【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

39 それを望むなら

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 ジェスト国内でパレードが開かれることになった。国交正常化の祭りを兼ねて、両国の仲の良さをアピールする目的もある。レオセントやレンテドールは勿論出席するが……。

「少しだけシロウも」

「駄目だ」「駄目だ」

 レジールはまだしもレンテドールまでぴしゃりと拒否した。

「誰かに狙われたらどうする?」

「そんな人混みに出たら、何が起こるか分からないじゃないか!危険だ」

「シロウの人気は凄いから、一目見たいと思う者も多いんだが……」

 国王レオセントは一応食い下がったが

「駄目だ!不埒者が近づいて来たらどうする?」

「そうだぞ、レオセント殿。シロウはこんなに可愛いんだ。馬鹿な人間や獣人が寄ってくるだろう?!」

 保護者が二人に増えた。レオセントの頭痛がまた一つ増えた。

「寄ってきた所で、レジールが何とかしてしまうだろう……?」

「まあ、真っ二つだな?」

 平然と言い放つ弟に頭がますます痛くなる。

「不埒者の姿を見るだけで不快だろう!」

 レンテドールはそう言い、レジールも頷く。

「……シロウ、頼む」

 レオセントは保護者達をすっ飛ばして頼む作戦に切り替えた。

「構いませんよ。レジール様も、レンテドール様も落ち着いて下さいよ。獣人の国の人が俺をいじめる訳ないじゃないですか」

「「どんな阿呆が潜んでるか分からんだろう?!」」

「ひえ」


 レジールはシロウの事が大好きだ。好きで好きで堪らない。見るも無惨だった首の後ろがすっかり良くなって

「……あの……噛んで?」

 と、言われた時は止まらなくなって二晩くらい抱き続けた事もある。シロウも依存するようにレジールから離れないが、それもレジールは嬉しかった。
 伸ばし始めた髪に、紫の玉をいくつもつけて、これは自分の物だと目一杯主張する。シロウを甘やかせるだけ甘やかしていると思っていた。

 しかし、レンテドールの徹底ぶりには舌を巻きそうになる。
 レンテドールはシロウに何一つ要求しない。ただただ、シロウがいかに気持ちよく過ごせるかだけを考えている。

「シロウの事は勿論好きだが、シロウが好きなのはレジール殿だろう?ならばレジール殿がシロウの伴侶だ」

 奪いたいとは思わないのか?聞きそうになったが、答えは決まっているのだと思う。

「シロウがそれを望むなら」

 レンテドールはそう言うだろう。自分の意思は完全に封印して柔らかく微笑むのだ。

「シロウがパレードに出たいなら出ることにしよう」

 シロウが白を黒と言えばレンテドールは黒だと言うだろう。レンテドールはそう言う男だった。
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