102 / 113
オマケ リサイクル再び
3 「リーシャ姫」は静かに暮らしたい
しおりを挟む
俺らの兄弟も最低なやつばっかりなんだけど、「気に入らなきゃ殺す、ていうか殺しとけ」だった母さんナシ父さんと触れ合っていたせいで、皆そんな性格になっちゃってる。
だから、今日も城では誰かの首が飛び
「首は無理だわ~」
ゴミとして運ばれて行く。すまねぇ……俺達はカリウス父さんの実子だから、俺達の半分血が繋がった兄弟のやらかしは心が痛い……けど、死んでるとどうしようもない。
「死にかけならなんとかなるんだけどねぇ」
「だなぁ」
俺達は頭から被ったヴェールの下でため息をつく。面倒くさいから顔も隠して生きてる。前世の「エリスリーヤ姫」そっくりだわ。
人前では交代でどちらかが侍女のふりをし、どちらかがリーシャ姫のふりをする。捲ればそっくりな顔があるんだからバレるんだけどな!
捲られた事がないから、俺達は巧くやっていた。何せもう何年かしたら、この城を逃げ出す予定だ。あんまり素顔は知られたくないからね。ただ、殺されかけた人間を治すときはどうしても顔は見えちゃうし、俺達がそっくりな双子だってバレる。だから絶対にこの国に戻ってくるなと脅しをかけてるんだけど……大丈夫だよね??
「まさかこんなひどい目にあった国にまた戻ってくるバカはいねえよなあ?」
「いねえと思うぞ。俺ならぜってぇ戻んねえし。ティリー、逃げるならやっぱ海の向こうだよな~」
「だなあ、金とか溜まってる?母さんからの払い下げで金が増えてるよな?ミリー?」
「溜まってる。そろそろ下町に換金に行って……地図買ってくるわ」
「今回はミリーの番か。ドジんなよ」
「おめーと違うわ」
俺達は結構可愛い顔をしている。残念な事に母さんによく似てしまった。ともすれば前世のリーヤより可愛い顔になってしまったと思うんだ。濃い金色の髪に、父さん譲りの青緑の目。何せ顔のパーツの配置が相当「美少女」だ。ぶっちゃけ俺達には「いらねー」「過ぎたる物」なんだけど、まあ下町に行くとこの顔が目立ってしょうがない。
帽子をかぶったりフードをかぶったり色々被ってるけど、バレちまう事が結構ある。前回ティリーがバレて変な男に追い回されて大変だった。
「鍛えても強くなんねえしなあ……リーヤもダメだったよな」
「そうなんだよ~。しかも今は「王女様」じゃん?鍛える訳にもいかねえもんなあ」
普通の王女様なら可愛い顔は使えるんだろうけど、俺達には迷惑だ。正妃様が「リーシャ姫」をどこかの有力貴族の後妻に押し込めようとしているとか、どっかの猟奇趣味のおっさんに下げ渡そうとしているとか、ホント毎日聞こえてくる。
ま、その辺はさしもの母さんもブチ切れて
「リーシャの婚約者は私が決めます!宜しいですね!カリウス様!」
と、大々的に宣言して「アルフローラの思う通りに。文句があれば私が聞こう」とお墨付きも貰っちゃったから、表面上は大人しくしているんだよね。何せメロメロだから、母さんが本気で訴えれば、正妃様だろうが、側妃様だろうがカリウス父さんは首を飛ばすと思う。そんで王太子も首を飛ばされて、俺達が次期国王に祭り上げられちゃうだろう。
うん、やだし。
「そうなったらミリーが国王だぞ。お前の方がお姉ちゃんだからな」
「せめてお兄ちゃんと呼べ。でもほんの何分か差だから、ティリーが国王で全然大丈夫だぞ。俺は辞退する」
「俺も辞退するぜ。誰が王様なんかになりてぇんだよ」
「だよなー」
俺達はやっぱりため息を付くしかない。
だから、今日も城では誰かの首が飛び
「首は無理だわ~」
ゴミとして運ばれて行く。すまねぇ……俺達はカリウス父さんの実子だから、俺達の半分血が繋がった兄弟のやらかしは心が痛い……けど、死んでるとどうしようもない。
「死にかけならなんとかなるんだけどねぇ」
「だなぁ」
俺達は頭から被ったヴェールの下でため息をつく。面倒くさいから顔も隠して生きてる。前世の「エリスリーヤ姫」そっくりだわ。
人前では交代でどちらかが侍女のふりをし、どちらかがリーシャ姫のふりをする。捲ればそっくりな顔があるんだからバレるんだけどな!
捲られた事がないから、俺達は巧くやっていた。何せもう何年かしたら、この城を逃げ出す予定だ。あんまり素顔は知られたくないからね。ただ、殺されかけた人間を治すときはどうしても顔は見えちゃうし、俺達がそっくりな双子だってバレる。だから絶対にこの国に戻ってくるなと脅しをかけてるんだけど……大丈夫だよね??
「まさかこんなひどい目にあった国にまた戻ってくるバカはいねえよなあ?」
「いねえと思うぞ。俺ならぜってぇ戻んねえし。ティリー、逃げるならやっぱ海の向こうだよな~」
「だなあ、金とか溜まってる?母さんからの払い下げで金が増えてるよな?ミリー?」
「溜まってる。そろそろ下町に換金に行って……地図買ってくるわ」
「今回はミリーの番か。ドジんなよ」
「おめーと違うわ」
俺達は結構可愛い顔をしている。残念な事に母さんによく似てしまった。ともすれば前世のリーヤより可愛い顔になってしまったと思うんだ。濃い金色の髪に、父さん譲りの青緑の目。何せ顔のパーツの配置が相当「美少女」だ。ぶっちゃけ俺達には「いらねー」「過ぎたる物」なんだけど、まあ下町に行くとこの顔が目立ってしょうがない。
帽子をかぶったりフードをかぶったり色々被ってるけど、バレちまう事が結構ある。前回ティリーがバレて変な男に追い回されて大変だった。
「鍛えても強くなんねえしなあ……リーヤもダメだったよな」
「そうなんだよ~。しかも今は「王女様」じゃん?鍛える訳にもいかねえもんなあ」
普通の王女様なら可愛い顔は使えるんだろうけど、俺達には迷惑だ。正妃様が「リーシャ姫」をどこかの有力貴族の後妻に押し込めようとしているとか、どっかの猟奇趣味のおっさんに下げ渡そうとしているとか、ホント毎日聞こえてくる。
ま、その辺はさしもの母さんもブチ切れて
「リーシャの婚約者は私が決めます!宜しいですね!カリウス様!」
と、大々的に宣言して「アルフローラの思う通りに。文句があれば私が聞こう」とお墨付きも貰っちゃったから、表面上は大人しくしているんだよね。何せメロメロだから、母さんが本気で訴えれば、正妃様だろうが、側妃様だろうがカリウス父さんは首を飛ばすと思う。そんで王太子も首を飛ばされて、俺達が次期国王に祭り上げられちゃうだろう。
うん、やだし。
「そうなったらミリーが国王だぞ。お前の方がお姉ちゃんだからな」
「せめてお兄ちゃんと呼べ。でもほんの何分か差だから、ティリーが国王で全然大丈夫だぞ。俺は辞退する」
「俺も辞退するぜ。誰が王様なんかになりてぇんだよ」
「だよなー」
俺達はやっぱりため息を付くしかない。
39
お気に入りに追加
3,421
あなたにおすすめの小説

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる