【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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91 仲良しなのは良くわかった

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「リーヤもし、俺が死んだらフラ」

「やめろ。レントが死んでも俺はフランとは結婚しない」

 死亡フラグ立てるんじゃねーよ!笑えねーし。

「そうですよー嫌がるリーヤを無理矢理お任せあれ……うひひ!いてて……」

 傷口を押さえて居る。フランだって切り立てホヤホヤなのに、次に手術に向かうレントを励ましに来ている。

「フランも無茶すんな」

「お前な、それ励ましてるつもりか?まあ死なねーし!」

「はいはい、お話は手術が終わった後でして下さいねー!さー眠くなりますよ!」

「ああ、任せる」

 すーっと意識がなくなるレント。

「行ってくる」

「ええ、頑張って」

 真剣な顔でフランは送り出してくれる。

 頷いて手術室へ入る。何せ肋骨も切ったりしないと行けない。難易度は高い筈だ。

 先生は頷き、全員が頷き返す。メスがすーっと俺の旦那の胸を切り裂いて行く。

「リーヤ様」

「ああ」

 右だと言う。そっと手を這わせて小さくなる様に念じる。

「多分、縮まってます」

「駄目だ!動く」

「片方、取ろう」

 多分、戦士としては絶望的。それでも俺は死んで欲しくないんだ。

「わかり、ました」

 患部だけを切り取る事はできなく、片方丸ごと取り去った。

「もっと残せたのでは……」

「もっと他の方法が」

「……」

 成功に沸いたフランの時とは違って、無力感に包まれる。

「でも、レントは生きてる。俺にはそれが一番だよ」

「……はい、リーヤ様」

 この国の医療技術は飛躍的進歩を遂げた。そしてまだまだ伸びて行くだろう。それが良かったのか悪かったのか、この先の世界が答えを出してくれる。

 出来れば、悲しみが減り、笑顔が増えます様にと願う。俺のわがままで世界が壊れてしまいませんようにと。

「おう、不思議な気持ちだな」

「はい!立派なのをいただきました!」

 アルコールに漬けたレントの肺。

「大きさでは俺の勝ちじゃねぇ?」

「な、何ですって?!」

 標本になった部分の大きさで競ってる阿呆が二人。いや、分かってる。わざとだろう?
 お前らの体の一部はこれからアライグマ先生の後を継ぐ医者達の勉強の手助けをしてくれる。

「こ、これが人間の内臓……」

「動物の物とは違いますね」

「獣人の内臓はほぼ人族と変わりませんねぇ」

「姿が変わる時に内臓も変化するのでしょうか?」

 もはや医者達に囲まれて興味津々で見られている。

「本人より切り取られた内臓の方が人気なんだけど?!」

「全くだ……」

 車椅子も再現して貰い、キコキコと動き回る2人はやはり仲が良い。

「所でレント、もう少し寝てて良いんですよ?」

「断る。リーヤを口説こうとしてるだろ。おちおち寝ていられるか!名君が聞いて呆れる」

 ガツン、ガツンと車椅子をぶつけ合って本当に仲が良い。

「もうユバルはーライードの息子にあげて来たので名君じゃありませーん。ただの愛に飢えた孤独な旅人でーす」

「へっ!一生飢えてろ!」

「酷ーい!」

「仲が良いのは分かったけど、車椅子壊すなよ。職人の渾身の作だぞ」

 俺がため息と共に注意すると

「「これのどこが仲良しなんだ?!」」

 声がぴったりハモるくらい仲良しじゃねーか。
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