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24 ないおっさんを買う
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「そうと決まればやっぱり奴隷だな」
「そうね、腕の立つ人が欲しいわ」
俺たちは昨日とは別の奴隷商に来ていた。
「いらっしゃいー!」
「すまんな、同業だ。廃棄から良さそうなの引き取らせてくれ」
「ゴミばっかりだからなー好きにしろ!ただし返品だけは受け付けん!!」
この奴隷商にも手足の無いものが溢れている。
「ったくこんなんばっかり作られてもなぁ~。次々戦争を仕掛ける皇帝も困るが、気狂い公爵をなんとかして欲しいぜ!みろよ、あの男」
ここの主人が指差す先に、体躯がしっかりした見るからに武人の壮年の男が蹲っていた。
「左足だけを残して切られてる。剣の使い手でどっかの騎士団長だったらしいけど、剣を持つ手があんなんで、片足じゃ闘えもしねぇうえに……」
「上に?」
「あんなおっさんをオンナにしたらしい!すげぇ物好きいたもんだろ!ちんこがねぇんだ」
「買った!!」
「えーーー?!お前、あのおっさん抱くの?!若いのにすげぇな!?」
「ちげーーよ!バーカ!」
俺にとってちんこの有る無しは意外と重要な事だとやっと気がついたんだ!
歩けないおっさんを台車に乗せて運んで来る。母さんと借りた貧民街付近の汚い宿の一室に詰め込んだ。
「まあ!なかなか良い男ね!」
「ちんこねぇけどな!」
「……」
おっさんは下を向いたまま、無反応だ。そりゃそうだろう!自分のちんこのあるなしで話題にされちゃたまったもんじゃないよな。
「おっさん、わりーんだけど俺たちの護衛をして皇帝とやらに会わせて欲しいんだ」
「……」
当然答えはない。聞こえていないかもしれないな。まあ想定通りだ。
「おっさんでかいから抱っこして歩けねぇから、自分で歩いてくんねぇ?」
ちらり、と絶望しかない目が俺を見た。お、初めて俺を見たな。何を言っているんだ、そんな事できる訳ないだろう、そんな顔。
「母さん、一応カーテン頼む。急ぐからチャチャっとやっちまう」
「はーい」
俺は床に座らせたおっさんの先が無くなった太ももを持ち上げる。
「……鋸引き?!拷問かよ!の、割に処置済み……まじで変態多いな!こえー!」
「……」
何かを思い出したのか、おっさんの目は揺れる。失った足の事が、誇りのことか?まあ、どうでも良いか。
薄く、光。足の切り口から黒っぽい玉が床に落ち、吸い込まれて消えていく。代わりに水色、ピンク、緑の玉が吸い込まれ、無くなったその先が再生されていく。
「ん、んん……太いなぁ……」
体の記憶は随分とご立派な太腿を覚えている。詳しく再現してしてやりたいが、時間も手間もかかり過ぎる。
「あーーーー!疲れた!悪りぃけど、この宿出るまで、義足のふりしててくれ。追求されたくないんだ」
「え……」
おっさんは目を見張っている。そりゃそうだろう少し細めとは言え足が生えてきたからなぁ。
「良いか!良く聞け!無理するともげるからな!良いな!もげるからな!もげたらもう一度はやらんからな!!あと面倒くさいから質問は明日な!」
「ふふ、ごめんなさいね。息子なのよ。疲れているから寝かせて上げて。私が説明するわ」
「あ、ああ……」
大丈夫かなぁ、母さんの説明っていろいろ不安なんだよなー……でも俺は晩飯も取らずに寝てしまった。短期間で治すと疲れるんだよ!
「そうね、腕の立つ人が欲しいわ」
俺たちは昨日とは別の奴隷商に来ていた。
「いらっしゃいー!」
「すまんな、同業だ。廃棄から良さそうなの引き取らせてくれ」
「ゴミばっかりだからなー好きにしろ!ただし返品だけは受け付けん!!」
この奴隷商にも手足の無いものが溢れている。
「ったくこんなんばっかり作られてもなぁ~。次々戦争を仕掛ける皇帝も困るが、気狂い公爵をなんとかして欲しいぜ!みろよ、あの男」
ここの主人が指差す先に、体躯がしっかりした見るからに武人の壮年の男が蹲っていた。
「左足だけを残して切られてる。剣の使い手でどっかの騎士団長だったらしいけど、剣を持つ手があんなんで、片足じゃ闘えもしねぇうえに……」
「上に?」
「あんなおっさんをオンナにしたらしい!すげぇ物好きいたもんだろ!ちんこがねぇんだ」
「買った!!」
「えーーー?!お前、あのおっさん抱くの?!若いのにすげぇな!?」
「ちげーーよ!バーカ!」
俺にとってちんこの有る無しは意外と重要な事だとやっと気がついたんだ!
歩けないおっさんを台車に乗せて運んで来る。母さんと借りた貧民街付近の汚い宿の一室に詰め込んだ。
「まあ!なかなか良い男ね!」
「ちんこねぇけどな!」
「……」
おっさんは下を向いたまま、無反応だ。そりゃそうだろう!自分のちんこのあるなしで話題にされちゃたまったもんじゃないよな。
「おっさん、わりーんだけど俺たちの護衛をして皇帝とやらに会わせて欲しいんだ」
「……」
当然答えはない。聞こえていないかもしれないな。まあ想定通りだ。
「おっさんでかいから抱っこして歩けねぇから、自分で歩いてくんねぇ?」
ちらり、と絶望しかない目が俺を見た。お、初めて俺を見たな。何を言っているんだ、そんな事できる訳ないだろう、そんな顔。
「母さん、一応カーテン頼む。急ぐからチャチャっとやっちまう」
「はーい」
俺は床に座らせたおっさんの先が無くなった太ももを持ち上げる。
「……鋸引き?!拷問かよ!の、割に処置済み……まじで変態多いな!こえー!」
「……」
何かを思い出したのか、おっさんの目は揺れる。失った足の事が、誇りのことか?まあ、どうでも良いか。
薄く、光。足の切り口から黒っぽい玉が床に落ち、吸い込まれて消えていく。代わりに水色、ピンク、緑の玉が吸い込まれ、無くなったその先が再生されていく。
「ん、んん……太いなぁ……」
体の記憶は随分とご立派な太腿を覚えている。詳しく再現してしてやりたいが、時間も手間もかかり過ぎる。
「あーーーー!疲れた!悪りぃけど、この宿出るまで、義足のふりしててくれ。追求されたくないんだ」
「え……」
おっさんは目を見張っている。そりゃそうだろう少し細めとは言え足が生えてきたからなぁ。
「良いか!良く聞け!無理するともげるからな!良いな!もげるからな!もげたらもう一度はやらんからな!!あと面倒くさいから質問は明日な!」
「ふふ、ごめんなさいね。息子なのよ。疲れているから寝かせて上げて。私が説明するわ」
「あ、ああ……」
大丈夫かなぁ、母さんの説明っていろいろ不安なんだよなー……でも俺は晩飯も取らずに寝てしまった。短期間で治すと疲れるんだよ!
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