【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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34 不敬ってなんだっけ?

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「国ですが、とりあえず帝国の支配下でよろしいかと存じます」

「続けて」

 今後の方針を決定する会議。とは言え皇帝カリウスの部下たちは殆ど処刑される。軍部は残される者もいるが、全く内政を放置した皇帝の名の下、好き放題やらかしまくっていたのだ。
 それをフローラ傭兵団の眼鏡は絶対に許さず全てを暴き立てた。

「領としましょう。そこに領主として元王族を任じる。いずれ完全に返却し、国として戻す」

「なるほど、反感は少ないな」

「王族でも無能な者は沢山います。これを機に……」

「民を苦しめる頭はすげ替えても問題あるまい」

 うん、眼鏡に任せて置けばなんか良さそうな奴だ。この会議俺も一応出席してるが、あんまり聞いてないし、聞かなくても良さそうだ。

「それより!カリウス皇帝!ここに塔と闘技場を作りましょう!」

「聞こう」

 とんだな?!話が飛んだな?!国はどうした!そっちが最優先だろう?!なのに、何で塔とかの方が嬉しそうなんだ!そして闘技場ってなんだ?!?!

「フローラ傭兵団に所属している者は大体が元奴隷、もう生きるのを諦め死んだ身の者。しがらみもなければ手足もなかった者達!」

「だからこそ、自分の思うままに魔導の追求、政治の真髄、力比べ、剣の競い合い!素晴らしい!実力が拮抗した同士の自分の為だけの競い合い!己を高める為の純粋な行為!」

 あー……なんだつまりは。国の代表とかそういうの無くなって、自分と同じくらいの奴らと楽しく遊べる。例えば自国では天才と持て囃されても、ここでなら天才ではない。
 そして自分でも気がつかなかった事を誰かが見つけ、より高い結果を出せる。
 剣の相手も自分と同等なのだから、思いっきり戦える。

「楽しい!」

「建てよう」

「ありがたき!図面はこちら!人員の確保はまだですが近々!」

「予算も好きにするがいい。任せる」

「明日から用地を買収致します!」

「良い物を作れよ」

 もう手配終わってんじゃねーか!眼鏡ども!本当にうちの眼鏡は手が早い。

「んじゃ俺ら脳筋は脳筋修行に励んでくるわー」

「はい。少ない脳みそで良く頑張りました。お疲れ様です」

「眼鏡かち割るぞ?おーい陛下も行こうぜー連戦戦勝の皇帝とやり合いたい奴からが首をながーくして待ってんだわー」

 会議、会議まだ途中なんだけど?ここからと言うか始まって10分も経ってないのに、脳筋達はガタガタと席を立つ!良いのか?

「戦士が会議の場にいても役に立ちませんからね。言いたい事を言ったら、もう体を動かしていた方がいいんですよ」

 俺が心配そうな顔をしていたもんだから、アシューレス……アスさんが笑ってくれた。

「後、どうせ全部オッケー出すんだから、陛下もどっか行って良いです。フローラ様も欠伸してますし、リーヤ様もお昼寝してて良いですよ」

「やったわー!カリウス様、修練場へ行きましょう!」

「構わないがエルフローラ。私は前ほど強くないぞ。君がいなくてヤケになって、自分の命を捨てて突っ込んだからこその勝利の街道だったんだ。君とリーヤと言う大事な物が返ってきたから、私は死にたくないんだよ」

「あらあら、そうなんですか」

「ああ、フローラ傭兵団に守って貰わねばな」

「陛下が使える男のうちは守って差し上げますよー」

 不敬ってなんだっけ?でも皇帝陛下が不敬に感じなければそれは不敬って言わないのかな??

「リーヤ様、これが一般的な皇帝陛下に対する態度ではないですからね?間違った認識を持たないでくださいね!」

「あ、うん……分かった……」

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