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96 快適犬小屋生活
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「お前、何してんの?」
「強いて言うならリーヤのお尻を追いかけてますけど?」
俺はクォンツの中央から離れて、首都とフローラ村の中間あたりにある小さな村に小さな家を建ててもらった。木造平屋建て庭付き。うん、年寄に最適な物件で、近くに何でも扱う店がある。よぼよぼのジジィになっても手押し車を押しながらそこまでお買い物に行けそうな距離だ。
あと、気が付いてないフリしてるけど、近隣住民は俺の護衛っぽい。すまん、ワガママ言って。俺はまだあのくっつけたり生やしたりする能力があるんだ。だからどこか心無い国に攫われると色々厄介だからだろう。
で、飼う気もなかったんだが、結構広い庭に犬小屋が置いてあってそこに毎日フランが入ってるんだ、馬鹿かな?
「元帝国一の名君を犬小屋に入れておくわけにもいかんだろ……」
「えー、この犬小屋なかなか快適ですよ!」
「フラン、どこか頭打ったのか?あ、頭の病気かな?アライグマ先生の診療所に連れてってやる、ちょん切って貰って来い」
「お医者様は嫌です~~~!」
俺の作業部屋の一つを開けてやったら、待ってましたとばかりに荷物を運びこみやがった。犬小屋はもういいのか?そして何故か知らないけれどフランと暮らすようになっていた。
「フラン、こんな所にいていいのか?」
「また犬小屋に戻す気ですか!お断りですよ!」
作って貰った縁側に座って、ぼーっと日向ぼっこをしている。
「……いや、犬小屋には戻らなくて良いんだけど、お前、首都の方に帰らなくていいの?俺んちに住み込んで何してんの?」
すると、フランは良い笑顔でこう答えたのだ。
「んふふー!私はですね、リーヤの内縁の夫を目指すんです。知ってます?長年連れ添うと結婚してなくても事実婚という事で夫と認められるんですよ」
「へ、へえ……誰が決めたの?」
なんだそりゃ、日本の法律みたいだな。
「勿論、首都に居る時に私が作って広めてきました!どうです、私ってば有能でしょう!」
お前かよ!
「もー、何年待ってもリーヤはウンって言わないしー。仕方がないので長期戦にしたわけです!病気はしましたが、その後は健康に気を使っていますからね。私、絶対長生きする予定ですし、お任せください」
にこっと笑うフラン。確かにあの手術以降、フランはとても元気だ。朝も早く起きて、夜も早く寝るし。
「私は絶対にリーヤより先に死にませんから」
「絶対なんかないよ、フラン」
レントだった長生きするって息巻いてたのに、死んじゃった。
「大丈夫ですよ。私、実は神様にお会いしたことがありましてね。その時にさっきの決まりを教えてもらって、絶対リーヤより先に死なないって約束してもらったんです。ふふ、色々頑張ったご褒美なんですって!」
嘘か本当か分からないけど、フランはにこにこ笑って得意げだ。
「そりゃすげーや。でも神様にお願いしたことが俺より先に死なないって……もっといい事願えば良かったのに」
「リーヤのピンチに駆けつけることが出来る、それが一番なんですよ、私にとって」
馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、フランは本当に馬鹿だな。なんで俺なんだ、もっと自分の為に使えよ!
「……ばっかじゃねーの」
「そう思うなら結婚してくださいよ」
「……やだよ」
「ほらねー!そう言う!だからねー私はもう絶対リーヤから離れずにずーっと隣にくっ付いているんですー!10年もくっ付いていればばっちりですからね」
やめろよ、そんなにくっつかれても迷惑だし、その頃にはおっさん通り越して爺さんになっちまうじゃねーか。爺さん同士で結婚してどうすんの?
「フラン、女の人と結婚して」
「やーでーすー。誰と結婚するかは自分で決めます~」
やっぱ、ばかじゃねーの?
「強いて言うならリーヤのお尻を追いかけてますけど?」
俺はクォンツの中央から離れて、首都とフローラ村の中間あたりにある小さな村に小さな家を建ててもらった。木造平屋建て庭付き。うん、年寄に最適な物件で、近くに何でも扱う店がある。よぼよぼのジジィになっても手押し車を押しながらそこまでお買い物に行けそうな距離だ。
あと、気が付いてないフリしてるけど、近隣住民は俺の護衛っぽい。すまん、ワガママ言って。俺はまだあのくっつけたり生やしたりする能力があるんだ。だからどこか心無い国に攫われると色々厄介だからだろう。
で、飼う気もなかったんだが、結構広い庭に犬小屋が置いてあってそこに毎日フランが入ってるんだ、馬鹿かな?
「元帝国一の名君を犬小屋に入れておくわけにもいかんだろ……」
「えー、この犬小屋なかなか快適ですよ!」
「フラン、どこか頭打ったのか?あ、頭の病気かな?アライグマ先生の診療所に連れてってやる、ちょん切って貰って来い」
「お医者様は嫌です~~~!」
俺の作業部屋の一つを開けてやったら、待ってましたとばかりに荷物を運びこみやがった。犬小屋はもういいのか?そして何故か知らないけれどフランと暮らすようになっていた。
「フラン、こんな所にいていいのか?」
「また犬小屋に戻す気ですか!お断りですよ!」
作って貰った縁側に座って、ぼーっと日向ぼっこをしている。
「……いや、犬小屋には戻らなくて良いんだけど、お前、首都の方に帰らなくていいの?俺んちに住み込んで何してんの?」
すると、フランは良い笑顔でこう答えたのだ。
「んふふー!私はですね、リーヤの内縁の夫を目指すんです。知ってます?長年連れ添うと結婚してなくても事実婚という事で夫と認められるんですよ」
「へ、へえ……誰が決めたの?」
なんだそりゃ、日本の法律みたいだな。
「勿論、首都に居る時に私が作って広めてきました!どうです、私ってば有能でしょう!」
お前かよ!
「もー、何年待ってもリーヤはウンって言わないしー。仕方がないので長期戦にしたわけです!病気はしましたが、その後は健康に気を使っていますからね。私、絶対長生きする予定ですし、お任せください」
にこっと笑うフラン。確かにあの手術以降、フランはとても元気だ。朝も早く起きて、夜も早く寝るし。
「私は絶対にリーヤより先に死にませんから」
「絶対なんかないよ、フラン」
レントだった長生きするって息巻いてたのに、死んじゃった。
「大丈夫ですよ。私、実は神様にお会いしたことがありましてね。その時にさっきの決まりを教えてもらって、絶対リーヤより先に死なないって約束してもらったんです。ふふ、色々頑張ったご褒美なんですって!」
嘘か本当か分からないけど、フランはにこにこ笑って得意げだ。
「そりゃすげーや。でも神様にお願いしたことが俺より先に死なないって……もっといい事願えば良かったのに」
「リーヤのピンチに駆けつけることが出来る、それが一番なんですよ、私にとって」
馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど、フランは本当に馬鹿だな。なんで俺なんだ、もっと自分の為に使えよ!
「……ばっかじゃねーの」
「そう思うなら結婚してくださいよ」
「……やだよ」
「ほらねー!そう言う!だからねー私はもう絶対リーヤから離れずにずーっと隣にくっ付いているんですー!10年もくっ付いていればばっちりですからね」
やめろよ、そんなにくっつかれても迷惑だし、その頃にはおっさん通り越して爺さんになっちまうじゃねーか。爺さん同士で結婚してどうすんの?
「フラン、女の人と結婚して」
「やーでーすー。誰と結婚するかは自分で決めます~」
やっぱ、ばかじゃねーの?
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