64 / 113
64 アライグマ先生はお口が軽い
しおりを挟む
「陛下におかれましては、格別の配慮を賜り、誠にありがとうございます」
皇帝カリウスは静かに頷き、目でアシューレスに話を引き継ぐように指示を出す。
小さく頷き、第一眼鏡が、言葉を続けた。
「クォンツ国より遠路遥々ご苦労様でした。私はこの帝国で僅かばかりの力をふるわせていただいておりますアシューレス・ウォルターと申します」
面倒くせぇやり取りを俺は母さんの隣で聞いている。皇帝である父さん、母さん、次が俺、そしてレントの並んでいるから、帝国はレントを皇帝の家族として、エリスリーヤ姫の婚約者として認めたという事を示しているんだそうな。
「お納めください」
小さなワイン瓶と見た事のある小さなグラスが一つ。綺麗な箱に納めされ恭しく差し出される。
「「アジェントの酒」でございます」
「……これはこれは」
その後の眼鏡の対外的なやり取りは聞き流した。欠伸を堪えるのに相当我慢を強いられたからもううんざりだ。
「リーヤ様ーご気分は如何ですかー?あ、まだ膨れてないですねーうんうん、デリウス様の時と一緒で人族のお嫁さんは獣人族より成長が遅いですねー」
「お、おう。アライグマも来たのか」
なんか向こうを立つ時にグダグタになってたアライグマの先生がくっ付いて来たようだ。謁見とやらが終わってから、トテトテやってきて俺のぺたんこの腹を触っている。
「私はモリスですよ、リーヤ様!だってこっちで体調崩したらどうすんですか。まだそろそろ体に変化が出てきますから、あ、まさか派手にエロいことしてないでしょうね?ヘトヘトになるまでやっちゃダメですからね?」
「……しねぇよ!」
「全然しないのも駄目ですよー?イライラするのが一番いけませんー」
「黙れ!」
なんでそんな事をバラさなきゃならないんだ!やってねーよ!
「それにしてもまー色んな物を送って寄越しましたね。レント殿を無事に返す事、リーヤ様をクォンツに連れ帰る事。まぁ正しく見積もって下さってるんですけど」
「もう少し舐めてくれたら、突っ込みとか脅しとか、武力行使とかできました所を」
「うーん、実に残念ですなぁ」
眼鏡!眼鏡!!
「しかも使い方や世話まで出来る先生まで付けて寄越しやがりましたし。本気度が見える所が何とも残念でなりませんなぁ」
「街道も一生懸命作ってるらしいですし。無碍にすると帝国の悪評になってしまいますなぁ……あーあ。お渡ししたくないなー」
眼鏡ぇーーーー!
人質というか結構危ない所に送り出されたはずの、アライグマ先生はのんびりとお茶をすすりながら俺の大好きなガリガリクッキーを食っている。硬い物をガリガリやっていた俺はイライラがたまってんのか??
「あ、誰か試してみます?まぁ簡単にお試しするような物じゃないですけどねー!あはは!そう言う時は「偽アジェントの酒」で……」
「モリスさん?何ですかそれ」
良いのか?アライグマ。お前多分今とんでもない事を口にしてるぞ?多分眼鏡に根掘り葉掘り全て聞き出されるぞ?このアライグマ先生の口の軽さも「お土産」の一つに入ってるのかもしんない。
「秘術「アジェントの酒」の粗悪品なんですけど、飲んで一回だけ子供が産めるんですよ、まあ効かない事もあります。適合できないと永遠に子供が出来ない体になりますが。まあ普通男性は永遠に子供が産めないので問題ないですかねー??」
「へえ」「ほう」「先生はそれをお持ちで?」
「まぁ持ってますよー」
「へえ」「ほう」「それはそれは」
がんばってね、アライグマ先生。眼鏡はとってもしつこいよ!
皇帝カリウスは静かに頷き、目でアシューレスに話を引き継ぐように指示を出す。
小さく頷き、第一眼鏡が、言葉を続けた。
「クォンツ国より遠路遥々ご苦労様でした。私はこの帝国で僅かばかりの力をふるわせていただいておりますアシューレス・ウォルターと申します」
面倒くせぇやり取りを俺は母さんの隣で聞いている。皇帝である父さん、母さん、次が俺、そしてレントの並んでいるから、帝国はレントを皇帝の家族として、エリスリーヤ姫の婚約者として認めたという事を示しているんだそうな。
「お納めください」
小さなワイン瓶と見た事のある小さなグラスが一つ。綺麗な箱に納めされ恭しく差し出される。
「「アジェントの酒」でございます」
「……これはこれは」
その後の眼鏡の対外的なやり取りは聞き流した。欠伸を堪えるのに相当我慢を強いられたからもううんざりだ。
「リーヤ様ーご気分は如何ですかー?あ、まだ膨れてないですねーうんうん、デリウス様の時と一緒で人族のお嫁さんは獣人族より成長が遅いですねー」
「お、おう。アライグマも来たのか」
なんか向こうを立つ時にグダグタになってたアライグマの先生がくっ付いて来たようだ。謁見とやらが終わってから、トテトテやってきて俺のぺたんこの腹を触っている。
「私はモリスですよ、リーヤ様!だってこっちで体調崩したらどうすんですか。まだそろそろ体に変化が出てきますから、あ、まさか派手にエロいことしてないでしょうね?ヘトヘトになるまでやっちゃダメですからね?」
「……しねぇよ!」
「全然しないのも駄目ですよー?イライラするのが一番いけませんー」
「黙れ!」
なんでそんな事をバラさなきゃならないんだ!やってねーよ!
「それにしてもまー色んな物を送って寄越しましたね。レント殿を無事に返す事、リーヤ様をクォンツに連れ帰る事。まぁ正しく見積もって下さってるんですけど」
「もう少し舐めてくれたら、突っ込みとか脅しとか、武力行使とかできました所を」
「うーん、実に残念ですなぁ」
眼鏡!眼鏡!!
「しかも使い方や世話まで出来る先生まで付けて寄越しやがりましたし。本気度が見える所が何とも残念でなりませんなぁ」
「街道も一生懸命作ってるらしいですし。無碍にすると帝国の悪評になってしまいますなぁ……あーあ。お渡ししたくないなー」
眼鏡ぇーーーー!
人質というか結構危ない所に送り出されたはずの、アライグマ先生はのんびりとお茶をすすりながら俺の大好きなガリガリクッキーを食っている。硬い物をガリガリやっていた俺はイライラがたまってんのか??
「あ、誰か試してみます?まぁ簡単にお試しするような物じゃないですけどねー!あはは!そう言う時は「偽アジェントの酒」で……」
「モリスさん?何ですかそれ」
良いのか?アライグマ。お前多分今とんでもない事を口にしてるぞ?多分眼鏡に根掘り葉掘り全て聞き出されるぞ?このアライグマ先生の口の軽さも「お土産」の一つに入ってるのかもしんない。
「秘術「アジェントの酒」の粗悪品なんですけど、飲んで一回だけ子供が産めるんですよ、まあ効かない事もあります。適合できないと永遠に子供が出来ない体になりますが。まあ普通男性は永遠に子供が産めないので問題ないですかねー??」
「へえ」「ほう」「先生はそれをお持ちで?」
「まぁ持ってますよー」
「へえ」「ほう」「それはそれは」
がんばってね、アライグマ先生。眼鏡はとってもしつこいよ!
56
お気に入りに追加
3,421
あなたにおすすめの小説
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる