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オマケ リサイクル再び
4 向こうに置いて来た阿呆
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ドーーン!魔法が爆ぜる音。今日は王宮の方がやけに騒がしい。
「ミリー……」
「なんだろうな、ティリー。襲撃かな……」
父さんは周辺諸国から恨まれている。ついでに国民からも好かれては居ない。母さんが連れてこられ、俺達が速攻生まれてまだ15年。横暴過ぎた父さんの政治は最低だったからだ。相変わらず政治をほっぽってたみたいだぞ。
でも15年。母さんに引っ付いて大人しくなった父さん。それと反比例するように、怒りを色んなものに向ける正妃様と王太子や王子たち。
人々はこう思っちゃってるんだ。
「悪いのは王ではなく、正妃では?」
って。いや、悪いのは父さんなんだけどね?まあでも色んな場所で燻っている「国王憎し」の感情は時たま爆発して、城に色んな者が襲いかかって来る。
完全に身から出たサビだし、この世界の良くない気なんだけど……城が襲われたりするんだよね。
俺達の住んでいる離宮は離れているから、黒煙が上がった王宮を眺めるだけだ。いつか民衆に占拠されるかもしれないけど、その方がいいかもな。
「母さんは死んでも父さんが守るだろうし」
絶対に母さんより先に死ぬ!と息巻いていた前の父さんを思い出す。うんうん、それが良い。
で、そんな日は近衛兵や騎士にやられちゃった人間がたくさん運ばれてくるんだよね。俺達は出来る限り直してやる。
「お願いです、この……この男だけはどうしても殺したくない!お願いです、こいつを……こいつを!」
「ぁあ?誰を直すかは俺達が……あ」
「そうだぞ。俺達は~自分がやりたいからやってるんであって、お前らに言われて……あ」
「俺達のリーダーなんですけど、国王にやられて!」
あと5分もしたら死ぬだろう。なんせ顔は変形して、両手両足がない。腹に穴は開いていて、一応獣人だという事が頭の上の耳で分かる。というか俺達はこいつが獅子の獣人だと分かる、分かってる……。
「「レントじゃん」」
「え?こいつはレオスって言って俺達のリーダーなんだ!こいつが王を倒そうって……だからこんなにされちまって」
「違うな……前世からの鬱憤だ」
「おう……父さん怒ってたからな。隙あらばボコボコにしてやろうってずっと言ってたからな」
はぁ。ため息を付くしかないけど、これは直さない訳にはいかねえな。
「ミリー、お前?」
「いや、俺じゃないっぽい、ティリーは?」
「……俺っぽい……」
早く血を止めてやろう、早く直してやろうってそう思う。そしてありがとうと言って笑いかけ、好きだと抱きしめて欲しい。そう心の奥底がざわめいている。
「心がザワザワする。誰だ、こんなことしたの」「母さんだろ。ロマンティックよって言いそうじゃねえか」
「再会が血みどろでロマンティックかよ~~~~!」
「母さんだからなあ……」
しょうがない、レント……いや、レオスって言ったな。こいつのどてっぱらに二人で手を突っ込んだ。
「あ、肺が欠けてら!」「向こうに置いて来たんだなあ。アハハ!」
「わ、笑ってる場合じゃねえよ!あんた達!」
青くなるレオスの部下っぽい男を無視して、俺達はこの阿呆ライオンをゆっくり直していった。大丈夫だ、絶対殺さない。今回はじじいになるまで長生きしてもらうぜ。いくら力を注いでも欠けた肺は元に戻らなかったから、生まれつきなんだろう……やっぱり向こうに置いて来たな?
「ミリー……」
「なんだろうな、ティリー。襲撃かな……」
父さんは周辺諸国から恨まれている。ついでに国民からも好かれては居ない。母さんが連れてこられ、俺達が速攻生まれてまだ15年。横暴過ぎた父さんの政治は最低だったからだ。相変わらず政治をほっぽってたみたいだぞ。
でも15年。母さんに引っ付いて大人しくなった父さん。それと反比例するように、怒りを色んなものに向ける正妃様と王太子や王子たち。
人々はこう思っちゃってるんだ。
「悪いのは王ではなく、正妃では?」
って。いや、悪いのは父さんなんだけどね?まあでも色んな場所で燻っている「国王憎し」の感情は時たま爆発して、城に色んな者が襲いかかって来る。
完全に身から出たサビだし、この世界の良くない気なんだけど……城が襲われたりするんだよね。
俺達の住んでいる離宮は離れているから、黒煙が上がった王宮を眺めるだけだ。いつか民衆に占拠されるかもしれないけど、その方がいいかもな。
「母さんは死んでも父さんが守るだろうし」
絶対に母さんより先に死ぬ!と息巻いていた前の父さんを思い出す。うんうん、それが良い。
で、そんな日は近衛兵や騎士にやられちゃった人間がたくさん運ばれてくるんだよね。俺達は出来る限り直してやる。
「お願いです、この……この男だけはどうしても殺したくない!お願いです、こいつを……こいつを!」
「ぁあ?誰を直すかは俺達が……あ」
「そうだぞ。俺達は~自分がやりたいからやってるんであって、お前らに言われて……あ」
「俺達のリーダーなんですけど、国王にやられて!」
あと5分もしたら死ぬだろう。なんせ顔は変形して、両手両足がない。腹に穴は開いていて、一応獣人だという事が頭の上の耳で分かる。というか俺達はこいつが獅子の獣人だと分かる、分かってる……。
「「レントじゃん」」
「え?こいつはレオスって言って俺達のリーダーなんだ!こいつが王を倒そうって……だからこんなにされちまって」
「違うな……前世からの鬱憤だ」
「おう……父さん怒ってたからな。隙あらばボコボコにしてやろうってずっと言ってたからな」
はぁ。ため息を付くしかないけど、これは直さない訳にはいかねえな。
「ミリー、お前?」
「いや、俺じゃないっぽい、ティリーは?」
「……俺っぽい……」
早く血を止めてやろう、早く直してやろうってそう思う。そしてありがとうと言って笑いかけ、好きだと抱きしめて欲しい。そう心の奥底がざわめいている。
「心がザワザワする。誰だ、こんなことしたの」「母さんだろ。ロマンティックよって言いそうじゃねえか」
「再会が血みどろでロマンティックかよ~~~~!」
「母さんだからなあ……」
しょうがない、レント……いや、レオスって言ったな。こいつのどてっぱらに二人で手を突っ込んだ。
「あ、肺が欠けてら!」「向こうに置いて来たんだなあ。アハハ!」
「わ、笑ってる場合じゃねえよ!あんた達!」
青くなるレオスの部下っぽい男を無視して、俺達はこの阿呆ライオンをゆっくり直していった。大丈夫だ、絶対殺さない。今回はじじいになるまで長生きしてもらうぜ。いくら力を注いでも欠けた肺は元に戻らなかったから、生まれつきなんだろう……やっぱり向こうに置いて来たな?
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