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オマケ リサイクル再び
6 狼のアイツ
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夜会が始まった。最初は体面を保って父さんは正妃様と入場する。側妃はまあ適当はパートナーと。俺はなんとヴェールをかぶったまま、母さんと入場。うん、会場がざわりとしたけど、母さんだし。母さんの姿を見た途端、父さんがぱあっと花が咲いたように笑うから、おとがめなんて出来るものはいない。
「我が国と、フィレフィス帝国の和平に!」
「和平に乾杯」
皇帝がわざわざやってきて乾杯をした。ってあいつ
「あ、アダライム義父様じゃん」
ここに出てきちゃったか。相変わらず堂々としてるわ、獅子のたてがみが良く似合っている。はーやっぱ偉い奴は違うねえ!無礼にならない程度に確認した。すると皇帝が連れて来たという良くできた第二皇子ってだれなんだろう。もしかしてレオス??
あの後しっかり直したけど、血が足りなすぎてレオスは眠ったまま、連れてってもらった。できればもうこの国には入れるなよと念を押してな。なにせ、あの傷じゃ普通なら絶対にくたばるやつだから、そんなのがノコノコ来るのは俺達が困る。
さて、一体……と思うと皇帝の数歩後ろについてきているヤツ。噂の第二皇子か、ツラでも見てやるかとヴェール越しに覗く。うーん、そう来たかあ……まあ、そうかあ……。
「……あー……俺の担当ね」
頭の上にピンと耳の立った、多分あれは狼の獣人なんだろうな。若い頃のフランがいたわけよ。俺、ミリーシャがフラン担当でタリーシャがレント担当なんだな……うん、しょうがねえよなぁ。
胸の辺りがピリピリ痛い。なんでお前の隣に立っているのが俺じゃないのかと。無意識にそこは俺の場所だろうと騒ぐ心が煩わしい。ったく、母さんのロマンティック病か、変なの搭載してんじゃねえよ。視界にフランが入っていると辛い。俺はとりあえず逃亡しておこう。そうしよう……。今後の事をティリーと相談しないとならないしな。
広間の真ん中でカリウス父さんと元アダライム義父様が握手を交わしているけど、二人ともオデコに交差点をいくつも並べながら、しかも力比べか?って感じで奥歯をギリギリ鳴らしながら手を握り締めあっているんだ。一発触発の空気が辺りの温度を下げまくってるし。
「このように手を取り合う日がこようとはな……皇帝アディスンよ」
「運命とは不思議なものよな、国王カリウス……ッ!だが、引き分けよ。雌雄決する時は必ずある」
「ふ、フハハ……絶対に負けぬ」
……大丈夫なヤツなんだろうか。まあ母さんもいるし、名君とか言われてた元フランもいるんだから何とかなるんだろう。それに2大巨頭のピリピリをみんな見てるから、俺を見てる奴なんて誰もいねー。こりゃチャンスだわ。広い中庭にでも隠れてダンスだなんだが終わるまでじっとしてよっと。
俺はそーっと明るい会場を抜け出す。近くに侍女に扮したタリーシャが隠れていたから合流する。俺達は双子、傍に居ないとな~んか落ち着かない。
「ティリー、フランがいた」
「見た。俺じゃなかった、ちゃんと振り分けられてんだな」
「ああ、俺だった。アダライム義父様の息子だったなーレントと入れ替わってるって感じかな?」
俺達は小声で話しながら足早に中庭へ向かう。色々探せば懐かしい顔のやつらを見つけることが出来るかもしれない。ちょっとワクワクしてきた。
「我が国と、フィレフィス帝国の和平に!」
「和平に乾杯」
皇帝がわざわざやってきて乾杯をした。ってあいつ
「あ、アダライム義父様じゃん」
ここに出てきちゃったか。相変わらず堂々としてるわ、獅子のたてがみが良く似合っている。はーやっぱ偉い奴は違うねえ!無礼にならない程度に確認した。すると皇帝が連れて来たという良くできた第二皇子ってだれなんだろう。もしかしてレオス??
あの後しっかり直したけど、血が足りなすぎてレオスは眠ったまま、連れてってもらった。できればもうこの国には入れるなよと念を押してな。なにせ、あの傷じゃ普通なら絶対にくたばるやつだから、そんなのがノコノコ来るのは俺達が困る。
さて、一体……と思うと皇帝の数歩後ろについてきているヤツ。噂の第二皇子か、ツラでも見てやるかとヴェール越しに覗く。うーん、そう来たかあ……まあ、そうかあ……。
「……あー……俺の担当ね」
頭の上にピンと耳の立った、多分あれは狼の獣人なんだろうな。若い頃のフランがいたわけよ。俺、ミリーシャがフラン担当でタリーシャがレント担当なんだな……うん、しょうがねえよなぁ。
胸の辺りがピリピリ痛い。なんでお前の隣に立っているのが俺じゃないのかと。無意識にそこは俺の場所だろうと騒ぐ心が煩わしい。ったく、母さんのロマンティック病か、変なの搭載してんじゃねえよ。視界にフランが入っていると辛い。俺はとりあえず逃亡しておこう。そうしよう……。今後の事をティリーと相談しないとならないしな。
広間の真ん中でカリウス父さんと元アダライム義父様が握手を交わしているけど、二人ともオデコに交差点をいくつも並べながら、しかも力比べか?って感じで奥歯をギリギリ鳴らしながら手を握り締めあっているんだ。一発触発の空気が辺りの温度を下げまくってるし。
「このように手を取り合う日がこようとはな……皇帝アディスンよ」
「運命とは不思議なものよな、国王カリウス……ッ!だが、引き分けよ。雌雄決する時は必ずある」
「ふ、フハハ……絶対に負けぬ」
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俺はそーっと明るい会場を抜け出す。近くに侍女に扮したタリーシャが隠れていたから合流する。俺達は双子、傍に居ないとな~んか落ち着かない。
「ティリー、フランがいた」
「見た。俺じゃなかった、ちゃんと振り分けられてんだな」
「ああ、俺だった。アダライム義父様の息子だったなーレントと入れ替わってるって感じかな?」
俺達は小声で話しながら足早に中庭へ向かう。色々探せば懐かしい顔のやつらを見つけることが出来るかもしれない。ちょっとワクワクしてきた。
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