【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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90 マッドなんですが?

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「は、はは。成功したか……げほっ」

「うん、後は経過を見るだけ」

「次は俺だな。フランにゃ負けらんねー」

「そうだな」

 でも、フランとレントは話が違う。胃と肺、肺は呼吸が止まる。流石に人工呼吸器なんてものはない。

「回復魔法をかけながら素早く切って、素早く塞ぐ!」

「……そうだな」

 便利なんだか、不便なんだか分からない。でもこの世界でやれる事をやるんだ。出来ないことは出来ない、出来ない事を嘆いても仕方がない。

「ねぇ……リーヤ様……私」

「どうした?アライグマ先生」

 先生は次の手術に使うメスの手入れをしている。

「わ、私なんだか生きてる人間を切るのが楽しくなって来ました。しかも顔見知りなんて!」

「あ、アライグマーーーー?!」

 嫌な方向に走りかけてる?!これは手術が終わったらちょっとハリーに相談して矯正してもらわなきゃ駄目だ!

「早くレント様を切りたいなー!あははは!」

「やめろ!メスを振り回すなー!」

 マッドだ!マッドサイエンティストがいるーー!

 しかしだ、マッドなのはアライグマ先生だけじゃないんだ。

「セルリィ、この薬なんだけどさ」

「あーーーいい!効くわぁ!レイソンの調合効くぅー!」

「……」

 薬部門の獣人が二人、若干中毒。
セルリィが象の獣人で、レイソンが熊。二人とも鼻がよく効くので薬師には向いているんだけど、二人とも身体がでかい割に細かい作業がとても得意だ。

「んー!この吸引型効くぅーあー寝るー寝ちゃうー」

「おやすみー!深く落ちるから夢も見ないよー」

「うわーい……ぐー……」

 駄目だこいつら。でも消毒薬とか、抗生物質とか、色々小まめに作り出してる。こっちのポーション作りの技術と掛け合わせて、消毒もできるし回復も出来る初級ポーションとか面白い物を作ってくれる。
 この二人のお陰で、薬はかなり進歩した。調合も嗅覚を活かして、上手にやってくれるし、何より探究心が凄い。

「お!リーヤ様じゃないですか!見てくださいよ、このうがい薬の色!毒々しい紫!」

 熊のレイソンがニコニコしながら、口に入れるにはちょっとハードルの高い物を見せてくる。やめろ、俺に近づけるな。

「口腔内の衛生の観点から、うがいによる雑菌の抑制は……」

 言ってる事はまともだが、臭いもやばいんだけど?

「な、なあ。レイソン。それ、誰も口に入れたがらないだろ?」

「当たり前じゃないですかー!飲用じゃないんですから!吐き出して正解なんですよ!」

 間違ってない、間違ってないが……間違ってる。

「もう少しマイルドにしよう、な?」

「えー!フラン様はこれでもいってくださるのに!」

 フラン、マジすげーな。尊敬する。



 
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