【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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オマケ リサイクル再び

2 人間をゴミ箱に捨ててはいけません

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「うひょ」「うえ」

「リーシャ様達」

「わーってる、わーってる!」

 いくら寵妃の子とは言え、俺達の住んでる離宮は最低限。つまりは城から運び出されるゴミなんかが真横を通り過ぎて行くような環境なんだよね。
 カリウス父さんが母さんしか目に入ってないのが基本的に悪いんだけど、ま、いじめだわ。

 でも俺達目立ちたく無いし、スーッと消えていく予定だし。俺たちの世話をしてくれる侍女ちゃんやメイドちゃんは交代交代で母さんの離宮を行ったり来たりしてくれている。
 こっち勤務が外れであっち勤務が当たりなんだけど、皆とっても優しい。それは母さんが俺達の様子を事細かに聞きたがるからで、俺達の世話をサボると途端に母さんに冷たくされちゃうからなんだよね。

 親身に俺達の世話をしてくれる打算がない子もいっぱいいて、結構快適なんだ。

 ほんで、俺達にはあるんだよ、あの力が。

「派手にやられたなー……ごめんな?父さんだろ?」

「うう、ううう……」

 腕が切り落とされている男。

「母さんがいない時に父さんに逆らっちゃ駄目だ。あいつは狂犬なんだから」

 俺たちは二人かがりで腕を生やしてやった。

「う、腕が……!傷も治って……」

「良いか?この国を離れるんだ。あんたは死んだ事になってる。分かるだろ?そして勿論俺たちの事は内緒だ。破ったら今治した腕がどうなるか……分かるよな?」

 男は必死の形相でこくこくと頷き、ゴミの荷車に隠れたまま、城の外に脱出した。

「ったく、父さんは人間をなんだと思ってんだ?」

「父さんにとっては「母さん」か「それ以外」だからな……」

「俺達の事は「母さんに似た何か」って認識だろ!」

「だよな……」

 困った親父だよ。でも母さんの目的に父さんは必要なんだって。

 この世界に、「良くない気」が溜まりすぎたらしい。それを浄化するのに母さんはやって来た。そんな母さんに異常に執着するほぼ邪神の父さん。

「父さん連れてくとね。悪い気がぜーんぶ父さんに集まるのよ。だから、探さなくて良いって言うか。手元に置いておいた方が扱いやすいって言うかぁ」

「そんな扱いで良いの?」

「私はフローラの側にいられたらそれで良い」

 そんな会話をこの世界に降りて来る前にした。父さんもそれで良いって言ってるから良いんだろうな。

 案の定、悪い気とやらは、かなり父さんに集まっては日々浄化されている。

 でも、そんな悪い父さんの周りの人間も影響を受けちゃう訳なんだよね。正妃様なんか、もう……やばいよ、鬼よ、鬼。鬼婆よ!めっちゃ怖いんだよ!元々の人格もあるだろうけど、人をなんだと思ってんだろ?ってくらい血みどろなんだよね、王太子も「あー狂犬カリウス王の息子だわね」ってくらいやばい。
 
 だから、このゴミ捨て場横は……死にかけ人間が良く通過していくわけなんだ。あるものは母さんがいない隙に父さんにあって、ボコられちゃった人。あるものはブチ切れ正妃様のご不興を買ってしまい、二目と見られない者。あるものは王太子に睨まれちゃった者。
 この王宮って割と血みどろなんだよね。こわー、まじこわー。




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