【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ

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動物に異様に好かれる手

9 犬らしい犬の人

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 オウムは飛んで逃げた。また俺は別の人の元に連れて行かれる。

「こいつが噂のハンター?」

 人間が俺を見下ろしていた。怖い、体がガタガタ震えて来る。獣人はあまり殴っては来ないが、人間は殴るし蹴るし、尻が裂けるようなセックスをしてくる。

「隊長ー怖がってんじゃないっすかー。大丈夫だよ、隊長は顔が怖いだけだから……んん……君、名前なんて言うの?」

「シ、シロウです……」

「……シロウ、可愛いね……ちょっと俺頭撫でてくんない?」

 恐る恐る差し出された頭を撫でる。さわさわすると、嬉しいのか目を細めた。

「ふわー!なるほど!これは凄いーー!」

 びょんと犬耳が出てきた。あっ犬の獣人だったんだ!俺の震えは止まった。獣人はそんなに怖くない。フサフサの尻尾と耳の形からしてシェパードかな?

「こら!ジェス!なにナンパしてんだ!」

「いや!待ってくださいよ!隊長!隊長は獣人の血が入ってないから、シロウの凄さが分からんのですよ!はーーシロウ一緒に行こう……好き!」

 ジェスと呼ばれた人は尻尾を出して、千切れそうなほど振っている。俺の手をしっかり握って離しそうにない。

「あの……あの、痛いです」

「あっ!ごめんね!ごめんね!大丈夫??」

 手は離して貰えたが、今度はしっかり抱き抱えられていた。

 隊長さんは「確かに保護する予定だったがなぁ」と、ぶつぶつ言っていたがジェスさんはなにも聞いて居なかった。

「シロウ!シロウ!シロウはなにが好き?私はねーお肉だよー。硬くってもだいたい食べられるのー。もし、獲物を捕まえたらシロウに柔らかい所上げるからねー。あ、ハンバーグとかなら食べられる?美味しいけどちょっとしょっぱいよねー?ねぇ、シロウ!ちょっと枝とかなげてみない?うんうん俺が取りに行くの。上手に取れたらなでて欲しいんだ。えっ!何もしなくても撫でてくれるの?!なんてご褒美……!鼻血でそう!」

 一気に捲し立てられ、俺は数歩後ずさる。少し怖いけれど

「ジェス!お前、そんな奴だったっけ?」

「シロウは特別だ!」

 少しウザいがジェスさんは犬らしい犬で俺はホッとした。俺にとっては人間の隊長さんが1番怖い。


 オウムのご主人様を捕まえようとしたのは、この国の警備隊だったようで、沢山の違法奴隷と、証拠物件と俺を連れて警備隊の基地に戻ってきた。

「重要参考人だが……奴隷として扱われて来たようだ。気を遣ってやって欲しい」

 そう言われたが、ジェスさんが隣に張り付いて

「オレが世話するッス!」

 と、離してくれなかった。

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