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29 私達のリーヤ
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まあ、一瞬でバラバラに俺の将来設計は打ち砕かれるんですけどね。
「あ!カリウス様、私の息子を紹介しますわ!リーヤ!リーヤ!出てきてぇーー!!」
「居ません」
小さな声で呟くしか抵抗出来なかった。
「出て行かないと一生名前を呼び続けられますよ」
と、言われ仕方がなく腰を上げる。俺はずっと馬車の中にいたんだよ。出来れば出たくなかった。
母さんの隣の皇帝がおっそろしいオーラを放って俺を睨みつけている。
「許そう、その存在を。半分は何処の馬の骨か知らんが半分はエルの血だ……生かしておいてやる……半分だけだがな……エル、エルの息子、許さん、許さんが許す。ころさんが殺したいエルにあんな子供を孕ませた相手は誰だ殺す。地獄の果てまで追いかけて肉片ひとつ残さずしょうめつさせてやる、殺す殺す殺す殺す」
うわぁ!物っすごい呪詛の言葉を垂れ流してる!怖い、マジで怖い!その横で笑っている母さんの豪胆さも怖いけど。
ビクビクと足がすくみながら近づくと母さんは俺を見てにっこり笑う。あ、やっと息がつけた。本当、この皇帝怖いよ!
「やあねぇ、カリウス様ったら。この子の父親を貴方は殺せないわよー。だって貴方の子供ですもの。よく見て?貴方と同じ色の目と、顔もそっくり!年々貴方に似て素敵になってきたわよ?」
「え?」
「ど、どうも……」
皇帝と目があった。確かに母さんの言う通り、俺と皇帝さんは目の色が一緒だった。そして確かに
「似ている……」
「でしょ!リーヤがもっと大きくなればもっと似てくるわ!あーあ、これで私だけのリーヤじゃなくなっちゃったー!私達のリーヤなんだわー」
ぽかんと口を開けっ放しの皇帝陛下に俺はどうして良いか分からない。
「だって、私達は一度しか」
「大当たりだったのよ!」
母さんがコロコロと笑い出す。
「それかカリウス様が物凄く濃かったんじゃないかしら!」
「濃いって……」
流石母さん、場の空気を全て綺麗に破壊してしまう。
とにかく俺達の作戦は成功し、死人は誰も出なかった。俺も母さんもフローラ傭兵団も全て皇帝の居城に招かれる事になった。
「なんですか?!この惨状はぁあ!」
カリウス皇帝が簒奪する前までこの城の宰相にそっくりなフローラ傭兵団の……もうこの件面倒くさいからやめよう。アシューレス・ヴァント元宰相は頭を掻きむしった。
「フローラ様!この汚い城!我慢できません!」
「好きにして。良いわよね?カリウス様」
「もちろんだともエルフローラ。この城はもう君の物だ。ねえ、エル。私は君と二人で色々語りたい事があるんだ、良いだろう?」
ええ、そうしましょう?と母さんは笑い
「アスさん、好きになさって良いわよ」
「フローラ様!ありがたき幸せ!おい!誰か生き残っているものはいるか!メイド長!執事長!誰でも良い!この汚ったない城を何とかするぞ!あと傭兵団で暇な奴、手伝ってくれ」
「王城を好きにしていいなんて堪らん案件だなあ?」
「然り然り。しかもあの帝国の根城など楽しみですならんわ」
ああ、フローラ傭兵団の眼鏡部隊がゆらりと立ち上がった。もうこれは任せるに限る。俺にできる事はない!
「俺、疲れたから寝るー」
空き部屋を探そうと思ったら母さんに
「リーヤ!リーヤちょっと来てーー!」
と、呼び出され会ったばかりの父さんのちんこを治すと言ういたく心が疲弊する任務を与えられ……全うして寝た。もう良い、もう明日の俺に丸投げだ。
「あ!カリウス様、私の息子を紹介しますわ!リーヤ!リーヤ!出てきてぇーー!!」
「居ません」
小さな声で呟くしか抵抗出来なかった。
「出て行かないと一生名前を呼び続けられますよ」
と、言われ仕方がなく腰を上げる。俺はずっと馬車の中にいたんだよ。出来れば出たくなかった。
母さんの隣の皇帝がおっそろしいオーラを放って俺を睨みつけている。
「許そう、その存在を。半分は何処の馬の骨か知らんが半分はエルの血だ……生かしておいてやる……半分だけだがな……エル、エルの息子、許さん、許さんが許す。ころさんが殺したいエルにあんな子供を孕ませた相手は誰だ殺す。地獄の果てまで追いかけて肉片ひとつ残さずしょうめつさせてやる、殺す殺す殺す殺す」
うわぁ!物っすごい呪詛の言葉を垂れ流してる!怖い、マジで怖い!その横で笑っている母さんの豪胆さも怖いけど。
ビクビクと足がすくみながら近づくと母さんは俺を見てにっこり笑う。あ、やっと息がつけた。本当、この皇帝怖いよ!
「やあねぇ、カリウス様ったら。この子の父親を貴方は殺せないわよー。だって貴方の子供ですもの。よく見て?貴方と同じ色の目と、顔もそっくり!年々貴方に似て素敵になってきたわよ?」
「え?」
「ど、どうも……」
皇帝と目があった。確かに母さんの言う通り、俺と皇帝さんは目の色が一緒だった。そして確かに
「似ている……」
「でしょ!リーヤがもっと大きくなればもっと似てくるわ!あーあ、これで私だけのリーヤじゃなくなっちゃったー!私達のリーヤなんだわー」
ぽかんと口を開けっ放しの皇帝陛下に俺はどうして良いか分からない。
「だって、私達は一度しか」
「大当たりだったのよ!」
母さんがコロコロと笑い出す。
「それかカリウス様が物凄く濃かったんじゃないかしら!」
「濃いって……」
流石母さん、場の空気を全て綺麗に破壊してしまう。
とにかく俺達の作戦は成功し、死人は誰も出なかった。俺も母さんもフローラ傭兵団も全て皇帝の居城に招かれる事になった。
「なんですか?!この惨状はぁあ!」
カリウス皇帝が簒奪する前までこの城の宰相にそっくりなフローラ傭兵団の……もうこの件面倒くさいからやめよう。アシューレス・ヴァント元宰相は頭を掻きむしった。
「フローラ様!この汚い城!我慢できません!」
「好きにして。良いわよね?カリウス様」
「もちろんだともエルフローラ。この城はもう君の物だ。ねえ、エル。私は君と二人で色々語りたい事があるんだ、良いだろう?」
ええ、そうしましょう?と母さんは笑い
「アスさん、好きになさって良いわよ」
「フローラ様!ありがたき幸せ!おい!誰か生き残っているものはいるか!メイド長!執事長!誰でも良い!この汚ったない城を何とかするぞ!あと傭兵団で暇な奴、手伝ってくれ」
「王城を好きにしていいなんて堪らん案件だなあ?」
「然り然り。しかもあの帝国の根城など楽しみですならんわ」
ああ、フローラ傭兵団の眼鏡部隊がゆらりと立ち上がった。もうこれは任せるに限る。俺にできる事はない!
「俺、疲れたから寝るー」
空き部屋を探そうと思ったら母さんに
「リーヤ!リーヤちょっと来てーー!」
と、呼び出され会ったばかりの父さんのちんこを治すと言ういたく心が疲弊する任務を与えられ……全うして寝た。もう良い、もう明日の俺に丸投げだ。
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