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27 眼鏡
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とうとう皇帝がいると言う帝都に着いた。大きな街のはずなのに、暗くて寂れた印象を受ける。
活気もなくて、人々の顔は沈んでいた。うーん?コレが連戦戦勝の皇帝を戴く国なのか??全然そうは見えないなぁ。
「元、治めていた皇帝もそれほど優れた人物ではありませんでした」
「まあ、無能でしたね。全て宰相に丸投げで政治も民衆も顧みないハゲデブでした」
見てきたようですね?と苦笑されれば、ええ、そりゃもう。全てを丸投げされた宰相は私……と、そっくりだったらしいですよ?と、白々しいやり取りがフローラ傭兵団の中で交わされている。
タダだからって色々貰いすぎたのかもしれないな……俺。頭の中に「タダより高いものはない」と言う言葉がぐるぐると回った。やっちまった?俺、またやっちまった??
「鬼神の如く、烈火の如く攻め入られ、あっという間に元帝国王族は捕まり、攻め手の将軍のカリウス・ランドバードが新皇帝として立ちました。その時ほとんどの帝国貴族はデズモンド・ザサード公爵の元に送られました」
「デズモンド・ザサード。カリウスの腹心にして「切断公爵」とは奴の事です」
「……そいつが人間の手足を切りまくっている変態なんだな?」
あーこの国が暗いのはその変態のせいかな?逆らったらちょん切られちゃう……って恐怖が満ちている。
「そうです。カリウスの強さを笠にやりたい放題ザサードの屋敷からは常に怨嗟の声が聞こえております」
こわ……新皇帝はなんでそんな頭がおかしいのを腹心にしてるんだ??……新皇帝が俺の父さんって本当かな、そんな狂った部下とか従えている父親なんて困るんだけど?
「王城に入られるとさしもの我々でも骨が折れます。戦争に出かけ、凱旋の時に襲いかかるのが一番かと」
「凱旋パーレドなどもありましょう。その際に我々で道を作ります。フローラ様はそこを通り、カリウス皇帝に会って下さい」
「分かりました」
雑な作戦だとは思うが、それを可能にする戦力がこのフローラ傭兵団にはあるのだと眼鏡をあげながら、眼鏡3人が話し合って決めた。
どっかの国の宰相だった眼鏡親父とどっかの国の作戦参謀だった眼鏡おっさんと、どっかの国の騎士団長だった眼鏡お兄さんだった。
「リーヤ様、何故我々の視力は元に戻らないのでしょうか!」
真剣に聞かれてしまった。
「あー、えっとな?俺が治すときは、残った体の記憶から甦らせるんだ。だから、失ってすぐなら体は元々あった物をよく覚えている。でも失ってからしばらく……10年も20年も経つと、体も失った後の状態しか覚えていなくなっちまうんだ」
多分この眼鏡スリー達はかなり昔に視力が低下したんだろう。奴等の目は「見えないのが当たり前」と覚えてしまっていて、視力を治す事は出来なかった。
「くっ!我々は一生眼鏡ですか!」
「う、うん。ごめんな?」
何で俺、謝ってんだろ……?いいじゃねーか眼鏡、頭良さそうで良いよ。
「え?やっぱり頭が良さそうに見えますか?」
「お、おう。俺、頭が悪いから、やっぱり賢い方が良いよな、何かと」
傭兵団内に眼鏡が大流行したが、意味が分からないぞ!
活気もなくて、人々の顔は沈んでいた。うーん?コレが連戦戦勝の皇帝を戴く国なのか??全然そうは見えないなぁ。
「元、治めていた皇帝もそれほど優れた人物ではありませんでした」
「まあ、無能でしたね。全て宰相に丸投げで政治も民衆も顧みないハゲデブでした」
見てきたようですね?と苦笑されれば、ええ、そりゃもう。全てを丸投げされた宰相は私……と、そっくりだったらしいですよ?と、白々しいやり取りがフローラ傭兵団の中で交わされている。
タダだからって色々貰いすぎたのかもしれないな……俺。頭の中に「タダより高いものはない」と言う言葉がぐるぐると回った。やっちまった?俺、またやっちまった??
「鬼神の如く、烈火の如く攻め入られ、あっという間に元帝国王族は捕まり、攻め手の将軍のカリウス・ランドバードが新皇帝として立ちました。その時ほとんどの帝国貴族はデズモンド・ザサード公爵の元に送られました」
「デズモンド・ザサード。カリウスの腹心にして「切断公爵」とは奴の事です」
「……そいつが人間の手足を切りまくっている変態なんだな?」
あーこの国が暗いのはその変態のせいかな?逆らったらちょん切られちゃう……って恐怖が満ちている。
「そうです。カリウスの強さを笠にやりたい放題ザサードの屋敷からは常に怨嗟の声が聞こえております」
こわ……新皇帝はなんでそんな頭がおかしいのを腹心にしてるんだ??……新皇帝が俺の父さんって本当かな、そんな狂った部下とか従えている父親なんて困るんだけど?
「王城に入られるとさしもの我々でも骨が折れます。戦争に出かけ、凱旋の時に襲いかかるのが一番かと」
「凱旋パーレドなどもありましょう。その際に我々で道を作ります。フローラ様はそこを通り、カリウス皇帝に会って下さい」
「分かりました」
雑な作戦だとは思うが、それを可能にする戦力がこのフローラ傭兵団にはあるのだと眼鏡をあげながら、眼鏡3人が話し合って決めた。
どっかの国の宰相だった眼鏡親父とどっかの国の作戦参謀だった眼鏡おっさんと、どっかの国の騎士団長だった眼鏡お兄さんだった。
「リーヤ様、何故我々の視力は元に戻らないのでしょうか!」
真剣に聞かれてしまった。
「あー、えっとな?俺が治すときは、残った体の記憶から甦らせるんだ。だから、失ってすぐなら体は元々あった物をよく覚えている。でも失ってからしばらく……10年も20年も経つと、体も失った後の状態しか覚えていなくなっちまうんだ」
多分この眼鏡スリー達はかなり昔に視力が低下したんだろう。奴等の目は「見えないのが当たり前」と覚えてしまっていて、視力を治す事は出来なかった。
「くっ!我々は一生眼鏡ですか!」
「う、うん。ごめんな?」
何で俺、謝ってんだろ……?いいじゃねーか眼鏡、頭良さそうで良いよ。
「え?やっぱり頭が良さそうに見えますか?」
「お、おう。俺、頭が悪いから、やっぱり賢い方が良いよな、何かと」
傭兵団内に眼鏡が大流行したが、意味が分からないぞ!
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