【完結】廃品を直して売る俺は娼婦の息子の奴隷商。聖女でも王子でもないからほっといてくれ!

鏑木 うりこ

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26 結局その話で盛り上がる訳だ

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「来たぞ!フローラ傭兵団だ」

「フローラ様!女神様!」

「あらあら~私はそんなんじゃないわよー元娼婦のただの女よー」

 母さんがちょっとごつい強化馬車から身を乗り出して手を振っている。何してんだ。

 フローラ傭兵団。俺が良さそうな奴隷を治して新皇帝に襲撃をかける為に集めた奴ら。数が増えてしまって今やそんな風に呼ばれている。なんでだ?

「まさか貴様と共闘しようとはな」

「仲間であろう?我らの主人は奴隷達が仲良くする事をお望みだ」

「……そうだな、我らの主人のお望みならば致し方ない」

「貴公は何を?」

「わしは左足と右手と目玉を少々。貴公は?」

「私は両手ですな。あと歯を」

「やはりあやつですか」

「ええ、あれは生かしておいてはいけません」

「主人の宿願が叶いしのち、ですな」

「貴公もどうですかな?」

「おお!是非ご一緒させていただきたい!」

 フローラ傭兵団は何かと会話が雅だ。どこかの国に仕えていた腕利きとか、そんなんがゴロゴロいる、らしい。俺は知らないふりしてる。知りたくもない!

「しかし20年来の宿敵と共に同じ主人を戴くこととなろうとは!」

「生きていると不思議な縁があるものですな」

 どうして、どうしてこうなった……?そんな奴らがいっぱいいるから、夜は腕試し大会がしょっちゅうだし。

「成程、その理論だとこれは?」

「我が国ではこうやって……」

「む!この組み合わせは素晴らしい!」

 難しい話をしている一角もある。はっきり言って何を喋っているか、俺にはさっぱり分からない。

「俺のちんこはまだ……」

「俺のなんて変色したまま」

「俺のは千切れたまんま……」

「「「はぁ~頑張って治して貰おうぜ」」」

 こっちの方が分かりやすいな!共感出来る。

「俺、ちんこ治ったら抱きたい人がいる」

「あ、俺も」

「俺も俺も」

 ん?こいつら何の話してるんだ??

「もしかして、リーヤ様?」

「お!お前もか、俺も~」

「俺も俺も~!あの人、めちゃくちゃ良い声で啼きそう!」

 あいつ誰だっけ?ジョルジュとか言ったかな?!確か弓が得意だった気がする。覚えたぞ!

「なんかすげーイイらしいな!名器だってよ!フローラ様が言ってた!」

 あいつは小剣使いのハンスだったな。覚えたぞ、そして母さん、また何を喋ってんのかな?!

「あの可愛い尻にぶち込みてぇなぁ」

 あいつは斧使いだったな!名前はゴードンだっけ。忘れないからな!この危険人物どもめ!お前らなんて本当の最後の最後だからな!くそっ!!

「はあ、今更お気づきですか?傭兵団の大体の連中はリーヤ様と夜の一戦を交えたいと思ってますよ」

「嘘だ……」

「本当ですよーだからこうして毎晩、治ってない組が問題なく使える組を牽制して黙らせてるんじゃないですか!あいつらちょっと使えるからって調子に乗りやがって」

 え?何その戦い。俺全然知らなかった!確かに俺の周りには治ってない奴らが多い。治しちまうとフランみたいに調子に乗って襲いかかってくる奴がいるから……と思ったら意外と多いって事か……信じられん!

「ボコって不能にしてやろうか……ちくしょう……!」

 う、うわぁ……。それ治すの多分俺だから、やらないでおいてくれると助かるんだが。

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