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IF編 闇へ
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僕は、とんでもない人に買われてしまったようだ。
「ロウ、こちらへ」
「はい……れんてどーる、様……」
いう事を、いう事を聞かなくちゃ……僕なんてすぐに殺されてしまうだろう。怖い、怖いよ。僕は凄く気持ちの悪い大きなお城みたいな所に連れて来られた。めまいがする、はきそう。でもそんなことはできない。僕はこのレンテドールという人に抱きかかえられているから。
「おかえりなさいませ、我が魔王様」
たくさんの人たちが頭を下げる。魔王?魔王さまっていった??魔王さまってすごく怖くて悪い人だよね?この人、魔王なの……!?僕は魔王に売られたの!?怖い……誰か、誰か助けて……。
僕は誰かに助けを求める。それはあの母さんではない、誰か、僕は知らないけれど、必ず俺を助けてくれる誰か。でも誰かはやってこない。
「ティリス、洗ってやれ」
「はい、レンテドール様。シロウ……ロウ。お風呂に入ってきれいにしましょう?きれいなあなたをレンテドール様に見てもらうのよ」
有無を言わさず、今度は兎獣人っぽい女の人に抱き上げられた。この人も怖い。目がとても怖いんだ。僕の事は優しい目でみるけれど、他の人達の事は何か……ゴミみたいなものを見る目で見る。怖い。
僕は温かいお湯につけられて、全身くまなく洗われたけど、寒くて寒くて怖かった。
「あの、あの……これ、女の子の服じゃ……」
僕はとても柔らかくて軽くていい匂いのする服を着せられたけれど、どうみてもスカートだった。真っ白でフワフワしていて、スースーする。僕は男の子だから、女の子の服は違うと思うんです。
「レンテドール様がこれでいいと言ったからこれよ」
「はい……」
僕は黙るしかない。そのまままたティリスさんに抱き上げられ、連れていかれる。その先にはやっぱりレンテドール様がいた。
「お待たせいたしました」
ティリスさんは、僕を恭しく差し出しレンテドール様の膝の上に乗せる。
「ふふ、いい匂いがするようになったね。ロウ。ドレスも良く似合っている。すぐに脱がせてしまうのが勿体ないくらいだ」
「え、あの……」
僕はなんて言っていいか分からない。でも逆らってはいけないという事は嫌というほど知っている。僕はこれからどうなってしまうんだろう。
「ロウ、シロウ。これは?」
「え?」
僕の髪の毛を見て、レンテドール様は顔をしかめた。怒っている!怖い、怖いけど
「あ、あの、生まれつきで……ここだけこんなふうに、色の違う毛が生えてくるんです」
僕の髪の毛はどこにでもいる茶色の毛だ。でも右の方に一房だけ金色の毛が生えている。そしてその毛には一つだけ紫の玉が結わえ付けられているんだ。この玉はとってもまた数日すると何事もなかったようにまた髪の毛についている。
それをレンテドール様は見ている。
「気に入らん。あいつの贈り物か……気に入らん」
「あっ」
なんの音もしなかったけれど、レンテドール様は金色の髪の毛を切り取って紫の玉を外した。
「これはもうお前に似つかわしくない」
「え?」
レンテドール様は紫の玉を親指と人差し指で挟むと、ぐっと力を入れた。割れる……あのむらさきの、玉が……#
あの人からもらった大切な玉が__・__#
「やめて!割らないで!!」
僕が声を上げると同時に、紫は粉々に砕け散ってしまった。ああ!なんてこと!あの人になんて言ったらいいんだろう?
「黙れ、シロウ」
ぞくりと寒気が走る。怒っている、レンテドール様は怒っている。僕は言ってはいけない事を言ってしまったようだった。
「お前は私の物だ。逆らう事は許さない!」
僕はレンテドール様に抱きかかえられたまま、どこかに連れていかれた。どこに、行くんだろうか……。
「ロウ、こちらへ」
「はい……れんてどーる、様……」
いう事を、いう事を聞かなくちゃ……僕なんてすぐに殺されてしまうだろう。怖い、怖いよ。僕は凄く気持ちの悪い大きなお城みたいな所に連れて来られた。めまいがする、はきそう。でもそんなことはできない。僕はこのレンテドールという人に抱きかかえられているから。
「おかえりなさいませ、我が魔王様」
たくさんの人たちが頭を下げる。魔王?魔王さまっていった??魔王さまってすごく怖くて悪い人だよね?この人、魔王なの……!?僕は魔王に売られたの!?怖い……誰か、誰か助けて……。
僕は誰かに助けを求める。それはあの母さんではない、誰か、僕は知らないけれど、必ず俺を助けてくれる誰か。でも誰かはやってこない。
「ティリス、洗ってやれ」
「はい、レンテドール様。シロウ……ロウ。お風呂に入ってきれいにしましょう?きれいなあなたをレンテドール様に見てもらうのよ」
有無を言わさず、今度は兎獣人っぽい女の人に抱き上げられた。この人も怖い。目がとても怖いんだ。僕の事は優しい目でみるけれど、他の人達の事は何か……ゴミみたいなものを見る目で見る。怖い。
僕は温かいお湯につけられて、全身くまなく洗われたけど、寒くて寒くて怖かった。
「あの、あの……これ、女の子の服じゃ……」
僕はとても柔らかくて軽くていい匂いのする服を着せられたけれど、どうみてもスカートだった。真っ白でフワフワしていて、スースーする。僕は男の子だから、女の子の服は違うと思うんです。
「レンテドール様がこれでいいと言ったからこれよ」
「はい……」
僕は黙るしかない。そのまままたティリスさんに抱き上げられ、連れていかれる。その先にはやっぱりレンテドール様がいた。
「お待たせいたしました」
ティリスさんは、僕を恭しく差し出しレンテドール様の膝の上に乗せる。
「ふふ、いい匂いがするようになったね。ロウ。ドレスも良く似合っている。すぐに脱がせてしまうのが勿体ないくらいだ」
「え、あの……」
僕はなんて言っていいか分からない。でも逆らってはいけないという事は嫌というほど知っている。僕はこれからどうなってしまうんだろう。
「ロウ、シロウ。これは?」
「え?」
僕の髪の毛を見て、レンテドール様は顔をしかめた。怒っている!怖い、怖いけど
「あ、あの、生まれつきで……ここだけこんなふうに、色の違う毛が生えてくるんです」
僕の髪の毛はどこにでもいる茶色の毛だ。でも右の方に一房だけ金色の毛が生えている。そしてその毛には一つだけ紫の玉が結わえ付けられているんだ。この玉はとってもまた数日すると何事もなかったようにまた髪の毛についている。
それをレンテドール様は見ている。
「気に入らん。あいつの贈り物か……気に入らん」
「あっ」
なんの音もしなかったけれど、レンテドール様は金色の髪の毛を切り取って紫の玉を外した。
「これはもうお前に似つかわしくない」
「え?」
レンテドール様は紫の玉を親指と人差し指で挟むと、ぐっと力を入れた。割れる……あのむらさきの、玉が……#
あの人からもらった大切な玉が__・__#
「やめて!割らないで!!」
僕が声を上げると同時に、紫は粉々に砕け散ってしまった。ああ!なんてこと!あの人になんて言ったらいいんだろう?
「黙れ、シロウ」
ぞくりと寒気が走る。怒っている、レンテドール様は怒っている。僕は言ってはいけない事を言ってしまったようだった。
「お前は私の物だ。逆らう事は許さない!」
僕はレンテドール様に抱きかかえられたまま、どこかに連れていかれた。どこに、行くんだろうか……。
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