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46 やっぱダメだな
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俺がレントにくっ付いて獣人の国に行くのに約束した事が結構ある。
「まず、俺に手紙を書かせてくれ。無理矢理じゃなくて、俺の意思で行って、そして帰ってくるって。そうじゃないと母さんが泣いて、父さんがキレて攻めて来そうだから」
「分かった」
「後、終わったらちゃんと帝国まで連れて帰ってくれ。俺、ここがどこだかわかんねぇ」
「約束する」
「それと、治そうと頑張るけど、無理なもんもあるから。駄目だったらごめん。あと死んでたら多分無理」
「承知の上だ」
「最後に嫁にはならんから」
「何故だ?良い話だろ?」
「俺にだって好みはある!」
俺はどっちかっつーとフランみたいな優しい感じのほうが好きだ。あ、振られたんだった……失恋悲しい。
「じゃあ、リーヤの方から抱いて!って言ってくるなら問題ないな?」
「ねーけど、絶対言わねーから安心しな!」
って言ったんだけど!けど!
昼間は鳥、と言うか鷹の獣人のハリーに抱き抱えられて飛ぶ。そして日が落ちて暗くなると夜目の効かない間は宿屋で寝ている。レントと他の獣人達は昼も夜も駆け続け、まだ夜が明けぬうちに追いつけば宿に入り短い休息を取り、また駆ける。
夜明けと共に叩き起こされれば、レントに抱き抱えられている時もある。
「うわ!」
「うわ、はねぇだろ、色気がねぇなぁ」
「う、うるさい!なんで同じベッドに寝てんだよ!?」
どんなに夜通しかける強行軍を組んだとしても十日以上かかる道のりを三日で走り抜け、俺はクォンツ国までやって来てしまった。
「す、すみませ、ん。も、無理です」
俺と言う荷物を抱えて飛び続けていたハリーは途中で倒れ、疲労困憊のレントと共に最後は馬車で獣人の国に到着した。馬車は検問も何もかも素通りし、街の道は通行人を退けさせ走り抜ける。
「行くぞ」
「ひゃい?!」
挨拶も何もかも、全てを飛ばしてレントに抱き抱えられた俺は、真っ直ぐに王様の寝室に運び込まれた。
見てくれ、と医者を避けてかけてあった布団を捲ると両足ががない……食いちぎられてる?
体も穴だらけだし、良く生きてるなあ……。
「なあ?レント一応人払いとかさあ」
「何でリーヤはそんなのんびりなんだ!親父はどうなんだよ!」
あんだよ、もー!人の話聞けよ!
「うっせ!黙れ!このエロライオン!!お前の父さんなんかこうしてやるわーー!」
化膿している傷口にズボッと手を突っ込んだらみんな真っ青になった。へっ!ざまーみろ!
とりあえず命に関わる所を治して行く。本当に良く生きてるなー。傷口も内臓もあちこち腐ってるから面倒くさかった。
「とりあえずもう死なねーと思う」
「足は!陛下の足はどうなる?!」
うん、とりあえず放置してる。
「リーヤ」
あんだよ、レントまで俺を信じてねー目で見てるな?やっぱこいつ駄目だな、結婚なんかできる訳ねえ。
「もーいい、帰る」
すこーし可哀想だなーなんて思った俺が馬鹿だった。やっぱり俺は一人で生きて行こう。好きな事をして好きなように死んでいく。
「リーヤ!待ってくれ!母さんや兄弟達もいるんだ……!」
「うるせーよ!知ってるよ!聞いたからな!お前、俺が疲れないとでも思ってんのか!あんな事して俺に何の影響もないって思ってんのか!俺は人間だぞ!機械でも神様でもねーよ!馬鹿じゃねーの?!」
「でも……こんな素晴らしい力を使わずにいるとは」
医者の一人が小さく呟いた。
「知るか!俺に授かった力を俺がどう使おうが勝手だ!ついでに言えばお前らにこの力を使う義理なんて一欠片もない!なんで人を無理矢理拉致した奴らの親玉を助けてやらなきゃなんねーんだ!他の奴らが死のうが生きようが俺には関係ねえ!」
皆、黙った。勿論レントもだ。俺の言っていることは間違っていない。誰も彼も調子に乗りやがって。俺だってあったま来た!こんなクソつまらん拉致旅行に付き合ってやってこれかよ!
