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オマケ リサイクル再び
1 ミリーシャとタリーシャ
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まず言いたい。俺達はミギーヤとヒダリーヤではない。俺達はミリーシャとタリーシャという。
「クソが」
「ティリー、口悪すぎるだろ」
「でもな、ミリー。マジでドレスとか頭いてぇよ」
「……母さん……お母様に言えよ。ったく母さん、記憶残ったの俺達だけってどういうことだよ!」
「絶対「そのほうが面白そうだもん!」だよ!」
だなあ……俺達は顔を見合わせてため息を付く。
「ミリーシャ様、タリーシャ様~どちらですか!」
ああ、俺達付のメイドが呼んでいる。仕方がない、自由になれる環境が整っていないからな。
「私たちはここです、リリー」
俺達はまだ15歳。ここは王宮の離宮で、母さんの名前はアルフローラ。あの母さんのこの世界の姿だ。流石女神の母さんは金色の髪にキラキラ光る緑の瞳の美女だ。今回は平民だった母さんは腐った貴族にとっ捕まって、王宮に献上されてしまった。そしてあれよあれよという間にまた悪さをしている国王カリウス父さんに見つかってしまった訳だ。
母さんナシの父さんはまたぶっこわれていて、ここいら近辺の嫌われ者の魔王一歩手前。ていうかもう魔王。ほぼ魔王、あちゃあ……。
嫌われていようが、魔王だろうが、母さんを得た父さんは水を得た魚。あっという間にまとも父さんになってしまう。
「フローラ!アルフローラ!私の愛しい人」
「えっと……あの……」
ドン引く母さん。だって国王カリウスの5番目の側妃として召し上げられたアルフローラ母さんで、既にカリウス父さんにはもう10人も子供がいるんだよね。それなのに一番新しくて、一番地位のない母さんが寵妃に成り上がったんだから。
冗談抜きで母さんを手放さない父さん。あっという間に母さんは身篭り……俺たちが産まれた。
「ふ、双子っ!しかも男子です!」
「双子は不吉の証……そうでなくともこの王宮内で何の後ろ盾もないアルフローラ様は……!」
後ろ盾は無いけど寵愛はある。間違いなく国王カリウスはアルフローラの子供を跡継ぎに据えるだろう。
そうすると、正妃以下側妃達、上の兄弟達は俺達を目の敵にして命を狙う。
「……良いですか!今日産まれた子供は女の子です、そして1人です!」
「……わ、分かりました!」
ミリーシャとタリーシャと名付けられた俺たちは、国王の11番目の娘、リーシャ姫として育てられる事になった。
ややこやしい上に勘弁して欲しいぜ!俺たちが二人で一人を演じているのは、勿論この離宮の人しか知らない事だ。
勿論、母さんしか目に入っていない父さんは気付いてない。相変わらずの節穴っぷりだった。
「16.7になりゃ市井に降りて暮らせるだろ?それまでの辛抱だぜ」
「ああ、そうだな!」
俺たちは気を張り詰めながら15歳の誕生日を迎えた訳だ。
「クソが」
「ティリー、口悪すぎるだろ」
「でもな、ミリー。マジでドレスとか頭いてぇよ」
「……母さん……お母様に言えよ。ったく母さん、記憶残ったの俺達だけってどういうことだよ!」
「絶対「そのほうが面白そうだもん!」だよ!」
だなあ……俺達は顔を見合わせてため息を付く。
「ミリーシャ様、タリーシャ様~どちらですか!」
ああ、俺達付のメイドが呼んでいる。仕方がない、自由になれる環境が整っていないからな。
「私たちはここです、リリー」
俺達はまだ15歳。ここは王宮の離宮で、母さんの名前はアルフローラ。あの母さんのこの世界の姿だ。流石女神の母さんは金色の髪にキラキラ光る緑の瞳の美女だ。今回は平民だった母さんは腐った貴族にとっ捕まって、王宮に献上されてしまった。そしてあれよあれよという間にまた悪さをしている国王カリウス父さんに見つかってしまった訳だ。
母さんナシの父さんはまたぶっこわれていて、ここいら近辺の嫌われ者の魔王一歩手前。ていうかもう魔王。ほぼ魔王、あちゃあ……。
嫌われていようが、魔王だろうが、母さんを得た父さんは水を得た魚。あっという間にまとも父さんになってしまう。
「フローラ!アルフローラ!私の愛しい人」
「えっと……あの……」
ドン引く母さん。だって国王カリウスの5番目の側妃として召し上げられたアルフローラ母さんで、既にカリウス父さんにはもう10人も子供がいるんだよね。それなのに一番新しくて、一番地位のない母さんが寵妃に成り上がったんだから。
冗談抜きで母さんを手放さない父さん。あっという間に母さんは身篭り……俺たちが産まれた。
「ふ、双子っ!しかも男子です!」
「双子は不吉の証……そうでなくともこの王宮内で何の後ろ盾もないアルフローラ様は……!」
後ろ盾は無いけど寵愛はある。間違いなく国王カリウスはアルフローラの子供を跡継ぎに据えるだろう。
そうすると、正妃以下側妃達、上の兄弟達は俺達を目の敵にして命を狙う。
「……良いですか!今日産まれた子供は女の子です、そして1人です!」
「……わ、分かりました!」
ミリーシャとタリーシャと名付けられた俺たちは、国王の11番目の娘、リーシャ姫として育てられる事になった。
ややこやしい上に勘弁して欲しいぜ!俺たちが二人で一人を演じているのは、勿論この離宮の人しか知らない事だ。
勿論、母さんしか目に入っていない父さんは気付いてない。相変わらずの節穴っぷりだった。
「16.7になりゃ市井に降りて暮らせるだろ?それまでの辛抱だぜ」
「ああ、そうだな!」
俺たちは気を張り詰めながら15歳の誕生日を迎えた訳だ。
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