【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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オマケ リサイクル再び

10 帰ってこい、俺のフラン

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「丁重にお断りしたはずですが」

「そのお断りをお断りしましたけれど?あ、今日もお邪魔しますね」

「帰れ!」

「結婚してくれたら帰ります。あなたを連れてですけど」

 俺、ミリー。相変わらず元フラン、今フィスは話が通じない。たすけてよ、ティリー!

「ミリー!俺を助けろ!ミリー!」

「ほーらほら!追いつくぞーティリー!フハハハ!」

「ギャー!ミリーたすけて~!レオスの馬鹿野郎~~!」

 俺達がひっそり過ごしている離宮がバカみたいにうるさくなった。フィスが毎日来るからだ。フィスが来るとレオスも自動的にくっついてくる。

「俺、レオス・スタンフィールド。帝国侯爵で近衛騎士団員、つかフィス専属ね」

「は!?なんでそんな奴が父さんに挑んでボッコボコにされてんの?」

「あれにはなー……浅い訳があってね」

 ウチの国王カリウス父さんとフィスの父さん帝国皇帝アディスンさんは表向きは和平を結んで仲良くしている。でもおたがいの腹の中は煮えくり返っているほど憎みあっている。

「だから、隙あらばお互いの首を刎ねてやろうと思ってんだよ。で、たまたま俺が民衆に紛れて、お義父様の首を刎ねに行ったら……まーあの人強いのな。殺されかけたわ、いや死んだわ」

「あと5分で死ぬところだったな」

「そうだな、命拾いしたよ。だから結婚しようティリー!ほ~ら捕まえた~」

「ウギャー!ミリー!ミリー!助けて!」

 駄目だ、ティリーも逃げるのに必死だ。俺なんか大人しく庭に出してある椅子に座ってるように見せかけて、スカートの裾をフィスに踏んずけられてるんだ。立ち上がれないだけなんだ。無理やりたったらスカートが破れて恥ずかしい姿で地面に転がらなきゃいけないんだ!
 きっと転がる前にフィスが抱き留めてくれるんだろうけど、それを狙ってニコニコニコニコ、俺の目の前で笑ってんだあんちくしょー!

「助けを求められてますよ?ミリー?行ったらどうです?」

「おめー性格悪いな」

「元からですよ」

 いや!フランはこんなひん曲がった性格じゃなかった!もっといい奴だった!帰ってこーい、俺のフラーン!

「ミリーーーーー!助けてぇえええええ!強姦ライオンに犯されるううううう!!」

「大丈夫大丈夫、一回くらいどうってことねーから!ちょこーっと痛いだけだよー?すぐよくなるからねー?」

「うっきゃー!!お願いたすけてぇええええ!」

 フィスをちらっと見るとやっぱりニコニコ笑っている。くそっマジでフランはこんな奴じゃなかった!

「……わりぃんだけど……足、避けてくんね?」

「何のことでしょう?私にはさっぱり分かりませんけど?」

「おめーなぁ……まあ、ティリーを助けてやってくれよ」

「大丈夫ですよ、じゃれてるだけです。我々は父上とはちがって紳士ですから」

「そーかい」

 でも性格は悪い!こんな奴と結婚できるかよ!


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