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17 もげるぞ!
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「リーヤ、鼻水拭いて」
「あー」
「リーヤ、抱っこ」
「あー……」
「リーヤ、エッチしよう!」
「どうやって?」
「リーヤが私の上に乗ってくれれば良いじゃない。私、どうも入れられるより入れる方が好きだ」
「ふっざけんな!!」
「きゃーー!」
フランは調子に乗っていると思う!!
「リーヤ!リーヤ助けて!落ちそう!顔から落ちそう!せっかく治った綺麗な顔から床に落ちそう!」
「まじでふっざけんなよ!!」
それでも俺はベッドから起き出し、フランを抱っこして食堂にやって来た。部屋の扉を開けると、フランのお供が2人で声を殺して泣いていた。なんだよ、お前らも仲良しだな。
「今日の朝食は昨日の残りのお芋のスープよ!」
「わあ!私、お芋好きです!リーヤ、あーん」
「ったく調子に乗りすぎだろう!」
それでも俺はフランの口に芋を運んでやる。ちくしょう何でこうなってる!
「あ!お前のお供を復活させれば良いのか!」
「えーやですー。私はリーヤにお世話されたいです~~」
「てめぇ!さっきと言ってる事が違うぞ!」
「何の事ですかぁ~~私にはさっぱり分かりません~~!」
こいつ、耳が赤くなってるぞ、照れ隠しか。全く本当に厄介なモノを拾っちまった!
「リーヤ?旦那様には優しくするのよ?」
「旦那じゃねえし!」
相変わらず母さんは母さんだよ!!
「きれいだ……」
「本当よね」
俺はライードの両足を生やす作業をしている。両膝から下をバッサリやられているライードは造る部分が多いからそれだけ時間と手間と神経を使う。
体が記憶している肉体をなるべく再生していく。多少間違えても文句は言わないで欲しいし、結構曖昧でも埋め合わせもしてくれる。
「ふう」
丸一日かけて片足を生やした。
「わ、わたし、の、あ、足が」
「良いか、すぐに動かすな。治した部分が大きいから、体に馴染むのに時間がかかる。切れてすぐなら体もしっかり覚えてるけど、切られてかなりたつんだろ?」
「あ、ああ」
「言う事聞かないともげるぞ」
「も、もげ?!」
ったく、しょうがねえ奴らだ。ぽけっと羨ましそうに見ているもうひとりのお共に声をかける。
「あー、あんた。レフィリーだっけ?ちょっと来て」
「?」
こいつは足首から下がない。膝はあるから、以外とハイハイで移動している。魔導士だって言ってた、無力化だけなら足首を切り落とす事もなかったろうに、こいつらから国を取り上げたやつらはよっぽど残忍なことが好きなんだろうな。
「口、開けて」
少し躊躇ったが、素直に開けた。あちこち治した実績が俺にはあるからね。予想通り、舌が切られている。あと喉が横一文字に裂かれた跡が残っている。
「足みたいにでかいものを治すのは時間がかかるけど、ちんことか舌とかみたいなのとか、古いけど傷を治すのとかはチャチャッと出来ちゃうんだよな」
「え?」
「あんた魔法使いらしいけど、しばらくは魔法禁止な。喋るのも三日くらいはやめとけよ」
「わ、私の声が!」
「言う事聞け!もげるぞ!」
大声で言うと、レフィリーはこくこくと大きく頷いた。うむ、素直でよろしい。もげる、はなかなか効く言葉だな。
「リーヤ。レフィリーは喋れるようになったの?」
もぞもぞと全身で俺の方に近づいてくるフランを抱っこして起こしてやる。
「だって喋れないと色々不便だろ」
俺が普通のことを言うと、フランはなんだか泣きそうな顔になってから
「そうだね」
と、一言だけ言った。
「あ、足、わ、たしの、足」
と、出来立ての右足を撫で回しているライリュードと
「……」
舌をみたり、切られた跡が無くなった首をみたりしているレフィリー。なんだなんだフランの口の中を治した時お前もいただろう?やっぱり自分のが戻ってくると違うのか??
