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98 ただ、有能であればよい
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「あいつらに、怪我するなって伝えて」
「大丈夫ですよ、皆分かってますから。最近血まみれで駆け込んでくる子供達がいないでしょう?あの子達なりにリーヤに心配かけないように、気を付けているみたいです」
「そうか、良かった」
そろそろ俺にもお迎えがやってきた。
「多臓器不全です、病気と言うより老衰と判断して問題ないかと思います」
「俺もそう思う」
アライグマ先生の息子のカラムがうっすら笑いながら言う。アライグマ先生の子供達は医者になった子が多い。鷹であるハリーの血を濃く受け継いで、飛べる子が数人、俺の子供の部下に任命されてしまい
「すまん!本当にすまんーー!」
さめざめと泣いたのは忘れられない記憶だ。飛べると便利だもんね……。
「父が見舞いに来たいと言っていました」
医療道具を鞄にしまう。絵に描いたような往診医者の鞄だ、カラムによく似合ってる。
「アライグマ先生だってだいぶ足腰弱ってるだろ」
クォンツの王都でのんびり暮らしている筈だ。
「リーヤ様、今の「アライグマ先生」は私ですよ」
「そうだった」
カラムは前「アライグマ先生」のモリスそっくりで目の色だけハリーの色だが、手先の器用なところも本当に似ている。2代目アライグマ先生なのだ。
「アライグマ先生、私の胃君は元気ですか?」
「ええ、今日も弟子達にちやほやされてますよ。でもレント様の肺君の方が大きい分一番ですね」
「うっ!やはりあの時もっと切り取って貰うんだった!」
フランは白髪頭になったのに、中身は変わらない。
「ダメですよ、健康な部分まで切ったとあってはアライグマ一族的に問題アリですから!」
「むむっ!確かに」
ベッドから起き上がれない俺の代わりにアライグマ先生を見送ってくれた。
「リーヤ、見てくださいよ」
なんだ?年寄りのくせに意外と綺麗な両手を見せてくる。
「あなたが生やしてくれた手は、今でも元気です」
「ああ、そうだったな」
そう言えば、最初あった時フランは手も足もなかったっけ。
「足もゆっくりなら歩くのに問題ない。ありがとうございます、リーヤ」
「別に……たまたまだよ」
たまたま、フラン達を買い取ってしまった、それだけだ。
「私の方が先にリーヤに出会ったのに、チャンスを生かす事が出来なかった」
「そうか」
「手足が戻ってあの時は満足したんですよ。もっと強欲に欲しいものは欲しいと言えば良かったのに。レントのように奪えば良かったのに。
それが出来ないから、私は負けたんでしょうね」
勝った負けた、そんな話か??
「跡継ぎなんて、自分の血筋なんて必要無かったんです。ただ、有能な王であれば良かった」
「王様としてはやっぱり子供に継がせたいだろ?」
ウチだって継いだ。2番目の子だったけどな。
「ユバルの今の王はレフィリーの子ですよ。知っての通り私には実子がいませんから。こちらに来る時に全て譲渡して来ました。そしてユバルは栄えている、そういう事です」
「大丈夫ですよ、皆分かってますから。最近血まみれで駆け込んでくる子供達がいないでしょう?あの子達なりにリーヤに心配かけないように、気を付けているみたいです」
「そうか、良かった」
そろそろ俺にもお迎えがやってきた。
「多臓器不全です、病気と言うより老衰と判断して問題ないかと思います」
「俺もそう思う」
アライグマ先生の息子のカラムがうっすら笑いながら言う。アライグマ先生の子供達は医者になった子が多い。鷹であるハリーの血を濃く受け継いで、飛べる子が数人、俺の子供の部下に任命されてしまい
「すまん!本当にすまんーー!」
さめざめと泣いたのは忘れられない記憶だ。飛べると便利だもんね……。
「父が見舞いに来たいと言っていました」
医療道具を鞄にしまう。絵に描いたような往診医者の鞄だ、カラムによく似合ってる。
「アライグマ先生だってだいぶ足腰弱ってるだろ」
クォンツの王都でのんびり暮らしている筈だ。
「リーヤ様、今の「アライグマ先生」は私ですよ」
「そうだった」
カラムは前「アライグマ先生」のモリスそっくりで目の色だけハリーの色だが、手先の器用なところも本当に似ている。2代目アライグマ先生なのだ。
「アライグマ先生、私の胃君は元気ですか?」
「ええ、今日も弟子達にちやほやされてますよ。でもレント様の肺君の方が大きい分一番ですね」
「うっ!やはりあの時もっと切り取って貰うんだった!」
フランは白髪頭になったのに、中身は変わらない。
「ダメですよ、健康な部分まで切ったとあってはアライグマ一族的に問題アリですから!」
「むむっ!確かに」
ベッドから起き上がれない俺の代わりにアライグマ先生を見送ってくれた。
「リーヤ、見てくださいよ」
なんだ?年寄りのくせに意外と綺麗な両手を見せてくる。
「あなたが生やしてくれた手は、今でも元気です」
「ああ、そうだったな」
そう言えば、最初あった時フランは手も足もなかったっけ。
「足もゆっくりなら歩くのに問題ない。ありがとうございます、リーヤ」
「別に……たまたまだよ」
たまたま、フラン達を買い取ってしまった、それだけだ。
「私の方が先にリーヤに出会ったのに、チャンスを生かす事が出来なかった」
「そうか」
「手足が戻ってあの時は満足したんですよ。もっと強欲に欲しいものは欲しいと言えば良かったのに。レントのように奪えば良かったのに。
それが出来ないから、私は負けたんでしょうね」
勝った負けた、そんな話か??
「跡継ぎなんて、自分の血筋なんて必要無かったんです。ただ、有能な王であれば良かった」
「王様としてはやっぱり子供に継がせたいだろ?」
ウチだって継いだ。2番目の子だったけどな。
「ユバルの今の王はレフィリーの子ですよ。知っての通り私には実子がいませんから。こちらに来る時に全て譲渡して来ました。そしてユバルは栄えている、そういう事です」
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