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79 息子、可愛し!
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「「うーん……」」
結局父さん達は失血しすぎて、目を回して倒れた。
「あーはいはーい。終わりましたかー?じゃ、縫いますねーいやー気絶してるとラクチンですねー。はいリーヤ様、手と足でーす」
「あ、うん……」
レントの父さんの腕と、うちの父さんの足が大根かニンジンのようにぽいっと手渡される。扱いが雑だよ。
それでも切り立てほやほやのちぎれた手と足をくっつけてやる。無くなったものを作り出すより、くっつける方が簡単なのだ。
「きれいだな……」
レントが後ろから見ている。ふわふわと優しい色の光は人々の目を奪うようだ。
「それ、すげー気持ち良いんだよな。何もなくてもやって欲しいくらいだけど、リーヤになんかあったらやだしな」
「へえ。俺はなんともないんだけどなー」
リーヤの父さんの左腕も俺の父さんの足もきちんとくっついた。
「切り傷は縫っておきました。でも血が無くなってますからね、しばらく安静です」
手を拭き拭き、アライグマ先生はやって来た。
「うちの国王も頭に血が上りやすい人ですけど、リーヤ様のお父上は更にその上を行きますねぇ!噂通りの暴れん坊振りで感心しました」
「俺はちょっと引いたよ……何してんだ父さん……」
って戦争とかになんねぇ?!大丈夫か?!レント、レント何とか止めてくれ!?
「ふむ……この少し短い剣をフローラ母さんのスカートの中にね……なんて卑怯な、素晴らしい……あ、痺れ毒塗ってある……やるなぁ」
父さんの姑息とも言える仕込みにレントは一々感心してるし、何か色々間違っている気がする。
「大丈夫ですよ、この城……というかこの国にはかなーりリーヤ様の信者がいますからね。リーヤ様のお父様が息子可愛し!と大暴れしたなんて……みんな手を叩いて喜びますよ、あはは!」
「いやでも、王様に大怪我させたんだぞ?!国家何とか罪で全員捕まっちゃうんじゃない?!」
んーー?とアライグマ先生は考えこんで、帝国で知った必殺技を繰り出した。
「そこは眼鏡さんにお任せすれば良いんです」
「あ、うん」
そうだね、そうしよう。眼鏡って結構無茶振り好きだから、涙を流しながら喜んでくれるよね。
「いや!無茶にもほどがありますからーーー!」
わー、すんごく嬉しそうー良かったねー。
「良い!不問とする」
しかも
「まだ勝負はついておらん!絶対に負けん!」
レントの父さんの一言で片がついた。なんかムキになってるね?
「ワシはディリーと共闘した方が強いが、カリウスの野郎はエルフローラ殿がおると、格好つけてお綺麗な剣技を見せようとする!」
「黙れ!」
「すると途端に弱くなるでのうー!カカカカ!相手にならんわ!」
「尻尾の毛を全部むしってやる!」
「もう一本も残っておらんわ!全部むしりおって!」
あれ?なんか仲良し……?嘘だろ??
「仲が良いわけがないだろう!あんなケダモノ!私の方がよっぽど理性的だ!」
まさかうちの父さんの口から理性なんて言葉が聞ける日が来るとは思わなかった。
結局父さん達は失血しすぎて、目を回して倒れた。
「あーはいはーい。終わりましたかー?じゃ、縫いますねーいやー気絶してるとラクチンですねー。はいリーヤ様、手と足でーす」
「あ、うん……」
レントの父さんの腕と、うちの父さんの足が大根かニンジンのようにぽいっと手渡される。扱いが雑だよ。
それでも切り立てほやほやのちぎれた手と足をくっつけてやる。無くなったものを作り出すより、くっつける方が簡単なのだ。
「きれいだな……」
レントが後ろから見ている。ふわふわと優しい色の光は人々の目を奪うようだ。
「それ、すげー気持ち良いんだよな。何もなくてもやって欲しいくらいだけど、リーヤになんかあったらやだしな」
「へえ。俺はなんともないんだけどなー」
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「切り傷は縫っておきました。でも血が無くなってますからね、しばらく安静です」
手を拭き拭き、アライグマ先生はやって来た。
「うちの国王も頭に血が上りやすい人ですけど、リーヤ様のお父上は更にその上を行きますねぇ!噂通りの暴れん坊振りで感心しました」
「俺はちょっと引いたよ……何してんだ父さん……」
って戦争とかになんねぇ?!大丈夫か?!レント、レント何とか止めてくれ!?
「ふむ……この少し短い剣をフローラ母さんのスカートの中にね……なんて卑怯な、素晴らしい……あ、痺れ毒塗ってある……やるなぁ」
父さんの姑息とも言える仕込みにレントは一々感心してるし、何か色々間違っている気がする。
「大丈夫ですよ、この城……というかこの国にはかなーりリーヤ様の信者がいますからね。リーヤ様のお父様が息子可愛し!と大暴れしたなんて……みんな手を叩いて喜びますよ、あはは!」
「いやでも、王様に大怪我させたんだぞ?!国家何とか罪で全員捕まっちゃうんじゃない?!」
んーー?とアライグマ先生は考えこんで、帝国で知った必殺技を繰り出した。
「そこは眼鏡さんにお任せすれば良いんです」
「あ、うん」
そうだね、そうしよう。眼鏡って結構無茶振り好きだから、涙を流しながら喜んでくれるよね。
「いや!無茶にもほどがありますからーーー!」
わー、すんごく嬉しそうー良かったねー。
「良い!不問とする」
しかも
「まだ勝負はついておらん!絶対に負けん!」
レントの父さんの一言で片がついた。なんかムキになってるね?
「ワシはディリーと共闘した方が強いが、カリウスの野郎はエルフローラ殿がおると、格好つけてお綺麗な剣技を見せようとする!」
「黙れ!」
「すると途端に弱くなるでのうー!カカカカ!相手にならんわ!」
「尻尾の毛を全部むしってやる!」
「もう一本も残っておらんわ!全部むしりおって!」
あれ?なんか仲良し……?嘘だろ??
「仲が良いわけがないだろう!あんなケダモノ!私の方がよっぽど理性的だ!」
まさかうちの父さんの口から理性なんて言葉が聞ける日が来るとは思わなかった。
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