90 / 113
90 マッドなんですが?
しおりを挟む
「は、はは。成功したか……げほっ」
「うん、後は経過を見るだけ」
「次は俺だな。フランにゃ負けらんねー」
「そうだな」
でも、フランとレントは話が違う。胃と肺、肺は呼吸が止まる。流石に人工呼吸器なんてものはない。
「回復魔法をかけながら素早く切って、素早く塞ぐ!」
「……そうだな」
便利なんだか、不便なんだか分からない。でもこの世界でやれる事をやるんだ。出来ないことは出来ない、出来ない事を嘆いても仕方がない。
「ねぇ……リーヤ様……私」
「どうした?アライグマ先生」
先生は次の手術に使うメスの手入れをしている。
「わ、私なんだか生きてる人間を切るのが楽しくなって来ました。しかも顔見知りなんて!」
「あ、アライグマーーーー?!」
嫌な方向に走りかけてる?!これは手術が終わったらちょっとハリーに相談して矯正してもらわなきゃ駄目だ!
「早くレント様を切りたいなー!あははは!」
「やめろ!メスを振り回すなー!」
マッドだ!マッドサイエンティストがいるーー!
しかしだ、マッドなのはアライグマ先生だけじゃないんだ。
「セルリィ、この薬なんだけどさ」
「あーーーいい!効くわぁ!レイソンの調合効くぅー!」
「……」
薬部門の獣人が二人、若干中毒。
セルリィが象の獣人で、レイソンが熊。二人とも鼻がよく効くので薬師には向いているんだけど、二人とも身体がでかい割に細かい作業がとても得意だ。
「んー!この吸引型効くぅーあー寝るー寝ちゃうー」
「おやすみー!深く落ちるから夢も見ないよー」
「うわーい……ぐー……」
駄目だこいつら。でも消毒薬とか、抗生物質とか、色々小まめに作り出してる。こっちのポーション作りの技術と掛け合わせて、消毒もできるし回復も出来る初級ポーションとか面白い物を作ってくれる。
この二人のお陰で、薬はかなり進歩した。調合も嗅覚を活かして、上手にやってくれるし、何より探究心が凄い。
「お!リーヤ様じゃないですか!見てくださいよ、このうがい薬の色!毒々しい紫!」
熊のレイソンがニコニコしながら、口に入れるにはちょっとハードルの高い物を見せてくる。やめろ、俺に近づけるな。
「口腔内の衛生の観点から、うがいによる雑菌の抑制は……」
言ってる事はまともだが、臭いもやばいんだけど?
「な、なあ。レイソン。それ、誰も口に入れたがらないだろ?」
「当たり前じゃないですかー!飲用じゃないんですから!吐き出して正解なんですよ!」
間違ってない、間違ってないが……間違ってる。
「もう少しマイルドにしよう、な?」
「えー!フラン様はこれでもいってくださるのに!」
フラン、マジすげーな。尊敬する。
「うん、後は経過を見るだけ」
「次は俺だな。フランにゃ負けらんねー」
「そうだな」
でも、フランとレントは話が違う。胃と肺、肺は呼吸が止まる。流石に人工呼吸器なんてものはない。
「回復魔法をかけながら素早く切って、素早く塞ぐ!」
「……そうだな」
便利なんだか、不便なんだか分からない。でもこの世界でやれる事をやるんだ。出来ないことは出来ない、出来ない事を嘆いても仕方がない。
「ねぇ……リーヤ様……私」
「どうした?アライグマ先生」
先生は次の手術に使うメスの手入れをしている。
「わ、私なんだか生きてる人間を切るのが楽しくなって来ました。しかも顔見知りなんて!」
「あ、アライグマーーーー?!」
嫌な方向に走りかけてる?!これは手術が終わったらちょっとハリーに相談して矯正してもらわなきゃ駄目だ!
「早くレント様を切りたいなー!あははは!」
「やめろ!メスを振り回すなー!」
マッドだ!マッドサイエンティストがいるーー!
しかしだ、マッドなのはアライグマ先生だけじゃないんだ。
「セルリィ、この薬なんだけどさ」
「あーーーいい!効くわぁ!レイソンの調合効くぅー!」
「……」
薬部門の獣人が二人、若干中毒。
セルリィが象の獣人で、レイソンが熊。二人とも鼻がよく効くので薬師には向いているんだけど、二人とも身体がでかい割に細かい作業がとても得意だ。
「んー!この吸引型効くぅーあー寝るー寝ちゃうー」
「おやすみー!深く落ちるから夢も見ないよー」
「うわーい……ぐー……」
駄目だこいつら。でも消毒薬とか、抗生物質とか、色々小まめに作り出してる。こっちのポーション作りの技術と掛け合わせて、消毒もできるし回復も出来る初級ポーションとか面白い物を作ってくれる。
この二人のお陰で、薬はかなり進歩した。調合も嗅覚を活かして、上手にやってくれるし、何より探究心が凄い。
「お!リーヤ様じゃないですか!見てくださいよ、このうがい薬の色!毒々しい紫!」
熊のレイソンがニコニコしながら、口に入れるにはちょっとハードルの高い物を見せてくる。やめろ、俺に近づけるな。
「口腔内の衛生の観点から、うがいによる雑菌の抑制は……」
言ってる事はまともだが、臭いもやばいんだけど?
「な、なあ。レイソン。それ、誰も口に入れたがらないだろ?」
「当たり前じゃないですかー!飲用じゃないんですから!吐き出して正解なんですよ!」
間違ってない、間違ってないが……間違ってる。
「もう少しマイルドにしよう、な?」
「えー!フラン様はこれでもいってくださるのに!」
フラン、マジすげーな。尊敬する。
45
お気に入りに追加
3,421
あなたにおすすめの小説

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる