【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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71 皇帝

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「それでこれが国璽。これを書類のここに押す。そしてサインだ」

「へえ!簡単じゃん!」

 父さんは執務室にルンを連れて行った。ま、まさか……父さん……??

「お前、姓はあるのか?」

「いやぁ!俺は平民だよ!ちょっーと冒険者やってるだけだもん!」

 ほう、ならちょうど良いな、と小さく呟き

「そこの線の上に署名する。字は書けるか?」

「ああ、受け取りのサインがいるってローザに教え込まれた!」

「ではそこに、名前を。格好が付かないので私の姓を使うと良い。ランドバードと言う」

「えーと、そしたら、「ルン・ランドバード」こうか?おおーなんか貴族っぽーい!俺、出世したなぁ!!」

「そうだな、大出世かもしれんぞ。なあ、アシューレス殿?」

「カリウス様……本当にマジで何やってるんですか!!」

 良いではないか、父さんは笑う。何か楽しげで、つかえていたものが取れたように爽やかな顔をしていた。

「さあ、ルン。まだまだ書類があるぞ。どんどんやりたまえ」

「うひー!俺、字を書くの苦手なんだよぉー!勘弁してくれー!」

 いや、まさかな?俺もレントも見ていたがあまりに突拍子もないので、その可能性を一生懸命否定した。が、第一眼鏡の青い顔を見ると、どうも父さんはやってやったようだ。

「なあ、アスさん。まさかとは思うけどよ……今のこの帝国の皇帝って……」

「その通りですよ、リーヤ。現帝国皇帝はルン・ランドバードです……はっきりいえば国璽を手渡した時点でもう皇帝はルンなのです。更に養子縁組による、子への委任と言う形にきっちりハマっています……」

 げぇっ?!この広い帝国の一番偉い奴がルンーー?!どうすんだよ!帝国終わったじゃん!!

「は、ははは……以前から皇帝など私には出来ない、後継をとずっと言われ続けていたのですが、ちょうど良い人材が見つからず。ああ、また会議が長引きますね」

「な、なんか……なんか、ごめん」

「いえ……油断した私達の失敗です。カリウス様の思い切りの良さを甘く見ていました」

 青いんだ白いんだか。眼鏡からも汗をかいてるいるように見えるアスさん。もちろん父さんがまた何かやらかさないように見張っているんだけど、アスさんの部下は大急ぎで眼鏡部屋に走っていった。
 この大事件は全眼鏡で討論する必要があるもんな。

「えーと、あの……ローザ姉さんかメグ姉さんに慰めて貰うと良いよ……あの二人はプロだから……」

 母さんに恩義を感じてずっと母さんの店にいたけど、高級娼館からしょっちゅう引き抜きが来るほど、凄いらしいんだ。
 俺には凶暴な姉でしかないんだけどな!

「この件が片付いたら是非……」

 ああ、悲しい目で見られてしまった……ごめんね、アスさん。
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