101 / 113
オマケ リサイクル再び
2 人間をゴミ箱に捨ててはいけません
しおりを挟む
「うひょ」「うえ」
「リーシャ様達」
「わーってる、わーってる!」
いくら寵妃の子とは言え、俺達の住んでる離宮は最低限。つまりは城から運び出されるゴミなんかが真横を通り過ぎて行くような環境なんだよね。
カリウス父さんが母さんしか目に入ってないのが基本的に悪いんだけど、ま、いじめだわ。
でも俺達目立ちたく無いし、スーッと消えていく予定だし。俺たちの世話をしてくれる侍女ちゃんやメイドちゃんは交代交代で母さんの離宮を行ったり来たりしてくれている。
こっち勤務が外れであっち勤務が当たりなんだけど、皆とっても優しい。それは母さんが俺達の様子を事細かに聞きたがるからで、俺達の世話をサボると途端に母さんに冷たくされちゃうからなんだよね。
親身に俺達の世話をしてくれる打算がない子もいっぱいいて、結構快適なんだ。
ほんで、俺達にはあるんだよ、あの力が。
「派手にやられたなー……ごめんな?父さんだろ?」
「うう、ううう……」
腕が切り落とされている男。
「母さんがいない時に父さんに逆らっちゃ駄目だ。あいつは狂犬なんだから」
俺たちは二人かがりで腕を生やしてやった。
「う、腕が……!傷も治って……」
「良いか?この国を離れるんだ。あんたは死んだ事になってる。分かるだろ?そして勿論俺たちの事は内緒だ。破ったら今治した腕がどうなるか……分かるよな?」
男は必死の形相でこくこくと頷き、ゴミの荷車に隠れたまま、城の外に脱出した。
「ったく、父さんは人間をなんだと思ってんだ?」
「父さんにとっては「母さん」か「それ以外」だからな……」
「俺達の事は「母さんに似た何か」って認識だろ!」
「だよな……」
困った親父だよ。でも母さんの目的に父さんは必要なんだって。
この世界に、「良くない気」が溜まりすぎたらしい。それを浄化するのに母さんはやって来た。そんな母さんに異常に執着するほぼ邪神の父さん。
「父さん連れてくとね。悪い気がぜーんぶ父さんに集まるのよ。だから、探さなくて良いって言うか。手元に置いておいた方が扱いやすいって言うかぁ」
「そんな扱いで良いの?」
「私はフローラの側にいられたらそれで良い」
そんな会話をこの世界に降りて来る前にした。父さんもそれで良いって言ってるから良いんだろうな。
案の定、悪い気とやらは、かなり父さんに集まっては日々浄化されている。
でも、そんな悪い父さんの周りの人間も影響を受けちゃう訳なんだよね。正妃様なんか、もう……やばいよ、鬼よ、鬼。鬼婆よ!めっちゃ怖いんだよ!元々の人格もあるだろうけど、人をなんだと思ってんだろ?ってくらい血みどろなんだよね、王太子も「あー狂犬カリウス王の息子だわね」ってくらいやばい。
だから、このゴミ捨て場横は……死にかけ人間が良く通過していくわけなんだ。あるものは母さんがいない隙に父さんにあって、ボコられちゃった人。あるものはブチ切れ正妃様のご不興を買ってしまい、二目と見られない者。あるものは王太子に睨まれちゃった者。
この王宮って割と血みどろなんだよね。こわー、まじこわー。
「リーシャ様達」
「わーってる、わーってる!」
いくら寵妃の子とは言え、俺達の住んでる離宮は最低限。つまりは城から運び出されるゴミなんかが真横を通り過ぎて行くような環境なんだよね。
カリウス父さんが母さんしか目に入ってないのが基本的に悪いんだけど、ま、いじめだわ。
でも俺達目立ちたく無いし、スーッと消えていく予定だし。俺たちの世話をしてくれる侍女ちゃんやメイドちゃんは交代交代で母さんの離宮を行ったり来たりしてくれている。
こっち勤務が外れであっち勤務が当たりなんだけど、皆とっても優しい。それは母さんが俺達の様子を事細かに聞きたがるからで、俺達の世話をサボると途端に母さんに冷たくされちゃうからなんだよね。
親身に俺達の世話をしてくれる打算がない子もいっぱいいて、結構快適なんだ。
ほんで、俺達にはあるんだよ、あの力が。
「派手にやられたなー……ごめんな?父さんだろ?」
「うう、ううう……」
腕が切り落とされている男。
「母さんがいない時に父さんに逆らっちゃ駄目だ。あいつは狂犬なんだから」
俺たちは二人かがりで腕を生やしてやった。
「う、腕が……!傷も治って……」
「良いか?この国を離れるんだ。あんたは死んだ事になってる。分かるだろ?そして勿論俺たちの事は内緒だ。破ったら今治した腕がどうなるか……分かるよな?」
男は必死の形相でこくこくと頷き、ゴミの荷車に隠れたまま、城の外に脱出した。
「ったく、父さんは人間をなんだと思ってんだ?」
「父さんにとっては「母さん」か「それ以外」だからな……」
「俺達の事は「母さんに似た何か」って認識だろ!」
「だよな……」
困った親父だよ。でも母さんの目的に父さんは必要なんだって。
この世界に、「良くない気」が溜まりすぎたらしい。それを浄化するのに母さんはやって来た。そんな母さんに異常に執着するほぼ邪神の父さん。
「父さん連れてくとね。悪い気がぜーんぶ父さんに集まるのよ。だから、探さなくて良いって言うか。手元に置いておいた方が扱いやすいって言うかぁ」
「そんな扱いで良いの?」
「私はフローラの側にいられたらそれで良い」
そんな会話をこの世界に降りて来る前にした。父さんもそれで良いって言ってるから良いんだろうな。
案の定、悪い気とやらは、かなり父さんに集まっては日々浄化されている。
でも、そんな悪い父さんの周りの人間も影響を受けちゃう訳なんだよね。正妃様なんか、もう……やばいよ、鬼よ、鬼。鬼婆よ!めっちゃ怖いんだよ!元々の人格もあるだろうけど、人をなんだと思ってんだろ?ってくらい血みどろなんだよね、王太子も「あー狂犬カリウス王の息子だわね」ってくらいやばい。
だから、このゴミ捨て場横は……死にかけ人間が良く通過していくわけなんだ。あるものは母さんがいない隙に父さんにあって、ボコられちゃった人。あるものはブチ切れ正妃様のご不興を買ってしまい、二目と見られない者。あるものは王太子に睨まれちゃった者。
この王宮って割と血みどろなんだよね。こわー、まじこわー。
39
お気に入りに追加
3,421
あなたにおすすめの小説

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.

風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる