【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

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「待てーー!あっ!シロウ!叔父上!」

 男達が逃走して来た道をレオニーはかけて来た。

「おお!レオニー!とうとう獣化ができるようになったか!流石我らの血を引く者よ!」

 まだ子供のライオンだが、獲物を仕留めた形跡があるレオニーをレジールは目を細めてみた。

「姉上からの手紙ではいつまで経ってもレオニーが獣化出来ないから、やはり人の血が入ると問題があるのかと書いてあったが、立派な獅子の子供ではないか……良くやった、レオニー!」

「シロウ!」

「あ?」

 叔父の話は右から左に流して、レオニーはシロウに飛びついた。

「シロウ!シロウ!無事?!あ、息してる…。ごめんね、苦しかったね。僕がいたのにこんな目に合わせてごめんね……」

 子ライオンの姿のまま、レオニーはポロポロと涙を零した。それでもシロウは目を覚さなかったが、あえてレオニーはシロウを起こさなかった。

「シロウ……このまま、僕たちの国に連れて行って貰いなね。シロウは人間が嫌いだから、見ない方が良いもんね。僕、頑張って大きくなってシロウを迎えに行くからね……待ってて、シロウ。大好きだよ」

「レオニー様……」

 フルーはレオニーの成長ぶりに胸が痛くなったが、少し無視された形のレジールは複雑だった。

 なんだこの愛の告白みたいのは。レオニーはこのシロウとか言う人間の事を本気で好いているのか?

「レジール叔父上、シロウをお願いします。無事に国に連れて帰ってやって下さい」

「あ、ああ」

 レオニーとレジールは実のところ初めて顔を合わせた。人質側妃の産んだ子とは言え、レオニーはここの国の王の血を引いている王子なのだ。簡単に会えるものではない。
 だから初めて会った感動があるのに、レオニーの方はこのシロウと言う人間ばかり気にかけている。

 少し、面白くない。

 レジールがそう思うのは当然だ。だが、レオニーはレジールに抱かれたシロウから離れようとしない。
 しかしレジールも気がついてはいないがシロウを手放さなかった。自分の腕に抱いていて当然だと言わんばかりなのである。

 押し入った男達は一人は死に、二人は大怪我で、二人は大人しく縛についた。レオニーは泣く泣くシロウを置いてリッテとフルーと共に城へ戻って行った。

「叔父上、よろしくお願いします」

 何度も何度も念を押しながら。その度に

「ああ」

とか

「分かった」

 とか、いい加減うざったくなるほど返してやった。

 レオニーの姿を見送ってから

「我々も戻るぞ」

「はい、レジール様」

 やはりずっと腕にシロウを抱き抱えていた。

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