「まず、俺に手紙を書かせてくれ。無理矢理じゃなくて、俺の意思で行って、そして帰ってくるって。そうじゃないと母さんが泣いて、父さんがキレて攻めて来そうだから」
「分かった」
「後、終わったらちゃんと帝国まで連れて帰ってくれ。俺、ここがどこだかわかんねぇ」
「約束する」
「それと、治そうと頑張るけど、無理なもんもあるから。駄目だったらごめん。あと死んでたら多分無理」
「承知の上だ」
「最後に嫁にはならんから」
「何故だ?良い話だろ?」
「俺にだって好みはある!」
俺はどっちかっつーとフランみたいな優しい感じのほうが好きだ。あ、振られたんだった……失恋悲しい。
「じゃあ、リーヤの方から抱いて!って言ってくるなら問題ないな?」
「ねーけど、絶対言わねーから安心しな!」
って言ったんだけど!けど!
昼間は鳥、と言うか鷹の獣人のハリーに抱き抱えられて飛ぶ。そして日が落ちて暗くなると夜目の効かない間は宿屋で寝ている。レントと他の獣人達は昼も夜も駆け続け、まだ夜が明けぬうちに追いつけば宿に入り短い休息を取り、また駆ける。
夜明けと共に叩き起こされれば、レントに抱き抱えられている時もある。
「うわ!」
「うわ、はねぇだろ、色気がねぇなぁ」
「う、うるさい!なんで同じベッドに寝てんだよ!?」
どんなに夜通しかける強行軍を組んだとしても十日以上かかる道のりを三日で走り抜け、俺はクォンツ国までやって来てしまった。
「す、すみませ、ん。も、無理です」
俺と言う荷物を抱えて飛び続けていたハリーは途中で倒れ、疲労困憊のレントと共に最後は馬車で獣人の国に到着した。馬車は検問も何もかも素通りし、街の道は通行人を退けさせ走り抜ける。
「行くぞ」
「ひゃい?!」
挨拶も何もかも、全てを飛ばしてレントに抱き抱えられた俺は、真っ直ぐに王様の寝室に運び込まれた。
見てくれ、と医者を避けてかけてあった布団を捲ると両足ががない……食いちぎられてる?
体も穴だらけだし、良く生きてるなあ……。
「なあ?レント一応人払いとかさあ」
「何でリーヤはそんなのんびりなんだ!親父はどうなんだよ!」
あんだよ、もー!人の話聞けよ!
「うっせ!黙れ!このエロライオン!!お前の父さんなんかこうしてやるわーー!」
化膿している傷口にズボッと手を突っ込んだらみんな真っ青になった。へっ!ざまーみろ!
とりあえず命に関わる所を治して行く。本当に良く生きてるなー。傷口も内臓もあちこち腐ってるから面倒くさかった。
「とりあえずもう死なねーと思う」
「足は!陛下の足はどうなる?!」
うん、とりあえず放置してる。
「リーヤ」
あんだよ、レントまで俺を信じてねー目で見てるな?やっぱこいつ駄目だな、結婚なんかできる訳ねえ。
「もーいい、帰る」
すこーし可哀想だなーなんて思った俺が馬鹿だった。やっぱり俺は一人で生きて行こう。好きな事をして好きなように死んでいく。
「リーヤ!待ってくれ!母さんや兄弟達もいるんだ……!」
「うるせーよ!知ってるよ!聞いたからな!お前、俺が疲れないとでも思ってんのか!あんな事して俺に何の影響もないって思ってんのか!俺は人間だぞ!機械でも神様でもねーよ!馬鹿じゃねーの?!」
「でも……こんな素晴らしい力を使わずにいるとは」
医者の一人が小さく呟いた。
「知るか!俺に授かった力を俺がどう使おうが勝手だ!ついでに言えばお前らにこの力を使う義理なんて一欠片もない!なんで人を無理矢理拉致した奴らの親玉を助けてやらなきゃなんねーんだ!他の奴らが死のうが生きようが俺には関係ねえ!」
皆、黙った。勿論レントもだ。俺の言っていることは間違っていない。誰も彼も調子に乗りやがって。俺だってあったま来た!こんなクソつまらん拉致旅行に付き合ってやってこれかよ!
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