【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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オマケ リサイクル再び

13 嘘だと言ってくれ

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 俺、ティリー。一応まだ処女、男だけど。危なかった……。俺とミリーは今、フィレフィス帝国の次期王妃が過ごすきれいな離宮に住んでる。そんでめちゃくちゃ勉強させられてる。酷い。

「俺だけ勉強とかぜってぇやだ!ティリーも!!」

「俺は、皇子妃にゃならんからな~」

「一人も二人も一緒ですし?二人なら頑張れるとも言いますしね、さ。お二人とも頑張りましょう」

 帝国の先生たちは厳しくもあり厳しくもあった。ていうか厳しい!!

「待て!待つんだ!俺達、男な!女じゃねえし!結婚結婚普通に言われてたけど、無理だろ!」

「最初から知ってましたけど?」

「オスの匂いだったもん。間違えるかよ」

 フィスとレオスがきょとんとしている。え、知ってたの……。

「人間は面倒だよな~でも男なのにドレス着せられて、わちゃわちゃしてるのが可愛くて可愛くて」

「あー分かります。かかとの高い靴でもたもたしてる姿、最高に可愛いですよ、食べちゃいたい」

「あと俺、ばっちり確認したし~!可愛いの生えてたわ」

 うひひ、と笑うレオスに誰か何か投げつけてください。めちゃくそ痛いやつ。

 あの時、顔を冷やして傷を押さえた後、震えが止まらなくて、ずっとレオスにくっついてた。

「大丈夫、俺が守ってやる」

 なんて言われたら、こう……何とか症候群?とか言うのでクラッと来ちゃって、気がついたら半分ひん剥かれて、合体する所だったあぶねぇ!クソが!!

「クソ野郎が……っ!」

「待て!それなら俺達、ドレスとか着たくねぇ!ズボンくれ!髪も切る!」

 フィスとレオスがものすごーく嫌そうな顔をしている。男前が台無しだ。

「……あーやっぱり、ミリーシャとタリーシャは王女様だから、それ相応の格好でいて貰わないと」

「はあ?!何言ってんの??」

 都合の良い時だけ王女扱いすんな!

「そうそう!他国の双子の王女様をお預かりしているフィレフィスとしては、それ相応の姿でいてもらわんと」

「いや、普通の男物の服を寄越せよ!」

「……ドレスの方が可愛いよ」

「髪の毛も長い方が好きなんだわ」

「ふっざけんな!馬鹿ども!!」

「いい加減にしろ!!」


 なんだかんだ言って俺とミリーは結局、婚約を経てそれぞれの元に嫁としてもらわれてしまった。んまあそれは仕方がない、約束だからなあ……。

「でもな?子供を産むとか産まねーとかは約束じゃねえし」

「そうだそうだ!」

 この世界でもあったよ、男が子供産めるヤツ。でもこっちはなかなか良心的な設定だった。

「えーと、使うのは男性同士の結婚関係にある者に限り、かつそのどちらともの両親または保護者の許可と、妊娠を望む本人の希望がなければ使用を認めない。おお、すげえな」

「んじゃ俺達が希望しなきゃダメって事じゃん」

「ミリーお願い!」

 可愛い顔してフィスがミリーを拝み倒してる。

「断る!なんでだよ!」

 って言ってるが、ミリーはきっと折れる。だってフィスは第二皇子とはいえ、王族だもん。それにフィスの事だきっとミリーが折れなかったら

「私がミリーとの子供を産みますから!」

 絶対言う、フィスなら絶対言う……。そしてフィスの父親のアディスン王はごねるだろうけど、ウチの親は許可するだろう、特に母さんなんて手を叩いて喜ぶに違いない。きっとミリーは折れる。

「でも、俺が折れてやる必要なんてないよなぁ?」

 前の世界でレントとの間に6人も産んだんだ。こっちはいなくてよくね?フランとバランス取れないだろうよ、なあ。

「ティリー、俺しつこいから」

「あ?」

「俺、しつこいから!」

「あぁん?うっせぇ黙れ馬鹿ライオン」

 結局俺とミリーは双子な訳で、考えてる事、やる事似てる訳で。ミリーが折れるって事は、俺も折れちゃうって事で……。



「双子だからって同時に腹が膨れなくてもいいと思うんだが?」

「しらねーよ、一人じゃいやだから二人であの薬飲んだだろ!だからだよ!」

「いやーん!ミリーシャ!タリーシャ!可愛い!可愛いわああああ!」

 父さんを説得して母さんがフィレフィスに遊びに来た。俺達のでかい腹を撫でに来たんだ。手を叩いて喜んでやがるわ!

「ミリーシャのお腹から狼の子供でタリーシャのお腹から獅子の子が出てくるのね~可愛すぎじゃない!あーん!孫がいっぺんに4人なんて母さん嬉しくて飛んじゃいそう!」

「いや、4人もいねえし……二人だろ……?」

「え?嘘だろ、双子じゃねえよな?」

「双子よ~絶対そう!母さんわかるもん!」

 嘘だろ!?やめろ、前は酒の効果で子供産むのは楽だったけど、今度は普通に痛いんだぞ!マジで勘弁してくれよ!俺もミリーも顔が青くなっていく。

「むむっレオスも双子ですか、せっかくレオスより多く子供が出来たと思ったのに」

「なんだよ、フィス。子供の数でも張り合おうっていうのかぁ?」

「勿論です!何故か分かりませんが、そうしたいので。貴方より多く子供を作って見せますよ!」

「負けねえよ?」

 いや!そんなことで張り合うな!俺よりミリーの方が青くなっていく。

「まさかとは思うが、前世の数を今回稼ぐつもりか……?え、6人プラス?冗談だろ、嘘だろ、フラン、嘘だと言ってくれ」

「ミリー……頑張れ」

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