「ありがとう、リーヤ」
「おう」
小さく俺に礼をいうフラン。こいつら、全員いい奴でとても困ってしまう。ふんぞり返った貴族なら捨てても心は痛まないだろうに、こんなにいい奴らだったら無下に扱えないじゃないか。
「あー」
「リーヤ、抱っこ」
「あー……」
「リーヤ、エッチしよう!」
「どうやって?」
「リーヤが私の上に乗ってくれれば良いじゃない。私、どうも入れられるより入れる方が好きだ」
「ふっざけんな!!」
「きゃーー!」
フランは調子に乗っていると思う!!
「リーヤ!リーヤ助けて!落ちそう!顔から落ちそう!せっかく治った綺麗な顔から床に落ちそう!」
「まじでふっざけんなよ!!」
それでも俺はベッドから起き出し、フランを抱っこして食堂にやって来た。部屋の扉を開けると、フランのお供が2人で声を殺して泣いていた。なんだよ、お前らも仲良しだな。
「今日の朝食は昨日の残りのお芋のスープよ!」
「わあ!私、お芋好きです!リーヤ、あーん」
「ったく調子に乗りすぎだろう!」
それでも俺はフランの口に芋を運んでやる。ちくしょう何でこうなってる!
「あ!お前のお供を復活させれば良いのか!」
「えーやですー。私はリーヤにお世話されたいです~~」
「てめぇ!さっきと言ってる事が違うぞ!」
「何の事ですかぁ~~私にはさっぱり分かりません~~!」
こいつ、耳が赤くなってるぞ、照れ隠しか。全く本当に厄介なモノを拾っちまった!
「リーヤ?旦那様には優しくするのよ?」
「旦那じゃねえし!」
相変わらず母さんは母さんだよ!!
「きれいだ……」
「本当よね」
俺はライードの両足を生やす作業をしている。両膝から下をバッサリやられているライードは造る部分が多いからそれだけ時間と手間と神経を使う。
体が記憶している肉体をなるべく再生していく。多少間違えても文句は言わないで欲しいし、結構曖昧でも埋め合わせもしてくれる。
「ふう」
丸一日かけて片足を生やした。
「わ、わたし、の、あ、足が」
「良いか、すぐに動かすな。治した部分が大きいから、体に馴染むのに時間がかかる。切れてすぐなら体もしっかり覚えてるけど、切られてかなりたつんだろ?」
「あ、ああ」
「言う事聞かないともげるぞ」
「も、もげ?!」
ったく、しょうがねえ奴らだ。ぽけっと羨ましそうに見ているもうひとりのお共に声をかける。
「あー、あんた。レフィリーだっけ?ちょっと来て」
「?」
こいつは足首から下がない。膝はあるから、以外とハイハイで移動している。魔導士だって言ってた、無力化だけなら足首を切り落とす事もなかったろうに、こいつらから国を取り上げたやつらはよっぽど残忍なことが好きなんだろうな。
「口、開けて」
少し躊躇ったが、素直に開けた。あちこち治した実績が俺にはあるからね。予想通り、舌が切られている。あと喉が横一文字に裂かれた跡が残っている。
「足みたいにでかいものを治すのは時間がかかるけど、ちんことか舌とかみたいなのとか、古いけど傷を治すのとかはチャチャッと出来ちゃうんだよな」
「え?」
「あんた魔法使いらしいけど、しばらくは魔法禁止な。喋るのも三日くらいはやめとけよ」
「わ、私の声が!」
「言う事聞け!もげるぞ!」
大声で言うと、レフィリーはこくこくと大きく頷いた。うむ、素直でよろしい。もげる、はなかなか効く言葉だな。
「リーヤ。レフィリーは喋れるようになったの?」
もぞもぞと全身で俺の方に近づいてくるフランを抱っこして起こしてやる。
「だって喋れないと色々不便だろ」
俺が普通のことを言うと、フランはなんだか泣きそうな顔になってから
「そうだね」
と、一言だけ言った。
「あ、足、わ、たしの、足」
と、出来立ての右足を撫で回しているライリュードと
「……」
舌をみたり、切られた跡が無くなった首をみたりしているレフィリー。なんだなんだフランの口の中を治した時お前もいただろう?やっぱり自分のが戻ってくると違うのか??
「ありがとう、リーヤ」
「おう」
小さく俺に礼をいうフラン。こいつら、全員いい奴でとても困ってしまう。ふんぞり返った貴族なら捨てても心は痛まないだろうに、こんなにいい奴らだったら無下に扱えないじゃないか。
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