【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

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「んんっ……」

 俺は背中に大きな傷があるのを知っている。どんな鞭かは見えなかったけど、物凄く痛かった事は覚えていて、何日か目を覚さなかったらしい。
 高い熱も出てそのまま死ぬんだと思われていたらしい。そのまま死ねればこんなに痛い目に遭わなかったのに、俺は生き残って、目を覚ましてしまった。

 背中には大きな跡が残って、皮膚が引きつっていた。

 レジール様はそれを見ても何も言わず、それでも撫でたり、大きな舌で舐めたりしていた。

「んやっ……くすぐったいです……」

「そこは感じるって言えよ」

 ふふ、と笑いながら何度も何度も舐め回す。多分こんな跡、あっても良いって俺に教えてくれてるんだって。
 その優しさが大好きだったし……でもそこにある暴力の跡は一生無くならない。


「消え、た?」

「ほぼ、な。うっすら残ってるけど、でこぼこはなくなってる」

 ここらだが?と言ってつつっと撫でられる。

「ひゃんっ!」

「感じるのか?」

「くすぐったい」

「感じるって言えよ」

 前にも何度かした事のあるやり取りの後に、笑い合う。

「確かに動かし易いですけど」

 皮膚が引っ張られる感じがしない。

「服を買おう。背中がべろっと丸見えになるいやらしいやつだ」

 向かい合わせになり、俺はレジール様の上に座っている。

「そんなの、っん!誰が喜ぶんです?っあん!」

 もちろんレジール様の大きいのをぐっぷり根元まで咥え込んで。奥がぐりぐり押されて、もうおかしくなってしまいそうだ。

「俺が喜ぶだろ?あーきっとレンテドールの奴も尻尾振るだろうな」

 飽きずに背中を撫で続けているレジール様に、むっと眉を寄せる。

「レンテドール様にみせるの?」

 意地悪くニヤリと笑われた。そのまま膝の裏を掬うようにベッドに背中から転がされる。

「やぁんっ!」

「見せるわけないだろ。シロウは俺の物だ」

 不意に激しく揺すぶられ、俺はもう我慢出来ない。

「あっ!あっ!やっ、い、イイですっ、い!いっーーーーっ!」

 広い背中に懸命に手を伸ばして引っ掻いた。すごい、すごいのーーー。

「可愛いシロウ。俺のシロウ」

 抱きしめれば抱きしめ返して貰える温かな腕があるという幸せを、存分に噛み締めた。

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