【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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40 一週間くらいの休暇

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「眼鏡ー俺、人生初の人を好きになって、そんでフラれたから一週間くらい聖女殿下をお休みしていーい?」

「分かった眼鏡。失恋休暇を認める眼鏡」

「ありがとー!さっすがうちの眼鏡は最高だー」

 俺は鼻歌を歌いながら、眼鏡部屋を後にする。この城の頭脳がわちゃっと詰まった部屋があって、全員眼鏡なんだぜ!扉を開けると無数の眼鏡が一斉にこっちを向くから結構笑っちまう。

「おやー?リーヤ様ご機嫌ッスかー?何か良い事あった?」

 今度は脳筋と出会う。名前は……わかんねぇ!忘れた。フローラ傭兵団からいた奴だって事は覚えてる。

「ちがーう。逆、逆!俺、失恋休暇中」

「まじすかーじゃあ俺とイッパツやって下さいよぉー!やっぱ人肌で暖め合わなきゃ」

「良いよー」

「やっぱり駄目ッスよね……って何言ってるんすかーーー?!」

「だから、良いよって」

 脳筋にがしっ!と肩を掴まれた。痛い痛い!

「リーヤ様?!何ヤケになってるんすか!もっと自分を大切にぃー!って眼鏡か!眼鏡の策略か!何かの忠義を試されてるんすかね?!ここでベッドに行ったら給料減らされンスかね?!」

 まだ名前を思い出せない脳筋にあははは、と笑いかける。

「んな訳ないだろー?今はなんか皇帝の娘とか言われてっけど、ちょっと前までただの娼婦の息子の奴隷商だぜ?知ってるだろ。誰かと寝るなんてべつに普通だろ。そうだよなー失恋したらやっぱり次だよなー次!」

「いやいや、やっぱり眼鏡の監視付きでしたよ、あぶねぇあぶねぇ」

 へ?脳筋の視線の先を見ると、眼鏡の中でもフットワークが軽そうな若い眼鏡が廊下の端から顔を出していた。

「ありゃ?」

「やべ!バレた」

 ひゅっ!と引っ込んだから本当に見られてたらしい。な、なんだよ!それ!

「まあ、アレっすね。酒でも飲みましょうや!フラれたらやっぱ酒っすよ。酔っ払って忘れちまいましょうや」

「なるほどなぁ~あ、でも俺、お金持ってないや」

 悲しいかな、皇帝の跡継ぎのお財布にはゴミしかはいってねーんだった。バイトしよかな?

「奢りますよ!フラれ男にゃみんなが優しいンス!ぱーっと行きましょうや!」

「そうだな!ぱーっと行こう!人の金で飲む酒は美味いからなー!」

「おー!まだ朝だけど飲むぞー!暇な奴らも誘いましょーぜー!」

「おー!いっぱいいた方が楽しいもんなーー!」

 誰かにフラれたら酒を飲んで大騒ぎをする。この悪習(?)はこれからずっと続く事になるが、誰も止めなかった。
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