのはマチェット君だ。色々読み漁った本のお陰もあるし、メイドや執事とも連携が取れているから頷くだけで色々手配できている。
「デードン領が腐敗しているという話だったが……そうとは思えないな。君のお陰かな? マチェット」
「えっと……」
そうだなあ、マチェット君が駄目だったころはデードン領駄目だったと思う。セイル誘拐事件みたいなの普通にあったしね。マチェット君がランニング始めて、見回るようになって……あの小悪党たちも改心させたりしてからちょっとづつ良くなってだし。
田舎のデードン領の噂が都会に届くまで時差があったんだろう。良かったんじゃない? マチェット君や。
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